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【大丸有】「丸の内ロゲイニング」に見る "健康"とまちづくり

コンディショニングとヘルスケアと働き方

街と健康を考えるイベント

4月4日、TIPNESS MARUNOUCHI STYLE(ティップネス丸の内スタイル)主宰の、「丸の内ロゲイニング」が開催されました。

これはティップネス丸の内スタイルが、会員向けのコミュニティ活動の一環として開催したもので、会員間の交流を図るものではありますが、"街を舞台にオフィスワーカーの健康を考える"という側面があり、エコッツェリア協会が進める「ヘルスケア」プロジェクトの考え方とも非常に近いものでもあるようです。

ティップネス丸の内スタイルが目指す「大丸有のパフォーマンス向上」とは何か、3×3Laboの「ヘルスケアラボ」との相違点はどんなところにあるのでしょうか。また、「まちづくり」と「健康」の観点からも興味深いロゲイニングとはどんなものなのか、当日の模様を通して考えてみたいと思います。

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ロゲイニングとは

ロゲイニングとは

桜咲く公園でウォーミングアップ

ティップネス丸の内スタイルは、「コンディショニング」をプログラムの柱にしています。"体をハードに鍛える"というよりも、「大丸有のパフォーマンスを向上させる」をコンセプトに、オフィスワーカーを"ベストチューン"するものです。3×3Laboが取り組む「生き生きと働く」ことを目指す「丸の内ヘルスケアラボ」にもよく似た考え方です。
そのベストチューンされた身体を実際に屋外で試してみようというのが「丸の内ロゲイニング」です。もともとティップネス丸の内スタイルは、定期的に会員向けイベントを開催しており、会員同士の交流促進を図っていますが、そのひとつとして昨年秋に開催したところ好評を博し、2回目の開催となりました。

3×3Laboで実施している「丸の内ヘルスケアラボ」。写真はオフィスワーカーを対象にした計測会の様子。体力の程度や、血圧、体重、血管年齢などのコンディションをチェックする。複数企業が参画しており、オープンイノベーションにに取り組む場でもある「桜のシーズンなので、名所をたくさん盛り込んで、楽しんでいただけるよう工夫しました」

そう話すのは、ティップネス丸の内スタイルで、本イベントを担当する上原優氏。ロゲイニングを選んだのは「協会認定の統一ルールがあり、ゲーム性、競技性があるから」。

ロゲイニングとは、地図とコンパスを使ってエリア内に設定されたチェックポイントを回り、点数を競う競技です。オリエンテーリングに似ていますが、回る順番が決められていない、チェックポイントが多数あるなどの違いがあります。一般的には自然の山野で、2時間から最大で24時間かけて行われるもの。すべてのチェックポイントを回る必要はありませんが、チェックポイントによって点数が大きく異なっているため、ポイント選択、ルート選択の戦略も重要な要素になってきます。クロスカントリーの走行能力、地図読みの力、ルートを外れないナビゲーション能力などが必要とされる、非常に過酷でゲーム性の高い競技です。(参考:日本ロゲイニング協会

もちろん、丸の内ロゲイニングのチェックポイントは街中に設定されているうえ、普段からなじんでいる街なので、過酷なものではありません。しかし、チェックポイントは50カ所あり、競技時間は2.5時間。運動不足の人間には結構ハードです。ポイントの点数は、難易度やスタート地点からの距離に応じて1点から最大70点まであり、自分の体力に適した戦略立案が必要です。チェックポイント通過は、その場にいかなければ解けないクイズへの解答で代えられています。

"みんな、走れ!"

当日参加したのは、8チーム24名。知り合い同士での参加もあれば、バラバラで申し込み当日初めて顔合わせをしたというチームもあります。スキルやモチベーションもチームによって異なっており、"マジ走り"をして高得点を狙うチーム、ゆっくりと街中の桜を楽しみながら回りたいというチームなどさまざまでした。

各チームに渡される地図。これでポイントを探すのは意外に骨スタート地点の楠公園に集合し、ウォーミングアップの後、地図とクイズシートを受け取って、12時30分いよいよスタート。参加グループのうち、マジ走りをする1チームに取材同行させていただくこととなりましたが、体力のない筆者は、インチキをしてシェアサイクル「ちよくる」でカメラ片手に伴走しました。

このグループは青年から壮年までの男性メンバー4名。みな今回が初めての顔合わせで、スタート前には地図を見ながら、それぞれの体力と走力を話し合ってルートを選定。彼らが選んだのは、日本橋方面から靖国神社を経由して、皇居を一周するルートでした。30~40点台の比較的高得点のポイントを総なめにしていく戦略です。本気で1位を狙うつもりのようです。

知った街を走る楽しさ

多くのチームがスタート間もないころにたどり着く丸の内のチェックポイント

さて、日ごろから「5~10kmは走っている」という屈強な男たちが本気で走ると、やはりかなりのスピードです。そして、映画のワンシーンのようにカッコイイ。皇居から丸の内を抜けて、日本橋へ。人通りのある中でもスイスイと走り抜けていくのは、ランナーならではの爽快感でしょう。

