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【レポート】近未来の東京と働き方改革―人間の真価と都市の未来を考える(後編)

エコッツェリア協会会員総会(2017年6月22日) 渋澤氏、苫米地氏、理事長・伊藤滋が「人間の豊かさ」を語る

渋澤健氏、苫米地英人氏の講演につづいて、エコッツェリア協会理事長、伊藤滋の司会でパネルディスカッションを実施。都市の未来とともに、人間の未来、そして豊かさについて語り合います。(前編はこちら中編はこちら

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人間にしかできないこと

人間にしかできないこと――パネルディスカッション

渋澤氏、苫米地氏のインプットを受けて、後半は伊藤理事長のファシリテーションでパネルディスカッションへ。伊藤理事長は「渋澤さんの最後の話まではなんとかわかったけど、苫米地さんの話は全然分からない(笑)」と、苫米地氏のトークが高度に専門的であったことを冗談めかして指摘。2人の話の感想として「東京の人はなかなか枠を超えられないんじゃないか」「地方の面白い都市のほうが枠外の人(未来を作る)が集まる」「(苫米地氏が指摘した)高度なエンジニアもそういう都市に集まっているんじゃないか」と次々と発言し、持論を展開していきます。

「格差社会是正のために所得税率を引き上げる」「生産年齢人口の上限の定義を10歳引き上げる」、人口減少対策として「都内なら3人目生まれたら500万円給付」「混血の推奨」といった提言が行われました。

生産年齢人口の提言は現在15~65歳の定義を75歳まで引き上げよというもので、主眼は新しい労働場所、職業の在り方を模索するということになりますが、苫米地氏が反応し「未来は人間が働くことがものすごいハイバリューになる」と指摘、可能性が高いことを認めています。苫米地氏はトークでも将来はAIの普及により、社長業すらAIになるように人間の仕事が減ることを予測しており、人間の仕事、能力の定義が変わると話しています。伊藤理事長は高齢者に保育士の補助をやらせると良いと話しましたが、それに首肯し「将来は"あの保育園では人間が面倒を見てくれてるぜ"っていうのがものすごい価値になる」と述べました。

また、未来の「豊かさ」についての議論では、GDPが減少する中でも豊かな生活を営める新しいライフスタイルを作る必要があると伊藤理事長は指摘していますが、これを受けて渋澤氏からは「豊かさ」を別の視点から捉える発言も。
「人口が減るということは、考えてみれば1人あたりが使える国土の量が倍増するということで、それも豊かさのひとつと言えるのではないか」(渋澤氏)
これに重ねて伊藤理事長も、規制の多い農地利用について「血を入れ替えることが大切だろう」と指摘しています。

人間の豊かさから派生して、AIの普及と人間の仕事の在り方についての議論にも及びましたが、その中で渋澤氏は「AIがどんなに発展しても『意味』を見出すことはできないだろう。最後、人間に残るのは『意味』ではないか」と発言。苫米地氏がそれを引き取って、「これは人間が本来の仕事に戻るチャンスかもしれない」と指摘します。AIの仕事とは「内側の最適化」であり、「外側の視点から新しい何かを生み出すこと」は人間にしかできないこと。
「現状の外側にゴールを設定して、初めてクリエイティブになれる。もともと日本人はそういうことが得意だったのにその力を完璧に失ってしまった。AIが普及することは、その本来のクリエイティブな仕事に戻るいいチャンスかもしれない」(苫米地氏)

パネルディスカッションは、そんなところでタイムアップ。司会の井上成(エコッツェリア協会プロデューサー)も「これはまとめきれるものではない!」と会場の笑いを誘いましたが、それだけ多岐にわたる実りあるディスカッションであったと言えるでしょう。

エコッツェリア協会の今後にご期待ください

この後、エコッツェリア協会専務理事の村上より昨年度の活動報告、今年度の活動方針の発表がありました。そこではエコッツェリア協会が引き続き「環境」「経済」「社会」の3つのギアが噛み合って回転するサステナブルな社会づくりを進めていくことを確認。今年度の新たな取り組みとしてJA全中、農林中金、三菱地所との連携事業がスタートしたことのほか、地方との連携を強めていくことも発表されました。その後の懇親会では、会員のみなさま同士の交流もお持ちいただき、総会はなごやかな内にお開きとなりました。
エコッツェリア協会は、今後も大丸有に集う人の絆を大切にし、持続的な社会、まちづくりを進めてまいります。


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