過去のアーカイブ過去のニュース

【環境コミュニケーションの現場】 ビルなどの節電・省エネ課題をワンストップで解決 ― 東テク「エネルギーソリューションサポート」

totec_01.jpg

節電や省エネは企業にとってもはや至上命題のひとつ。オフィスビルや工場、店舗など多くの事業主がエネルギーの節約とCO2削減に取り組んでいます。一方で、設備の老朽化や快適性の向上への対応も求められ、特に中小ビルの環境・省エネ対策は進んでいないのが現状です。中央区に本社を置く技術商社の東テク株式会社は、ビルや施設の省エネを支援する「エネルギーソリューションサポート」を展開。現場で培ったノウハウを生かして、環境対策や設備の老朽化、コスト削減など企業が抱える課題を同時に解決する提案を行っています。企業による環境やCSRに関する広報・普及の現場を取材する【環境コミュニケーションの現場】。第20回は、東テク技術統括部ソリューション部部長の権田和裕さんに、「エネルギーソリューションサポート」の目的と成果、そして顧客とのコミュニケ―ションなどについてお話しをうかがいました。

東テク

現場重視の対策を積み重ねて最大25%の省エネを実現

― 東テクは、ビルや施設の省エネや節電を支援する「エネルギーソリューションサポート」サービスを提供しています。
totec_02.jpg
東テク・ソリューション部の権田部長。「節電や省エネには、最適な製品と技術を組み合わせて制御する経験とノウハウが必要」と熱く語る

権田: 当社は1955年の創立以来、空調や電気、計装などあらゆる設備を取り扱う技術商社として、国内で多くの実績を積み重ねてきました。年間の施工件数は7,000件を超えます。さまざまな分野のお客さまへいろいろな種類の設備や機器を納入し、保守や管理を行っていくなかで、オフィスや工場、店舗のエネルギー使用量を節減するとともにCO2の発生量も削減したいという要望が多くありました。改正省エネ法の施行や、東日本大震災後の節電要請があってからはこうした要請がますます強くなっています。

しかし、節電や省エネは、単に新しい設備や機器を導入するだけでは実現できません。最適な製品と技術を組み合わせて、きめ細かい計測制御を行う経験やノウハウが求められます。「エネルギーソリューションサポート」は、ビルが抱える省エネに関する課題をワンストップかつワントゥーワンの対応によって解決することが可能な、現場重視の省エネソリューションです。

― 主にどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
totec_03.jpg
東テクの「エネルギーソリューションサポート」は、自由な設計によりスマートな省エネと省コストを実現するサービスだ(クリックで拡大)

権田: 一般的なオフィスビルの場合、空調設備がエネルギー消費の約4割、照明設備が同じく約2割を占めています。ビルオーナーや不動産会社の多くがその削減を求める一方で、設備の老朽化やテナントの快適性向上などの課題を抱えています。資金調達も重要な問題です。そこで、まずこうした多様な課題に対応する体制づくりを行うため、ESCO事業やESP契約(エネルギー供給サービス)、補助金やリースの活用などを組み合わせた支援企画案をつくって提案し、実行につなげていきます。

また、BEMS(ベムス:ビルエネルギー管理システム)によるエネルギーマネジメントなど、顧客に合ったエネルギー管理手法を提案します。ビル内のエネルギー使用状況を遠隔で絶えずモニタリングして管理することができるBEMSを導入することで、当社がお客さまに代わってエネルギー使用状況を分析したり、省エネ化促進の提案をしたりすることも可能です。

東テクのエネルギーソリューションサポート

― 実際にどれほどの省エネを達成することができるんですか。
totec_04.jpg
「エコシルフィ」を天井に設置すると、省エネと空調費の節減を図ることが可能に(クリックで拡大)

権田: オフィスビルについては、一般的に省エネ目標値とされている15~25%を達成するための施策を提案しています。対策には、大きく分けて空調設備関連と照明関連、蓄電設備の導入、その他があります。空調対策のなかでも効果的なのが、「エコシルフィ」という室内環境改善型の省エネシステムです。オフィスの天井に直径20cmほどの埋め込み型ファンを取り付けて、微風による強制対流を起こすことで室内の温度ムラをなくし、冷暖房の設定温度を抑えます。省エネと空調費の節減を同時に図ることができるので、大変好評です。

このほかに、室外機に取り付けたマットに散水して通過する空気を冷やす「エコクーリングエース」や、室外機のオンオフ制御の実施、窓ガラスへの断熱フィルム貼り付けなどの対策を併用すれば、エネルギー消費量を1割以上減らすことができます。

