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2. 社員が集い、楽しむ場をつくる

食事の場だけではもったいない!社食で健康とコミュニケーション向上を(エックス都市研究所、リクルート、パソナグループ、丸の内ハウス)

2. 社員が集い、楽しむ場をつくる

■ライブ、パブリックビューイングと、使い方に工夫

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「月刊サウス」

4ヵ所の社内ダイニングはみな、窓が大きくて採光と見晴らしは抜群。社員が連れだって集まり、会話が弾みそうな明るい雰囲気だ。それに加えて「タテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションの場」としての工夫がとり入れられている。
社内コミュニケーション誌「月刊サウス」でも、社内ダイニングがとり上げられている。そこにはそれぞれのメニューの紹介だけでなく、食堂でのイベント情報などが掲載されている。「社員はみな食事への関心が高いので、そこを効果的につく情報伝達を考えています」と山上菜緒さんは話す。

ダイニング「空箱」の内装はシンプルだが、展望がよく、ホテルのレストランのようだ。夜はバーとなり、グループ内の歓送迎会やプロジェクトの打ち上げパーティに利用されることも多い。また、ライブステージやスポーツなどのパブリックビューイングにも使われている。年末には毎年恒例の社員ライブイベントが開催され、2010年末には2日で400人がライブを楽しんだ。「社内ダイニングが、食べるだけではなく、社員がつながる場として役立っています」(山上さん)。

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リクルート総務部の山上菜緒さん(右)とCSR推進室の小林弦美さん(左)

利用方法はさらに広がりを見せている。リクルートは2010年4月に環境ビジョン「more eco more smile」を設定し、事業や商品・サービス、オフィスでの生活において地球環境保全活動を行っているが、それには社員の意識変革やエコ活動の広がりが欠かせない。この取り組みにも社食が役立っている。2011年度は、社内ダイニングに置いてある割り箸を、間伐材を使用した箸にすることによって、林業支援の取り組みへ参加するとともに、社員のエコ意識の喚起の機会を作っている。

「エコが大切とわかっていても、具体的な行動に移すことは難しいですね。だから、毎日の食の場で気軽にエコ活動に参加でき、かつ知識も得られる仕組みを考えました」。CSR推進室の小林弦美(もとみ)さんは話す。社食が会社の環境活動の場にもなりえる、という新しい試みだ。

■社員の健康を守るための食材を ― パソナグループ

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社食で人気のサラダバー。"大手町産"を中心に、できるだけ採れたての鮮度の高いものを使用。食べ放題で、ランチタイムを彩り豊かにしている。

社食を社員の健康増進に役立てようという動きもある。人材派遣、人材紹介、再就職支援など、人と雇用に関わる総合人材サービスを提供しているパソナグループは、社食で提供する食材に気を配っている。同社は大手町の本社で、1階中央エントランスの水田をはじめ、水耕栽培によるサラダ菜、トマトなどを栽培していて、それらを社食で提供する「自産自消」を実践している。また同社は、農業分野で独立を目指す人たちへの就農支援事業「チャレンジファーム」を行っているが、淡路島の農場や研修受け入れ農家からも新鮮な有機野菜などを取り寄せている。

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本社1階中央エントランスの水田

パソナグループは、2010年の本社移転を機に、自然との共生をコンセプトに掲げ、「働く人の健康」「農業」「エコ」の3つをキーワードにした「アーバンファーム」に取り組んでいる。本社オフィス内にある水田や植物工場などもこの一環だ。水田からは1回50?、年3回の収穫ができ、おにぎり3,000個分のお米がとれる。またオフィス内には、どの部屋にも野菜などが栽培され、都会にいながら春夏秋冬が感じられるつくりとなっている。各部門で社員が交代で育てているのだそうだ。また、1階オフィスにある植物工場で収穫される葉物野菜は1年を通して2万株にもなるという。

「花や緑に囲まれると自然と心がなごみストレスが軽減されます。また、みんなで育てることで社員同士の交流も深まっていますし、自分たちが育てた新鮮な野菜の味は格別で、みんなが健康で活き活きと働ける職場づくりに大いに役立っています」と広報室の藤巻智志さんは話す。

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