震災により破壊、分断されたインフラは道路や鉄道だけではない。電話やインターネットなどの通信システムも使えなくなった。NTTグループでは、NTT東日本が避難所へのインターネット回線無償提供や仮設住宅への電話無償設置などに力を入れ、5月6日までに一部エリアを除き加入電話、ISDN、フレッツ光に関するすべての通信ビルの機能を回復した。また、NTTコミュニケーションズが公衆無線LANサービスやクラウド型ホスティングなどの無償提供を、NTTデータが被災地域の学校と家庭を結ぶITシステムの提供を行っている。通信系企業によるこうした対応を受けて、総務省による「全国避難者情報システム」も始まった。
また、ニッポン放送は文化放送とともに、「被災地へラジオを送ろうキャンペーン」を実施。震災以来、国内で極端な品薄状態になっている携帯ラジオを1,000台、三井物産などの協力を得て台湾から緊急輸入し、NGO/NPOの力を借りて被災地へ届ける。官邸からの情報がラジオ番組「震災情報ー官邸発」で毎日放送されていることからもわかるように、被災者にとってラジオは重要な情報源であり、効果的な支援といえる。関連する情報は、ニッポン放送 東日本大震災 災害関連情報のページで見ることができる。
一方、震災による被災地では病院や診療所、薬局などの医療機関も大きな被害を受けた。三菱電機は被災した薬局の調剤業務復興を支援するために、保険薬局向けソフトウエア「調剤Melphin(メルフィン)」をはじめとする保険薬局システムの無償提供を行っている。「調剤Melphin」は、処方せんの入力や領収書発行などの薬局業務を支援するソフトで、薬の相互作用チェックなども行うことができる。今年9月30日まで申し込みを受け付け、提供期間は来年3月31日まで。事業が軌道に乗ってからも返却は不要だ。これはまさに被災地のニーズに合った支援で、同社へ感謝状を贈呈した薬局もあるという。
さて、被災地で滞っているのが電力供給。電気製品やインターネットの使用はおろか、携帯電話の充電もままならない。このニーズに応えるため、電機大手のシャープは電気機器の製造・販売を手がける新神戸電機と共同で、被災地向けの独立型ソーラー発電システムを開発した。電源確保に困っている緊急避難場所などで活用してもらおうと、250セットを被災地へ寄贈した。