イベント3*3 LABO・レポート

【3*3 LABO レポート】訪日観光業からみる、アジアの未来

2013年8月21日(水)18:30〜21:30

3*3ラボ 8月21日開催
訪日観光業からみる、アジアの未来
〜クアラルンプール生まれの若者の世界への挑戦〜
ゲスト:株式会社フリープラス代表取締役 須田健太郎氏

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今回の3*3ラボでは、"訪日観光業"を通じて日本を観光立国にしようと奔走
する若き起業家、株式会社フリープラス代表取締役の須田健太郎さん(以下
、須田さん)をお迎えし、「訪日観光業から見る、アジアの未来」について
ディスカッションしました。
須田さんの訪日観光業への思い、日本観光立国化に向けた価値観を伺って議
論が進むにつれ、私たちが残したい日本の価値って一体何なのか?私たちが
守りたい文化伝統は海外の方が旅行に来たときに本当に知りたい事なのか?
伝統と革新を繰り返すこの時代に残したい伝統を守ることは日本人のエゴな
のでは?と、改めて"日本の価値とは何か"、様々な視点から問い直す深い議
論になりました。

熱気あふれる当日のレポートをお届けします!
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自分がいなくなっても残り続けるビジネスを
須田さんは1985年クアラルンプールで華僑の母と日本人の父との間に生まれ
11歳の時に日本に移住しました。人生の転機は20歳の成人式の夜。人生の中
でたった一度しか迎えることの出来ない成人式というイベントから初めて感
じた「死」への恐怖。自分が生きた証をこの世に残すため起業を決意します。
その後21歳で大学を中退、2007年に22歳で「世界企業を創る」という確固
たる思いを胸に会社を起業し、2010年に訪日観光業を開始しています。

日本で唯一の訪日旅行系ベンチャー
株式会社フリープラスは訪日観光に特化した旅行会社。「本当に働きがいの
ある成長企業」に贈られる賞「就職アワード」2012,2013年度2年連続受賞や
2013年04月11日、ワールドビジネスサテライトの特集 "観光立国ニッポンへ
次の狙い目は" にて特集されるなど、今最も注目されているベンチャー企業
のひとつです。

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「フリープラスの使命は、"日本の観光立国を成し遂げ、日本のファンを世界
に広げ、日本の元気の原動力となる"ことです。それに向かって事業を拡大し
ています。」(須田さん)

訪日旅行業に参入した当初、最初は何もかも手探り、事業をスタートしていき
ました。「パソコンを携えて上海に降り立ち、まずはテレアポで営業をしてい
きましたが、当然の如く追い出される日々が続きました。しかし何度も営業し
通い詰めて行くと、私たちの理念に共感してくれて、最初はバスの手配等の小
さな仕事を任せていただけるようになり、そこから徐々に仕事が増えていきま
した。その時つながったバス会社の方には現地の旅行業について様々なことを
教えてもらいました。」(須田さん)

初年度の受け入れ人数僅か2名と黎明期が続きます。さらにこの状況に追い討ち
をかけるように東日本大震災が発生。外国人は日本への観光どころではなく、同
業他社は軒並み廃業に追い込まれていくのを横目に見つつ、須田さんはその状況
をどう乗り切るか、前を見続けて動いていきました。

「震災直後は客観的に見ると最悪のタイミングでした。しかしその時期だからこ
そ、いかにしてイベントの費用対効果を上げていくのか考え、アジア諸国を回っ
て日本を応援してもらう、日本に来てもらうための営業を地道に続けてきました。
その結果2年目の受け入れ人数は600人、翌年は4800人。そして4年目の今年は250
00人に迫る勢いです。5期目には売上規模20億円、受け入れ人数50,000人を達成
し、アジアNo1の訪日観光業カンパニーを目指しています。」(須田さん)

現在、大阪と東京に加え、中国、ベトナム、インドネシアに拠点があり、中国、
台湾、ベトナム、マレーシア、フィリピン、タイ、ミャンマー、カンボジアを始
めとする世界14ヶ国との取引実積があります。団体ツアーから企業や政府向けの
ツアーまで幅広く対応し、日本を訪れてくださる外国人のお客様に人生に残る最
高の思い出をプレゼントするため、多様なコンテンツを開発しています。

