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【環境コミュニケーションの現場】 「人が主役」の照明で省エネと快適性を両立する ― イトーキの新照明システム「エクタル」

節電と省エネへの対応が迫られる中、仕事の効率を落とさずにいかに省エネと節電を実践するかは、あらゆる企業にとって重要な課題です。企業による環境やCSRに関する広報・普及の現場を取材する【環境コミュニケーションの現場】。第17回は、新照明システム「エクタル」をはじめ、オフィス空間における環境性能と快適性の両立を追求してきた(株)イトーキの取り組みを紹介します。東京都中央区入船にある同社の東京ショールームにおじゃまして、販促PR戦略室長の伊藤宏志さん、ソリューション開発統括部・Ecoデザイン設計開発室長の川田勝さん、ICTソリューション企画推進部・プロダクト推進チームリーダーの秋山恵さんにお話しをうかがいました。
イトーキ

「見える化」などの環境技術を集大成したワーキングショールーム

― 東京本社のオフィスビルが、そのまま東京ショールームになっているんですね。
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天井を照らすアンビエントライトにより、人が視覚的に「感じる明るさ」を演出する

川田: 2011年2月に東京ショールームをリニューアルして、イトーキが提案する知識創造型オフィスの具体的な姿をご覧いただける場に生まれ変わりました。1階から3階がプレゼンテーションショールーム、4階から8階が実際に社員の働くワーキングショールームとして、ワークプレイスづくりに必要なICTとユニバーサルデザイン(UD)、そして「見える化」などの環境配慮技術を集大成した場になっています。

たとえば、この5階は「閃く瞬間、アイデアの源」をコンセプトとして、創造性にあふれたオフィス空間のモデル空間を実現しています。新照明システム「エクタル」を導入することで、適切な場所に必要な配光を行いながらも空間全体として光の不足を感じないように設計し、快適な光環境と省エネルギーを両立しています。

― 環境省主催の「省エネ・照明デザインアワード」で優秀事例に選ばれました
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「ワーキングショールームは新ユーデコスタイルの集大成」と話す川田勝さん

川田: ワーキングショールームとしての運用を開始してから約1年にわたり実証実験を行った結果、エクタルの導入前に比べて照明電力量を63.1%も削減することができました。この数字は業界における最高水準です。その成果が高く評価されて、優れた省エネ効果を達成しながら魅力的な空間をつくり出す「新たな省エネルギー型の照明デザイン」の普及を目的とする、「省エネ・照明デザインアワード2011」の総合施設・公共施設部門で優秀事例として選出されたのです。


人が視覚的に「感じる明るさ」に基づき光環境をデザイン

― ここでの実績を踏まえて、新照明システム「エクタル」を2012年1月に発売しました。開発の経緯と特長を教えてください
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エクタル」の開発に携わった秋山恵さん。「タスク・アンビエント方式」の効果を熱く語る

秋山: オフィス占有部のエネルギー消費において照明が占める割合は、約40%にもなります。照明の消費電力を削減するためには、LEDの導入や運用面での改善などさまざまな方法がありますが、節電のために照度を下げると空間全体のトーンが落ち、「省エネかもしれないが薄暗い」という指摘をいただくようになりました。イトーキはこの課題を解決するために、人が視覚的に「感じる明るさ」に基づいて光環境をデザインする「タスク・アンビエント方式」を採用した省エネ快適照明システムの開発に取り組み、エクタルを完成させたのです。

従来の照明計画では、机の上など特定の場所がどれだけ光に照らされているかという「照度」の確保が重要視されていたために、空間全体をまんべんなく明るくする「全般照明方式」が一般的でした。これに対してエクタルは、天井面を照らすことでオフィスにとって最低限必要な明るさを確保する周辺(アンビエント)向けのライトと、作業空間(タスク)を局所的に照らすライトを組み合わせた「多灯分散照明方式」を採用しています。これにより、光環境の快適性を損なうことなく電力消費量を大幅に削減することに成功しました。

― 確かに、部屋全体が明るいわけではないのに、デスクの上や打ち合わせスペースには光がしっかりと届いています。特にアンビエントライトはデスクと一体化していて、言われないと照明だとは気づきませんね
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省エネ快適照明システム「エクタル」を導入したワーキングショールーム

秋山: エクタルは、イトーキの最新オフィスシステムである「コア&セル」に完全に対応しており、デスクとパネル、木製家具で統一されたモジュールによる一体感のあるオフィスデザインを行うことが可能です。また、作業内容に合わせてタスクライトの色温度を変更したり、光センサを組み合わせて外光に応じて照度を自動調整したりすることも思いのままです。さらに、大がかりな天井工事の必要がなく、オフィスのレイアウト変更などにも柔軟に対応できる点も、施主や設計事務所から高く評価されている点です。

