シリーズ知恵ブクロウ&生きものハンドブック

丸の内から、宇宙へ。

私たちの住んでいる宇宙とは、いったいどんな世界なのでしょうか。丸の内から、宇宙へと旅に出てみませんか。

今、宇宙が熱い

私たちが生きる21世紀とは、いったいどんな時代でしょうか。

1000年後の歴史教科書には、21世紀は宇宙時代の幕開けであったと書かれると、私は思います。16世紀に、ガリレオ・ガリレイが手作りの望遠鏡で星空を観察してから、400年。近年の急激な科学と技術の発展は、私たちに新しい宇宙の姿をもたらしています。
私たちは、宇宙が137億年前に一点から生まれたことを知っています。宇宙には、無数の銀河が散らばっていることを知っています。星にも寿命があり、輪廻転生を行っていることを知っています。銀河系の中には、1000億もの星があり、太陽はそのひとつに過ぎない事を知っています。そして、どうやら生命が住めるような環境を持つ惑星があってもおかしくない事を知っています。

このような事がわかってきたのは、つい最近の事です。天文学の進歩はまさに日進月歩。日々新しい発見が報じられ、私たちの宇宙についての知識がどんどん広がっていっています。21世紀は、人類の宇宙に対する理解が急激に深まっていった、宇宙時代の幕開けだと言える所以です。

しかし、宇宙は遠し

では、私たちはこういった宇宙の姿をどれくらい知っているでしょうか。

ふだん見ている星空と、最先端の天文学の話題がどのようにリンクしているのか、それをすらすら語れる人は皆無です。それがふつうです。日々の暮らしからすれば、天文学の世界はかなり遠いところにあると言えるでしょう。
これは致し方ない面もあります。あまりに急激に天文学が発展したため、その内容を語るにあたって、研究者が使う言葉から私たちが日常的に使う言葉へと置き換える努力が、まだ足りていないのです。また、そのような機会も不十分です。天文学の発展が、皮肉なことに、私たちの日常から宇宙を遠いものにしてしまったのです。

もっと宇宙を楽しもう!

少しずつではありますが、宇宙の楽しみを日常にする努力は始まっています。
メディアを通じて宇宙について触れる機会も増えてきました。プラネタリウムや科学館など、優れた施設が日本にはたくさんあります。本屋に行けば、たくさんの宇宙に関する書籍が並んでいます。

「まるのうち宇宙塾」も、そのような取り組みのひとつです。毎月1回、丸の内さえずり館を会場に、天文学分野で活躍する若手研究者をお招きし、トークイベントを行っています。まるのうち宇宙塾では、参加者と講師の対話を重視し、毎回たっぷりの質疑応答の時間を用意しています。講師の持つ宇宙観に刺激されながら、私たちそれぞれが持つ宇宙観を育てていく。そんな経験をしていただければと思っています。

丸の内から宇宙へ。最初の一歩を踏み出してみませんか?

高梨 直紘
高梨 直紘(たかなし なおひろ)

1979年広島県広島市生まれ。
東京大学理学部天文学科卒業、東京大学理学系研究科博士課程修了 (理学博士)、国立天文台広報普及員、ハワイ観測所研究員を経て現在に至る。
東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラムを担当。専門分野はIa型超新星を用いた距離測定と天文学コミュニケーション論。

天文学普及プロジェクト「天プラ」代表
東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム

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