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【大丸有】豊かな"個人"がインバウンドを切り拓く

第3回インバウンドナビゲータースクール 3月1日開催

2000万人に達した訪日外国人を、今後2020年までに倍の4000万人に増加させたい。そして、地方創生をインバウンドと結びつけ地方活性化を図りたい――。
そのような思惑の一方で、2020年に人口減少に転じる東京は、今後ますます地方との結びつきを強め、国際的な競争力を高めていかなければなりません。

地方の資源と都市部の人材を結び、外国人に対して地方の魅力を効果的に発信していくことを目指してスタートした「インバウンド地域ナビゲーター育成プログラム」の最終講義が3月1日、3×3Lab Futureで開催され、多くの自治体関係者の見守る中、受講生たちがオリジナルのツアープランを発表しました。

この日は関連企業・官公庁の関係者のほか、地方自治体の東京事務所の職員の姿が多く見られ、地方創生とインバウンドが密接の関係にあり、新しい取り組みを求めている自治体が多いことを垣間見させました。

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期待のかかる先進的事例

期待のかかる先進的事例

北神氏本事業は内閣府の「クールジャパン拠点連携実証プロジェクト」に採択された事業であり、受講生のプレゼンに先立ち、内閣府知的財産戦略推進事務局企画官の北神裕氏からご挨拶をいただきました。

氏は、ナビスクール、新潟ツアーの様子なども見たうえで、「最初はマニュアル的なガイドを養成するスクールだと思っていたが、そんなステレオタイプとは全然違う、実にクリエイティブでまったく新しい人材育成の場であることが分かった」と、このナビゲータースクールの先進性を評価しました。そして、ここでの成果は、現在進められているクールジャパンの拠点検討会で5月をめどに取りまとめられ、全国へ展開していく予定であることに触れ「みなさんの事例はこれまでにまったくなかった先進事例。そのフロンティアで、ぜひ日本の深い魅力を訴求できる、良いツアーを開発し、優れたナビゲーターになってほしい」と呼びかけました。

ジャスティン・ポッツ氏今回のスクールで講師を務めるジャスティン・ポッツ氏は、「まちづくりやコミュニティづくりの世界的な先進地・コペンハーゲンではもう、"ツーリズムは存在しない"と言われている」と世界の動向を紹介。そして、「正解がない世界でもっとも重要なのは、個人のパーソナリティ」と今回のナビゲーター育成事業の価値を示します。受講生は自分の"得意技"から体験型のツアーを発案することが求められています。ポッツ氏は「自分にできること、やりたいことは何か、その中から、インバウンドを盛り上げていくアイデアを立ち上げてほしい。それこそが"観光地づくり"ではなく"関係値づくり"になると思う」と、発表への期待を語りました。

"自分"が基本。だから楽しい。だから広がる

続いて総勢16名の受講生たちからの発表です。1人3分のショートピッチでも50分以上かかりますが、その長さを感じさせない、楽しく魅力的なプランが出揃いました。以下、簡単に各人のタイトルと内容を記します。

(1)「明治維新を巡る!」......幕末・明治維新ネタが好きな受講生から。明治時代に日本が爆発的に近代化した源泉を探る旅。インプットとコミュニケーションで、江戸、薩摩、長州、京都のポイントを探訪する。

(2)「深川(東京イーストサイド)アート&ブリュワリーツアー」......東京生まれ東京育ちの受講生。マイナーと思われている東京イーストサイドの新しい魅力を追う。アート、ブリュワリー、ワイナリーなど、今もっともホットな東京を探る。

(3)「日本の鉄道の旅」......鉄道オタクの受講生発案。世界中の鉄オタ(特に乗り鉄)を対象に、ひたすら魅力ある鉄道に乗るツアー。京都で降りても寺には行かず乗り継ぐだけ。最長で15時間乗り続けるプランも。

(4)「下町『祭』体験――訪日外国人が日本で『祭り』を楽しめる体験型プログラム」......"むつみ"を合言葉に、半纏を着てみこしを担ぎ、直会で一杯やって銭湯でさっぱりする下町祭り体験。担ぎ手が不足気味な町会にも喜ばれるプラン。

(5)「Alley Bar Hopping」......日本的な下町の酒場街を巡るツアー。日本人にとってもマニアックな世界で、近現代の日本、昭和の日本を垣間見ることもできる。新宿・ゴールデン街、四谷・車力門通り、大森・地獄谷、立石・のんべい横丁......などなど、ミドル層以上のツーリストを対象にする。

(6)「母の実家をナビゲートしたい!」......新潟ツアーからヒントを得て、新潟の、母の実家である農園を含めた周辺のマニアックなツアーをアレンジ。地元民だけが知っている場所を見たい、一カ所をじっくり堪能したいという外国人のニーズに合わせて、農業体験や温泉巡りを行う。

(7)「Find my favorite 和菓子!@東京」......和菓子の食べ歩きが好き!という女性の発案。デパ地下に始まり、その時々、その季節のタイムリーな和菓子屋を訪ね食べ歩く和菓子ツアー。講師のジャスティン氏が「お酒の次にやろうと思っていた!」と興奮したプラン。

(8)「普通のお家の冷蔵庫が見たい!」......旅行経験が豊富な受講生からのプラン。一番見たいのは「普通の家庭の普段の食事の様子」。家庭料理の教室の体裁で、ホストファミリーをアレンジしていく。