照明に関しては、従来の蛍光管を直管型のLEDランプに置き換えることで、約9%の省エネが図れ、総合的に20%前後の省エネとコストカットが可能になります。これに加えて蓄電池システムを導入し、電力使用量が少なく料金も安い夜間に蓄電し、昼間のピーク時に放電して負荷平準化を図ることができるばかりか停電時の対策などを講じることができます。

これらの対策はいずれも大がかりな改修工事を伴わないので、比較的短い工期で導入できます。また、リース契約なら初期投資も不要で、短い期間で目標を達成する事が可能です。保守やメンテナンスについても、グループ企業とともに国内を広くカバーするサービス網を構築しているので安心していただけます。

業務用ビル 15~25%省エネルギーに向けての施策のご提案

自社ビルに節電パッケージを導入し省エネを実践

― 自社ビルで節電と省エネを実践してデータを取っているそうですが、内容と成果を教えてください。
totec_05.jpg
都内にある自社ビル「東テクTASセンター」を改修し、空調と照明関連の節電・省エネシステムを導入した

権田: お客さまに「このシステムで省エネできます」と提案する際に、実際の事例があるのと無いのでは説得力が全然違います。そこで、東京都墨田区にある自社ビルの「東テクTASセンター」を改修して、空調と照明関連の節電・省エネシステムを導入しました。節電パッケージの導入にあたっては、一般社団法人環境共創イニシアチブが公募した、2011年度「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業(建築物に係るもの)」を活用しました。

具体的には、2階と3階のオフィスにエコシルフィを26台設置することで、11.3%の省エネを実現します。また、834本の蛍光管を直管型LEDランプに入れ換えることで、エネルギー使用量が半分になります。室外機のオンオフ制御なども行います。

― エネルギーの「見える化」にも取り組んでいますね。
totec_06.jpg
「省エネ支援の基本は顧客とのコミュニケ―ション」と話す権田さん

権田: はい。電力集計ユニットを設置して、節電対策を実施した後のビル全体での電力消費量や、フロア別及び系統別の電力量などを把握しています。まだ途中ですが、18.9%の節電・省エネを達成できる見込みです。

「見える化」については、大手企業で導入が進んでいるものの、中小ビルなどにはまだまだ普及していないのが現状です。当社ではクラウドネットワークを活用するとともに、無線制御装置や人感センサーなどを組み合わせることで低コストかつ容易にBEMS化を図れるシステムを提案しています。

2012年4月には、経済産業省によるエネルギー利用情報管理運営者(BEMSアグリゲータ)の第1次採択分に、アズビルを幹事会社とする4社のコンソーシアムとして登録されました。今後、中小ビルなどを主な対象として、遠隔集中管理型のBEMSの導入を含めた支援に力を入れていきます。
エネルギー利用情報管理運営者が採択

顧客とのコミュニケ―ションが新たなニーズにつながる

― 節電や省エネを指南するには、顧客とのコミュニケ―ションが欠かせません。
totec_07.jpg
東テクによる省エネ支援の流れ(クリックで拡大)

権田: その通りです。これまでご紹介したのは、あくまで普通のオフィスビルを前提とした一般値をもとに試算した提案です。実際には、お客さまのところへ何度も足を運んで、エネルギー消費データの確認や現場調査をさせていただき、最適な改善策を提案します。その過程で、投資額の算定や補助金取得のお手伝いも行います。もちろん、守秘義務契約を結ぶので安心してまかせていただけます。

最近の事例ですと、北海道のあるスーパーマーケットで熱源設備を更新したいというご要望がありました。お店を見せてもらい、エネルギーの使用状況などをお伺いしたところ、省エネの面でも改善できる点が多くあることがわかったので、「エネルギーソリューションサポート」のご提案をさせていただきました。このように、お客さまのお話を聞いて、実際に自分の目で見てみないとわからないことはたくさんあります。これまでアプローチしてこなかった業種も多いので、潜在的なニーズはまだまだあるでしょう。

― 「エネルギーソリューションサポート」をはじめとするサービスを、これからどのように展開していくお考えですか。

権田: 「エネルギーソリューションサポート」は、1社のシステムにとらわれることなく、お客さま目線に立って最適な製品や技術を組み合わせるオープン発想の省エネソリューションです。現在、多くの企業が節電や省エネの追求に加えて、環境に負荷をかけずに事業を継続していく持続可能な経営を目指しています。こうした観点に立てば、設備改修にあたり太陽光発電や太陽熱、風力などの再生可能エネルギーを活用したシステムを提案していく選択肢もあります。また、当社が得意とするコージェネレーションや電力貯蔵システムなどの需要が伸びると予想しています。今後も、商社ならではの幅広い取扱商品や間口の広さを生かして、時代のニーズに合った最適なシステムを提案していきたいと思います。

東テクも参加した、環境コミュニケーションWG「エコのまど」2011はこちら(PDF)

関連記事

【環境コミュニケーションの現場】