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【スペシャルレポート】 "徳之島"は日本を変える起爆剤

丸の内プラチナ大学 ヨソモノコース 徳之島伊仙町ツアー 11月4日(金)~6日(日)

2016年11月4日~6日まで、丸の内プラチナ大学ヨソモノコース受講生(以下、プラチナ受講生)有志による徳之島視察ツアーが敢行されました。

これまでコースでは数ヶ月に渡り地方自治体から課題提示と受講生との議論を重ね、さまざまなビジネスプランを提案してきましたが、今回の視察では、徳之島の現状を見ることで、ビジネスプランの掘り下げや、新しいアイデアの発案につなげることを目的にしています。また、地元の空気を肌で感じ、地元のプレイヤーと交流し、よりリアルな関係性を構築することも重要な目的。2泊3日のスケジュールは盛りだくさんかつ濃密で、参加者たちは多くの成果を得ることができたようでした。

<1日目>地元高校生たちとのセッション/地元関係者・町職員との交流会
<2日目>景勝地・観光地、ビジネス候補地の視察/「伊仙町で語る会」農業・観光ほか島のプレイヤーとのセッション/交流会
<3日目>町職員との意見交換会/景勝地視察

参加したのは受講生のうち12名。いずれも徳之島をベースにしたビジネスや二地域居住に強い意識を持っている面々で、将来的に移住を検討している人もいます。受け入れる伊仙町サイドのメンバーも、地方創生に向けて積極的に動いている人々ばかりなうえ、"ヨソモノ"に対する理解と期待も抱いています。今回のツアーにも同行している講師の松田智生氏が常々口にしている「化学反応」が期待できそうです。

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<11月4日>高校生たちと島の未来を語る

<11月4日>高校生たちと島の未来を語る

15時30分到着の飛行機で徳之島を踏んだ一行は、空港での記念撮影もそこそこに離島唯一の私立高校、樟南第二高校へ。ここでは丸の内プラチナ大学の受講生たちが、先輩ビジネスマンとして日頃どんな仕事をしているのか、どんな働き方をしているのかを高校生たちに伝えるキャリア教育的のセッションを行います。参加したのは、樟南第二高校から54名、県立徳之島高校から18名、合計72名の生徒です。主に1、2年生で、事前に各クラス・部活で希望者を募ったところ、先生たちも「こんなに?」と驚くくらい応募があったそうです。

開会に先立って、伊仙町未来創生課の四本延宏氏から挨拶で簡単に丸の内プラチナ大学の説明があった後、「島の未来を考えるなら、まず高校生の話を聞いてみたいというご要望があった。また、高校生のみなさんには、普段なかなか聞けない、いろいろな職業の現場のことを聞いて学んでほしい」とセッションの趣旨説明があり、いよいよ本番へ。

プラチナ受講生の職業とテーブル番号がホワイトボードに掲出されており、生徒たちは自分が気になるテーブルに着いて話を聞きます。15分を1セッションとし4回。生徒たちはその都度テーブルを移動して、3人のプラチナ受講生から話を聞くことができます。概ね一つのテーブルに5~7名程度が着席し、熱心に話を聞き入る姿が見られました。

あるプラチナ受講生が「こんなにも大勢の高校生に、キラキラとした目で熱心に見つめられたことはなかった」と後になってつぶやくほど、このセッションは純粋さと情熱に満ちたものになりました。東京での講義の際には、島の高校生たちの就業意識が低いのではという懸念が語られたこともありましたが、将来の希望は決して諦観がまぶされた一様さではなく、希望に満ちた多様性があり、プラチナ受講生とのセッションで、さらに拍車がかかったようです。まとめの意見発表では、「残業で、家で晩御飯が食べられない仕事があることに驚いた」という発見や、さまざまな女性の働き方があることを知ったという感想などが挙げられましたが、「人から頼まれるとうれしい、役に立ちたいという気持ちが好きなんだと気づいた」「笑顔を大切にした仕事がしたくなった」と、働くことの意味や意義を考える意見も出されていました。