省エネ快適照明システムを実現する上で欠かせないのが、施工後に感じる明るさを事前に評価し、最適な照明計画を行うことです。イトーキでは、人が感じる明るさを数値化するとともに視覚的に疑似体験できる照明支援ソフト「REALAPS」を活用するなどして、レイアウトや働き方に合った照明空間を提案しています。

「新ユーデコスタイル」がオフィスとワークスタイルを変える

― エクタルやコア&セルなど次世代オフィスシステムの基本となっている考え方はなんでしょうか?
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「情報化が進んでも、コミュニケーションの中心は人です」と話す伊藤宏志さん

伊藤: エクタルは、「現代のオフィス空間であるべき照明とは何か」という問いに対して、イトーキが出した一つの答えです。エクタルやコア&セルをはじめとするイトーキのあらゆる製品とサービス、そして空間デザインは、「新Ud&Eco style(ユーデコスタイル)」に即して生み出されています。新ユーデコスタイルは、ユニバーサルデザイン(Ud)とエコデザイン(Eco)の融合による持続可能な共創社会の実現を目指して、1999年に企業理念として掲げたユーデコスタイルを2010年に見直したものです。

オフィスの情報化がどれだけ進んでも、コミュニケーションの中心は人であり、新しいものを創造するのもまた人です。こうした考えに立って、新ユーデコスタイルでは「人も活き活き、地球も生き生き」をモットーとして、UdやEcoを製品のみで実現するのではなく、空間として具現化していくことを目的としています。

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Photo by 淺川 敏
「エコニファ」は、針葉樹から生まれた画期的なオフィス家具だ

川田: 新ユーデコスタイルの理念をかたちにした取り組みの一つが「Econifa」(エコニファ)です。わが国で森林の大部分を占めるにもかかわらず家具には向かないと言われてきた針葉樹から、独自の技術によりオフィス家具などを生み出しました。林業の衰退などの影響で深刻化している森林の機能低下に歯止めをかけるとともに、森林の活性化によるCO2吸収量の増加や、木材利用によるCO2固定量の増加などを目指します。

エコニファは、2010年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」(木促法)も追い風となって、すでに全国各地の施設などで採用していただいています。今年5月からは、山梨県で家具や建材などによる水源地ブランドの構築を目指す「やまなし水源地ブランド推進協議会」に参画して、エコニファのビジネスモデルを生かした地域活性化に取り組んでいます。

カーボン・オフセットサービスに参入、環境ソリューションの発信も

― 2011年にはカーボン・オフセット関連のサービスを開始しました。オフィス家具メーカーでは珍しいのでは?
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「スピーナチェア」は、カーボン・オフセット大賞の優秀賞を受賞した

伊藤: 2011年11月からいわゆる排出権取引事業に参入し、CERやJ-VER、国内クレジットなどを活用するオフセット代行と、温室効果ガスの排出量算定、そしてJ-VERや国内クレジットなどをつくり出すクレジット創出支援の3種類からなるサービスの提供を開始しました。国内の家具メーカーでは初めての挑戦です。企業として地球温暖化防止に貢献するために、これまでもエコワークプレイスの提案などを行ってきましたが、排出権取引事業に参入することでより踏み込んだ取り組みを行っていきます。

また、2010年にタスクチェアとして業界で初めてカーボン・オフセット認証を取得し、カーボン・オフセット大賞の優秀賞を受賞した「スピーナチェア」は、現在もカーボン・オフセット認証を引き続き取得して販売しています。

秋山: 環境関連ではありませんですが、独自に開発した「LANシート」も人気の商品です。オフィスの作業スペースや会議室などのテーブル面にセットするだけで、その近くにいる人だけが無線LANの電波を利用できます。ICTの急速な発展と普及に伴い、オフィスのあり方や働き方が変わりつつある今、簡単に安心して使えるLANシステムとして注目されています。
LANシート

伊藤: 環境コミュニケーションについては、専用のウェブサイトを開設して、カーボン・オフセットのほかエネルギーやマテリアルマネジメントなどのサービスに関する情報を発信するなどして力を入れています。イトーキではこれからも新ユーデコスタイルの理念を基本として、環境と健康に配慮した「人が主役のオフィス環境」の提案を続けていきます。
イトーキ ソリューションウェブサイト EcoWorkstyle.com

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