作るのは「観光地」ではなく「関係値」

(9)「自撮りを徹底してプロデュースする旅行」......今時の旅は、何かがあるから行くのではない、自撮りをするために行くのだ!という世界的傾向を背景に、外国人向けに「街宣車の上で自撮り」「東京上空で自撮り」という難易度の高い自撮りをプロデュースする。

(10)「里山で和紙作り体験~思い出を手紙にしませんか~」......某所で二地域居住を始めている受講生。現地で生産されるコウゾなどを使って、和紙作り、手紙作りを体験する。

(11)「歌舞伎にまつわる和文化体験ツアー」......歌舞伎その周辺を巡るツアー。例えば歌舞伎役者が幕間にそばをかけ込みに来る、歌舞伎座裏の蕎麦屋、女形を演じるために足を小さく見せる足袋を作る足袋専門店、歌舞伎用に焚きしめるお香を扱う香屋等等。歌舞伎を見て終わりではなく、支える裾野の文化を知る体験ができる。

(12)「和菓子作りを体験を通じて感じる日本の四季」......鎌倉の良さをナビゲートするのが裏ミッション。鎌倉のコアな魅力の一面を和菓子を通して体験。

(13)「Let's Enjoy BENTO」......丸の内朝大学の「手作りお弁当」クラスを下敷きに、「HARVEST」「COOKING」「PICNIC」の3つのExprerienceを三位一体で体験する。2020年には"お弁当国際大会"を開催する。

(14)「和食アペリティーヴォ」......イタリアのハッピーアワーにならい、夕方の一定の時間をタパス=おばんざいと日本各地の銘酒を楽しむコースにする。セルフ角打ちのような営業スタイルも。地方創生の動きとリンクさせればさまざまなメニューが揃う。

(15)「○○家presents お米作り体験と岩手麺文化ツアー」......岩手に妻の実家を持つ受講生が、「持っている資源」として実家を含む"家族"を活用し、外国人をおもてなしする。稲刈り体験、家族と楽しむわんこそば、等々。地元の楽しみ方を地元のファミリーが一緒に教え、楽しむ。

(16)「友達ナビゲーター プラットフォーム」......"友達"のようなナビゲーターが、外国人をおもてなししていく、そのためのプラットフォームを作る提案。ガイドというよりも、プロの遊び人が、一緒に日本の楽しみ方を考える。

発表ごとにプロデューサーの古田氏、講師のジャスティン・ポッツ氏からのコメントがありましたが、概ね共通していたのは、「関係性構築」「ストーリー」「仲間」といったキーワードです。「日本人でも面白い、楽しめること、そして横展開できることが大切ではないか」と古田氏は言います。例えば、和菓子は、日本の雑誌でも定期的に特集されるくらい日本人も好きだし、東京にとどまらず京都、大阪、金沢、仙台等々でも同じスタイルが可能。そのような流れを内包することが、これからの重要なコンセプトになってくるでしょう。古田氏は、「どれもすぐ商品にできるものばかり」と請け合い、「継続して取り組み、まず稼ぎは抜きにして商品化していこう」と呼びかけました。

変化を起こせ! ナビゲーター

総括した古田氏

発表を聞いた内閣府の北神氏は、「これからの時代は、マスではなくトライブ(族。小集団)へのアプローチが重要になるだろうと感じている。その中で、今回のような個人の豊かなクリエイティビティで、いかに外国人を楽しませるか、という取り組みは非常に意義のあること。新しいニーズの掘り起こしもできるだろう。今回は"先進的"という言葉にふさわしい、実に良い手応えが得られた」とコメントしています。

また、発表を聞いたある地方自治体の職員は「(今日発表した受講生のような)アイデアやつながりを持つ個人が、これからのDMO(Destination Management Organization: 地域の資源に精通し、官民含めた多様な関係者と協同しながら観光地域づくりに取り組む法人のこと)を動かしていくのではないか」と可能性を感じている旨を語っています。また、今自治体によっては、マスを取りに行くインバウンド施策に取り組む一方で、「一部に集中してしまう観光客をいかに周辺へ"ばらして"いくことができるか」も課題になっている現状を明かし、「ピリッと刺激の効いた、今回のようなプランが揃い、面になっていけば、少しずつ広げていくことができるのではないか」と、今後のスクールへの期待を語りました。

受講生たちの反応も上々です。ある受講生は、「自分の身近な生活が、実は外国人にとって楽しみで、意義深いツアーになるというのは新しい発見。これから毎日のランチやお店に立ち寄るときにもそういうことを考えるようになると思う」と話しています。一方的にガイドするのではなく、双方向であることが今回のナビゲータースクールの大きなポイントでしたが、このような双方向性が生まれ、日本での暮らしが変わる。そんな効果も期待できそうです。
また、別の受講生はごくごく当たり前に今後ナビゲーターとして活躍したい旨を話しています。「自分が好きなことを提案したから、何よりも自分がやりたいし、一緒に楽しんでくれる人がいるなら楽しい」。

エコッツェリア協会プロデューサーの田口真司氏は、「今後実装していくうえでは、ナビゲーターの質の担保が最大の課題になるのでは」と見通していますが、基本的にはスクールは来年度以降も継続的に続けていきたいとしています。ナビゲーター発案のツアープランについても「いきなりの事業化は難しいかもしれないが、まずはプロトタイプで手応えを探りたい」と話しています。


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