同席していた先生方も「離島でこうした取り組みをやること自体が意義深い」と感想を述べています。帰り際にある女子生徒に感想を聞くと、「もともと地域おこしをしたいと思っていた。まちづくり、まちおこしのことで良い話をたくさん聞けて良かった」とし、「ぜひ、後輩にも同じ機会を作ってほしい」という"お願い"も話していました。

島の心づくしを体で味わう

その後、一行は交流会の場へ。主に行政や議会の関係者にご列席いただいての一席となりました。とても華やかな歓迎ぶりで、島の料理、お酒が供され、合間合間には、島唄や「島口漫談」など、島の文化も披露されました。

(上)西先生とお嬢さんによる島唄の披露。(下)東氏による島口漫談。漫談のキレは素晴らしいの一言島唄は、鹿児島出身で島に赴任6年目という伊仙中学校の音楽教諭の西眞智子氏が、小学校5年のお嬢さんと登場して4曲を演奏、最後の「ワイド節」では、会場全体で輪になって踊ったのでした。島口漫談を披露したのは亀津(徳之島町)の東三彦氏。「島口」とは島の方言のことで、徳之島では、伊仙町、徳之島町、天城町の3町でも微妙に言葉が異なるそう。伝統的な文化かと思いきや「東さんが独自に編み出したもの」とのこと。このようなアクが強い「語れるプレイヤー」が多いことが徳之島の特徴と言えるかもしれません。

また、受講生たちからも一人ひとり、今回のツアーにかける思いや徳之島を舞台にしたビジネスについてのコメントもあり、会場の熱気も高まりました。挨拶に立った伊仙町議会議員、町議会議長の琉理人氏は「受講生のみなさんの熱い思いを聞いて、大いに期待したいと思っている。徳之島の歴史、文化に触れるまたとない機会。英気を養いつつも、ぜひ今後の活躍につながる手がかりを得てほしい」と期待を語りました。

<11月5日>濃密な弾丸ツアー

(左上)ムシロ瀬、(右上)ソテツトンネル、(左下)なくさみ館で牛に出会う一行、(右下)阿権集落の樹齢300年のガジュマル

2日目は景勝地、観光拠点を中心に島のポイントを巡りました。投宿したサンセットリゾートホテルからほど近い「ムシロ瀬」(花崗岩の露頭。奄美十景のひとつ)を皮切りに、金見崎の「ソテツトンネル」、第46代横綱・朝潮太郎銅像、新田神社(子宝神社)、喜念浜、闘牛施設の「なくさみ館」。昼食は島の観光拠点のひとつ「やどうり」にていただきました。やどうりでは、飾らない、ありのままの食事をいただいて、島の人々の暮らしに触れ、午後には石垣とガジュマルの木で知られる阿権集落(あごんしゅうらく)で、島独自の建築様式や生活文化を見学しました。

(上)島の南部によく見られる赤土の畑。土壌にミネラルは少ないが、作物に含まれるミネラルは豊富という不思議。(中)リモートオフィスに転用予定の喜念浜のコテージ。(下)やどうりは住民が復興した昔ながらの茅葺きの施設。こうしたポイントを巡りながらも、ただ観光するのではなく、その都度同行してくれた伊仙町の松岡氏、四本氏から解説や、関連する情報が紹介されます。

例えばソテツトンネルをくぐりながら、かつてソテツが救荒食として植えられた歴史が語られ、さらには、その背景にあるサトウキビによるモノカルチャー化が進んだ歴史を教えてくれます。また、新田神社は島屈指のパワースポットとして子宝を願う人の礼拝が絶えない場所ですが、島の宗教観や死生観といったもの、葬儀や埋葬のやり方なども紹介されました。喜念浜では、コテージがリモートオフィスとして転用される可能性があること、なくさみ館では、島民の闘牛にかける熱い思いや闘牛の面白さ、文化として根付いている背景を学ぶことができました。そして"陸の孤島"とも言われる阿権集落では、島の素封家の住宅とともに、古い共同体原理が根付く人々の暮らしぶりを垣間見ることができたのでした。

