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【レポート】女性が"リーダー"になるとき

丸の内井戸端会議 第7回 時代を担うオーセンティックリーダーシップ~「女性が管理職になったら読む本」を題材に~ 2016年11月15日(火)開催

発足から2年を迎えた『丸の内井戸端会議』。これは、女性が社会で活躍していくための課題と、それをクリアしていくための知恵を、講座を通じて参加者同士が共有していこうというものです。ユニークなテーマと本音ベースのディスカッションで、"新たな気付きの場"や"自分自身の振り返りの場"として活用されています。

第7回目となる今回は、ギンガ・トーゲル氏(国際経営開発研究所[International Institute for Management Development。IMD]教授)の著書『女性が管理職になったら読む本』を題材に、この本の翻訳者である小崎亜依子さんを講師に迎えてワークショップを開催しました。小崎さんは女性に新しい働き方を提案する株式会社Warisで、ライフスタイルクリエーターとして活躍しています。参加者同士の自己紹介を終えた後、早速小崎さんのプレゼンテーションが始まりました。

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"無意識バイアス"とリーダーとの関係性

"無意識バイアス"とリーダーとの関係性

「日本の女性の管理職比率は10%程度と、諸外国に比べてかなり低いのが現状です。これは、よく女性が"リーダーになりたくないから""長時間労働をしたくないから"と言われていますが、ギンガさんは"無意識バイアス"の問題もあるのではないか?という考えを持っています」

『女性が管理職になったら読む本』キンガ・トーゲル著、小崎亜依子・ 林寿和訳(日本経済新聞出版社)バイアスとは、斜め・偏り・偏見といった意味。リーダーシップに関して、無意識的に"男性より女性の方が下"という暗黙のルールがあり、それと食い違いが出た時に反発が起こるのだそうです。

アメリカでは、それを証明した実験が行われました。人が持つ64の特性を列挙し、その特性を持っていることが『男性あるいは女性にとって望ましいのか・望ましくないのか』、加えて『社会的・文化的に上位にある人とそうでない人は、その特性をどの程度持っているか』を聞くアンケート調査です。

「調査の結果、男性にとっては望ましいが、女性にとってはそうでもない特性として『キャリア志向・好戦的・積極的・自立している』といったものが挙げられた一方、女性にとっては望ましく、男性にとってはそうでもない特性には『情動的・優しい・子供に関心がある・協力的』などが挙げられました。男性と女性で抱かれるイメージは、全くちがうことが分かります」

特性とリーダーシップとの関係とは?

「男性にとって望ましくない特性には、『感情的・ナイーブ・自信がない』といったものがあり、これは"社会的・文化的に下位にある人"が持っているとされる特性です。反対に、女性にとって望ましくない特性には『好戦的・威圧的・支配的』といったものがあり、これは"社会的・文化的に上位にある人"が持っているとされています。

つまり、社会の人たちが抱く"男性はこうあるべき"という特性と"リーダーはこうあるべき"という特性は一致するのですが、女性には一致しない、ということになります。女性がリーダーシップを発揮することは"女性はこうあるべき"という姿と相反するものとなり、"あの人は自己主張が強い、権力欲がある"といったような反発が起きてしまうんです。こういったバイアスは、さまざまな影響を及ぼしています」

実際に『まったく同じレジュメを男性名と女性名で、さまざまな企業に送って評価してもらう』という実験が海外で行われました。その結果、能力や適性に関する評価、提示する年収などで男性優位な評価がされたそうです。小崎さんは、こうした無意識バイアスの厄介な点は、社会全体が"女性はこうあるべき"としている特性に対し、女性自身も"自分もそうならなければ"と思い込み、行動にも現れてしまうことだと指摘しました。

時代が求める"イノベーションを創出する"リーダーシップ

ここで一度、参加者による意見交換の時間が設けられました。お酒を楽しみながら、和気藹々と会話する様子が印象的でした。

そして、いよいよプレゼンテーション後半がスタート。後半は、リーダーシップについての話で、まずは"交換型リーダーシップ"と"変革型リーダーシップ"という、2つのリーダーシップについて小崎さんが解説します。

「交換型リーダーシップとは、報酬と服従を"交換"し、アメとムチをうまく使い分けてフォロワーをコントロールしていくようなリーダーシップのことです。先ほどの無意識バイアスの話でいう、いわゆる社会でリーダーと思われているタイプがこれに該当します。

一方で変革型リーダーシップとは、相手の内側にある価値観に働きかけて"変革"を起こし、チームが生き生きとするように、フォロワーのやりがいを助成するものです。現状よりも将来にフォーカスを当て、フォロワーがやりたいことと会社の目的を釣り合わせながら、感情に関する資質に働きかけて目的の達成を目指します」

競争環境の変化が著しく、イノベーションの創出が求められる現代においては、変革型リーダーシップに注目が集まっているとのこと。この変革型リーダーシップに必要な資質は『信頼・モチベーション・刺激・コーチング』の4つだと言います。

小崎さんは「この4つの資質を見た時に、"女性は変革型リーダーシップに向いている"ということがデータとして出ているんです。これはとても勇気づけられるデータですし、こういったことに女性自らがどんどん気付いていければいいな、と私は期待しています」と話しました。

自分らしさにフォーカスを当てた、新しいリーダーシップの在り方

「自分で"リーダーってこうしなきゃ"と思ったり、典型的なリーダーを真似る必要は全くありません。これは"自分らしくないリーダーに、人はついていかない"からです。誰かを真似るということは、仮面をつけた偽りの自分ということ。偽りはフォロワーに見抜かれ、疑いにもつながると思います。人真似ではなく、自分らしいリーダーシップを築いていくのが大切です」

一方、自分らしさを出すというのは難しいことでもあり、小崎さん自身『自分らしいリーダーシップってなんだろう?』と、すごく考えさせられたと言います。自分らしさを活かすリーダーシップの在り方、"オーセンティックリーダーシップ"に話題は移ります。

「例えば、内向的な性格のリーダーがいたとして、"内向的だから取引先とのパーティーには行かない"といったことが自分らしいリーダーシップかと言えば、それは違いますよね。人には性格が好む行動があるのですが、自分はどういう性格の持ち主で、どういう行動を変えていくべきなのか。自分の強み・弱みを認識して、ゴールを達成するために自分を鍛えていく、これがオーセンティックリーダーシップの考え方です。

リーダーシップに合う性格はないんです。"性格は変えられないけど、行動は変えられる"というのがギンガさんの強いメッセージで、行動もやっているうちに自分のものになってきます。達成したいことに対する自分らしさを持ち、目的と手段を区別していくことが、オーセンティックリーダーシップにおいて重要だと考えられます」

プレゼンテーションの終了後、参加者からは大きな拍手が贈られました。最後はお酒と食事を楽しみながらのワークショップ。それぞれの意見や感想をざっくばらんに話し合いました。少々難しいテーマだったにも関わらず、明るい小崎さんの人柄もあり、会場は終始晴れ晴れとした雰囲気に包まれていました。

日本ではあまり知られていないという"無意識バイアス"、そして新しいリーダーシップの在り方とも言える"オーセンティックリーダーシップ"。今日学んだこの2つのキーワードは、参加者にとって新たな発見につながったのではと思います。


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丸の内井戸端会議では、女性が企業で活躍していくための課題とそれをクリアしていくための知恵を、参加者が共有する講座を提供しています。女性がリアルに語る"自己実現"についての講演をもとに、ライフステージを意識した時の働き方について、さまざまな観点から議論をしています。

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