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【地球大学アドバンス速報】第28回 テーマ:「人類のターニングポイント」 ゲスト:枝廣淳子氏

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3月5日 (金)、新丸ビル10階エコッツェリアにて、第28回地球大学アドバンスが行われました。

今回のテーマは「人類のターニングポイント」。ゲストに、『不都合な真実』、『私たちの選択』の訳者としても知られる枝廣淳子氏(環境ジャーナリスト、有限会社イーズ代表)を迎え、ターニングポイントに立つ私たち人類の立ち位置についての、講演と討論が行われました。

第28回地球大学アドバンス トピックス

・大切なターニングポイントに立つ私たち
・「コストリテラシー」を養う大切さ
・枝廣さんがみた2009~10年"世界の動向"~アル・ゴアの新著の反響も含めて
・「温暖化論のホンネ」~懐疑論者との討論で見えてきたこと
・この3年で日本は何をやるべきか?

イベント詳細

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●「こんなに生きるのにワクワクする時代はない」

枝廣 「専門領域は異なる竹村さんと私ですが、共通しているのは『今はチャンス。こんなに生きるのにワクワクする時代はない』、そう、本当に思っているところです。
私たちの文明は未熟です。未熟だから、こんなにもたくさんの問題がボロボロと出てくる。しかし今、それを成熟する方向へ少しでも向けられるチャンスが、そこここにあります。こんなに面白い時代はありません」

このような言葉で始まった第28回地球大学アドバンス。
不況や温暖化懐疑論、CO2排出権取引、地球温暖化と生物多様性とエネルギー問題のつながりを紐解きながら、現代の人・企業・国のあり方についての考えが話されました。

枝廣 「現代は、『脱○○』の時代と言われています。暮らしの脱所有化(本、家、車のシェアリングなど)、幸せの脱物質化(つながりや自然・農への回帰、隣人祭りなど)、人生の脱貨幣化(半農半Xで生活する若者など)、・・・・・・。モノの豊かさから、心の豊かさを求める時代に、変化しつつあります。
人々の価値観は、あっという間に変わりうるものです。ほんの数年前までは、現在一般的に使用されている白色度80%のコピー用紙は、白色度が足りないので使えないといわれたのに、今では白色度90%のコピー用紙では白すぎて目に痛いなどという声が聞こえるほど。
現在地球が抱えている問題の解決のために人々の価値観を変える必要があるならば、企業も国も、人々の意識の誘導の方法を、もう少し考えるべきかもしれません。
その方法のひとつが、『バックキャスティング』。少し先の大きな目標を設定し、その地点から現在に向けて遡りながら、そこに至るまでに達成すべき中目標を設定する手法です。一度に全てを変えようとしても変わらない。変化に向けて、移行のリードタイムを設け、代替案を明確に提示するとよいと思います」

●脱貨幣社会とTOKYO SHIFT
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枝廣氏の講演後には、モデレーターの竹村氏との討論が行われました。

竹村 「現在、日本で7万人が都市農業を行っています。身の回りのもの全てを貨幣で手に入れるような生活は、20世紀になってからのものです。最低限の水や食料を自分で確保することは、社会の変化や災害時に自衛の手段にもなります。これからは、21世紀的な文脈で、貨幣に依存しなくても生活ができるよう、社会を再定義していく必要があると思います」

枝廣 「その足を引っ張っているのが、『指標』の問題です。現在、社会の進歩を測る指標にはGDP(国内総生産;Gross Domestic Product)が使われます。2009年に政府が掲げた『GDPの名目で平均3%の成長』、これを毎年積み重ねると、24年後に経済規模は倍になります。それは、果たして実現可能で、サステナブルな社会の進歩といえるのでしょうか?
ブータンは、GDH(国民総幸福度;Gross Domestic Happiness)を打ち出しています。GDP上は貧しいブータンですが、個人の生活においては、お金がなくても自給自足で必要なものがほぼ手に入り、困ったことがあれば周りに助けてもらえる、心豊かな社会があります」

竹村 「『お金が無いけど幸せ』というのは、単なるロマンチックな話ではありません。逆に、お金に依存していると、資源価格の乱高下などの変化に生活の全てが大きな影響を受けてしまいます。『良い加減』のお金への依存と、貨幣化されないエコノミーによる国家の安全保障を考えるべきですね。
私は、来年度は『東京』にこだわっていきたいと考えています。『TOKYO SHIFT』と題し、東京の大きな変化に、東京での都市農業も含めて取り組んでいきたい。
都市の抱える問題は、世界中のメガシティで共通しています。日本の問題は世界共通のものといえます。東京が世界に先駆けたモデルを提示していくことは、世界各地への直接的な支援よりも、地球貢献になるかもしれません。
2010年度第1回目の地球大学アドバンスのテーマは『TOKYO SHIFT』です。東京と日本の未来を『地球目線』でリデザインしてみようという、この企みについて、みなさんと一緒に考えたいと思います」

次回の地球大学アドバンスは、4月12日 (月)です。
年度始めにあたり、講演終了後に懇親会を予定していますので、みなさんもご参加下さい!
第29回地球大学アドバンス 【2010年度 第1回】「TOKYO SHIFT」へのビジョン――竹村真一基調講演

地球大学アドバンスのイベントレポートは、コチラから
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