また、移動するバスの中でも絶えず車窓からの風景に付随した説明があり、島の地理的背景、地形に規定される生活文化の有り様、土壌の質と農業のあり方といったさまざまなことが説明されました。島独自の赤土による農業、遠く見える港湾の稼働状況、島の主産業であるサトウキビと製糖の現状など、風景のひとつひとつに情報があり、ストーリーが詰まっています。短い時間ながらも濃密過ぎるほどの情報量で、プラチナ受講生たちは大いに刺激を受けていたようです。

島のアウトラインとして押さえておかなければならないことは多々あって書ききれないのですが、ここでは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が、世界自然遺産登録に向けて大きく動いていること、面縄貝塚群、カムィヤキ古窯群といった国指定の遺跡から、徳之島が南西諸島文化圏で歴史上大きな役割を果たしてきたことが分かるという2つを挙げておきます。こうした背景があってこそ、徳之島は長寿と高い出生率の島として今注目されているのかもしれません。

島のちからを思い知る

阿権集落の後は教育委員会(旧徳之島農業高校)に集まり、島の各業界のプレイヤーたちとの意見交換会が行われました。

大久保町長は会に先立ち、「徳之島の力を見ていただきたい」とプラチナ受講生たちに伝えました。「みなさんのビジネスプランをいただき、実現に向けて動いているが、今度は逆にこの地で活躍する人々のエネルギーを感じていただきたい。そして意見を交わし、実りある時間にしてほしい」と挨拶。

この日は、観光、民泊、農業、健康福祉、教育、製造業の分野から、官民交えて12名の島プレイヤーが参集。プラチナ受講生たちにリアルな島の状況を伝えました。講師の松田氏が「今日やることは、対話すること、理解すること、そしてより良くしようとすること」と話したように、この日は最後に"答え"を出すようなものではなく、島の今と課題を知ることが目的です。そのうえで各受講生たちが持っているリソースを提示し、どう組み合わせることができるのか、どんなビジネスに、どんな解決につなげることができるかを考える準備をするためのものであったと言えるでしょう。

自己紹介の後は、「観光」「教育」「ものづくり」「健康福祉」というテーマで4つのテーブルに分かれ、具体的な意見交換へと移りました。お互いの持っているものを俎上に上げるプロセスではありましたが、各テーブルではかなり突っ込んだ議論もされ、課題解決に向けた方向性や施策の一端も提案されたようで、最後のシェアではそんな内容も披露されていました。

主な課題として浮かび上がったことに、教育と子育て、若年層の健康がありました。教育は松岡氏が指摘してきたこととともに、総合的な教育、人間力の教育の必要性が指摘されています。若年層の健康課題とは、30~40代の働き盛り世代の標準死亡率が全国平均より高いこと。百寿率の高さとは裏腹に、食生活の変化等によって健康が損なわれている現状があることが指摘されていました。

また、特筆すべきことは、プラチナ受講生が感想で述べたように「多彩なプレイヤーがたくさんいること」かもしれません。松岡氏だけでなく、意欲的で何かしら一家言を持って「語れる」島の人が大勢いることは、地方創生に向けて欠かせない、重要な要素。この日は、このメンバーでさらに交流を深めるべく、近くの居酒屋で懇親会も催したのでした。

<11月6日>次の一手は

講師の松田氏ツアーの最終日は、午前中に町職員とのさらに突っ込んだ意見交換と対話のセッションからスタート。宿泊施設から、会場のほーらい館までのバス車中から、講師の松田氏の案内で「気づいたこと」「やりたいこと」を整理するワークを行い、やる気満々で臨んだ一行。会に先立って大久保町長が「中央が大きく肥大したときには、改革はフロンティアで起こり、次の時代を示唆し、行動が生まれる。いかに東京の人間を地方へ呼び込むか、そのモデルケースの構築を」と改めてプラチナ受講生たちへの期待が語られました。