観光立国ニッポンへ 次の狙い目は
アジアNo.1の訪日観光業カンパニーになるべく、須田さんは次なる事業展開も目
論んでいます。
「今後は、"日本で一番のランドオペレーター"から "訪日観光客に特化したエン
ターテインメントホテルの開業"を目指しています。海外からの訪日観光客は、多
くの方がビジネスホテルを利用されます。日中は楽しめているのに宿泊は味気ない、
それではもったいない。宿泊するという事もエンターテインメント化して、トータル
で楽しんでいただけるような場所を作れればと計画中です。」(須田さん)

インバウンドのランキング、第一位のフランスが年間8000万人の観光客を受け入れ
ているのに対し、日本は僅か837万人。また、観光産業関連予算の目安はGDPの10%
といわれており、観光立国といわれている国々では平均を上回る12~13%ですが、
日本は6~7%に留まっているのも現状です。まずはインバウンドランキングを上げ
ていくことが一つの目標になると須田さんは語ります。

日本を観光立国にするため、外国人に良いエクスペリエンスを提供するための事業
を展開しようと意気込んでいる須田さん。日本に外国人旅行客が溢れて全国各地が
賑わっている近い未来の様子が須田さんの目には映っています。

日本人が見ている「日本」とアジアから見えている「日本」
後半はモデレーター土谷貞雄さんとのディスカッション。須田さんが目指す「エン
ターテインメントとしての訪日観光業」というキーワードを土谷さんの切り口で掘
り下げていきます。

土谷:日本の魅力を届けるというミッションの元、訪日観光業を展開していますが
例えば日本の原風景や文化伝統が息づいている日本の里山、山間部などについては
アジアの人はどう見ていますか?
須田:日本の里山では白川郷が人気です。アジアの人は、日本の伝統は好きですが
文化にはさほど興味がありません。"エンターテイメントとしての観光業"と"日本の
文化を知る旅"は異なることを現地の人が認識する必要があると感じています。僕た
ちはあくまでアジアの人が日本に求めているエンターテイメントを提供しているとい
うスタンスでビジネスをやっています。
土谷:"日本のファンを作る"というミッションは、"エンターテインメント=作り物"
としての日本を伝えるということ?

須田:エンターテインメントとしての日本を伝えることは日本のファン作りにおける
最初のステップと捉えており、この土壌がある程度成熟しビジネス化できたら、次の
ステップとして日本の本質的な素晴らしさを伝えるコンテンツを作っていきたいと考
えています。まずは多くの外国人に日本に来てもらう事を目指しています。

土谷:エンターテイメントとしての"日本らしい日本"を伝えることは、日本を愛して
いる須田さんの思いとリンクするのでしょうか。忍者ホテルのような、現代には存在
していないけれど、体外的に"日本らしさ"を持っているコンテンツが旅行客に喜ばれ
るからそういったコンテンツや場所を作る、ということを続けていくことについてど
う考えますか?

須田:観光客が喜ぶ日本の要素があれば、それでいいと思っています。文化の観点で
はない。文化は時代に合わせて変容していきます。それに伴い今のビジネスモデルも
10年くらいで衰退すると感じています。それは日本の歴史が証明していること。歴史
や文化は時代のニーズに合わせて塗り替えられていくので、その時代に合わせてビジ
ネスを仕掛けていこうと思っています。

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最後に土谷さんはこう締めくくりました。
「現在東南アジアは右肩上がりに経済成長を遂げていますが、いつか限界が来ると思
っています。日本は数十年前に同じ道を歩み、既に限界を知った国。成長していくア
ジア、衰退しつつある日本、日本にアジアの人が来続けることで関係を継続するとし
て、今後アジア・ヨーロッパなど他国に対して日本をどうブランディング、日本をど
うやって世界に売りたいのか?今後考えていかなければいけないテーマですね。須田
さんからはとても良い問題提起をしてもらいました。」

マーケットがあるところにはビジネスモデルが生まれていきます。そしてエンドユー
ザーの満足度を高めていくという受動的な動きと、文化・伝統を守っていくという能
動的な動きをどうバランスしていくのか。そこに私たち日本人のビジネスセンスと美
意識が問われているような気がします。

3*3ラボ(さんさんらぼ)

環境プロダクト「ものづくりからことづくり」研究会

3R(Reduce:減らす、Reuse:再活用、Recycle:リサイクル)と3rdプレイス(家と職場以外の場所)づくりを目指し、毎月ゲストをお招きしたセミナーを実施します。

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