今回参加したのは、各部署から集まった町職員7名。前日の意見交換会に参加していた職員の方もいます。簡単な自己紹介では、「職員としての課題」「一島民としての課題」という2つの視点でテーマをいただき、そこから抽出した「教育」「健康」「交流人口」「残すべき島の良さ」という4つのテーマで、テーブルワークを行いました。

各テーブルでは、昨日の議論を引き継ぐ形で、町の現状と課題を改めてインプットし、そのうえで何をすべきか、次のアクションまたはアクションに向けた取り組みの可能性を探る意見交換を行い、さらに、松田氏から「来る前に考えていたこと」「来て気づいたこと」「これからやりたいこと」を整理し、まとめて書き出すというワークも。ここで書かれた内容は、壁に張り出し、改めて町職員のみなさん、受講生を交えて討議し、内容を深めました。

中には、かなり具体的な活動プランに言及しているものもあります。これまで積み重ねてきたビジネスプランがさらにブラッシュアップされ、また具体的な活動に落とし込まれているものもあります。いずれもこの数日の視察ツアーで得られた人々との交流と、発見と考察があってのことでしょう。

最後に感想を求められた未来創生課の佐平浩則氏は、「いずれも新しい視点を開かせてくれる貴重な意見だった。今日で終わりにせず、第2弾、3弾と続け、よりつながりを深めてほしい」と改めてプラチナ受講生たちに呼びかけました。

徳之島をフラッグシップモデルに

犬田布岬

(上)カムィヤキの説明をする四本氏。青黒く非常に硬いのが特徴。(中)犬の門蓋 (下)大久保町長は最後の別れを告げる祭、バスの中で一人ひとりの手をとって握手を交わした。その後、午後は最後の行程として、戦艦大和に縁のある犬田布岬(いぬたぶみさき)、奇岩の景勝地・犬の門蓋(いんのじょうふた)を視察しました。どちらも澄みきりながらも深い青を湛える海と蒼穹に抱かれた美しいポイントです。まさに見納めとばかりに、美しい海と空を目に焼き付けて、一行は空港へと向かったのでした。

空港で、最後に見送ってくれた四本氏からの最後のメッセージを伺いました。「松田さんと知り合ってから、ようやくここまでやってきた。今回のツアーに来て楽しかったね、で終わらずに、継続的に、まさにサステナブルな関係を作り、アイデア出しや交流会を続けていくことができれば」。講師の松田氏もこれに答えて「これから私達がやるべきことは、"続けること""深めること""広めること"の3つだと思う。丸の内プラチナ大学の第一期は終わるけれど、ここで終わらずに、丸の内プラチナ大学の徳之島分校のような形でさらに活動を続けていきたい」と将来への希望を語り、ツアーの締めくくりとなったのでした。

見送ってくれた松岡氏他、町職員のみなさんがいつまでも手を振ってくれる姿が、慌ただしく舞い上がる機内から見えて、参加者一行は今回の旅の終わりをしみじみを感じるとともに、次のステップへの想いを新たにしたようです。ある受講生は自分の仕事に関わるところを見つけてつなげたいとも話し、またある人はすでに新しいビジネスプランの実施のために徳之島再訪を期しています。

講師の松田氏は、丸の内プラチナ大学ヨソモノコースの今後について、「来年もセミナーや視察を行い、ビジネスアイデアを打ち出す活動を通して、まちおこし政策への提言にも活かしていきたい」と話しています。また、徳之島については、「フラッグシッププロジェクト」に位置づけ、活動を加速させたいということも明かしました。「離島というハンデがありながらも特殊出生率を上げている実績は、社会を動かす起爆剤として、都市と地方を回す力になるだろう。社会全体がそのような潮流の中で動いている。徳之島の例は、離島こそ最先端のプラチナ社会モデルを示す大きな変化のきっかけとなるだろう」と話し、改めて伊仙町、徳之島への期待、丸の内プラチナ大学への期待を語りました。


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