途中合流した女性チームと記念撮影チェックポイントは、地図上でおおよその位置が示されており、ターゲットとなる看板や銅像などの物体は、クイズシートに記載された写真を頼りに探し出すしかありません。これがなかなか難しいのです。スタート地点に近い丸の内周辺のチェックポイントは、難易度を低く設定してあり見つけるのも簡単ですが、離れるに従い難易度は上がっていくように設定されています。例えば日本橋プラザビルの裏手にある銅像のタイトル(13点)は、地図上ではおおよその地点を指し示すばかりで、そもそもプラザビルであるかどうかも行ってみなければ分からないわけで、ましてや銅像の場所となると雲をつかむようなもの。このチームは、銅像を探すために界隈を走り回り5分ほどもロストしています。クイズシートの記載順がランダムなのも難易度を上げているちょっとしたギミックです。こんなこともあって、このグループは「下町の入り組んだルートは避け」分かりやすいポイントを攻めていく戦略に変更しました。

神保町へ差し掛かると、先行する別のチームと遭遇。女性3名組で、同じくマジ走りをし、高得点を狙うチームのようです。「次どこへ?」「あそこ難しいですよね」と情報交換し、同じ方向へ向かうことが分かると、一緒に走り出します。

マップ最北端になる駿河台の幸徳稲荷神社(35点)は、裏道の入り組んだ路地の一角の非常に分かりにくいところにあったため、2チームは共同戦線を張るように一緒に探しますが、やがて靖国神社へ近づくと、春の入学シーズン、お花見シーズンでものすごい人出となっており、これを見た女性チームはルートを変更して人の多いエリアを避ける戦術に出ました。男性4人チームは、高得点狙いでそのまま靖国ルートを継続。袂を分かつ瞬間、双方の顔から笑顔が消えて真剣な表情に。この選択が勝敗を分けるかもしれません。

明暗を分けた戦略変更

この後、男性チームは皇居外周のチェックポイントを回りながらゴールとなるティップネス丸の内スタイルへと向かいました。タイムリミットは15時。1分遅れるごとに20点減点のため、遅刻は許されません。時間を気にしつつも、拾えるところは拾いながら、1時間ほどかけて丸の内側へと戻り、14時58分、ぎりぎりの時間でゴールしました。

上から順に1位、2位、3位

すでにほとんどのチームが戻っており、15時過ぎにゴールしたのは2チームのみでした。全チームそろったところでジム内のスタジオでクールダウンのストレッチを行い、その後、結果発表と表彰式が行われました。

3位は371点獲得の男女ペアのチーム、我らが男性4名チームは499点で健闘及ばず2位、そして、途中ご一緒した女性3名チームが521点で堂々の1位という結果となりました。やはり、靖国神社での選択が勝負を決めたようです。しかし、ふたを開けてみると、靖国神社の「灯篭は何本か」という40点の問題を、男性3名チームはなんと数え間違いで落としていたのでした。この問題を正解していれば1位。なんともきわどい勝負でありました。

会員の同伴で参加したというあるチームの一人は、「普段丸の内にはあまり来ないので、街をあちこち見ることができて、疲れたけど面白かった」。最初から桜見物のため、点数はこだわらないで参加したという別のチームの女性は、「桜がたくさん見れて良かったけど、(前日の)風でだいぶ散っていて残念。これだけ歩いたり走ったりして桜を見るなんてめったにないことで良かった」。

惜しくも2位だった男性チームのメンバーに感想を聞くと、口を揃えて「面白い」という感想。「探すのは大変だったけど、(ジム内で走る)普段とは違い、街中を走るのが良かった。次回またあったらぜひ参加したい」と、2位の悔しさを微塵も感じさせないコメントを残してくれました。また、普段のコンディショニングの成果が自然に発揮され、「改めてセルフチェックできた」とも話しています。ロゲイニングではチームワークも重要な要素で、初対面にも関わらず、見事なチームワークを発揮していたのも印象的でした。

コンディショニングは「運動」と「仕事」の中間?

終了後、担当した上原氏は「初対面の会員のみなさまが交流できて良かった」と、前回に引き続き良い成果を残せたとしています。

ティップネス 上原氏「チームによって、桜を見たい、沿道のグルメスポットを回りたい、高得点を競いたいというモチベーションの違いはあっていいと思うんですね。コミュニケーションと運動を通して、チーム一体となって同じ目的に向かう達成感を感じていただいたと思います。また、屋外での活動を通して、日ごろのコンディショニングの成果も実感できたのではないでしょうか」

大丸有を舞台に、街に触れながら、健康を考える。街を走るのは楽しい。歩くのも楽しい。自分のコンディションが分かるともっと楽しい。そんなことを感じさせるユニークなイベントでした。ぜひとも継続して行ってほしい取り組みですし、より多くの方に参加してほしいイベントです。

参加者の感想にもありましたが、いつもとは違う角度で街を歩き、見る、「まちづくり」イベントとしての可能性も感じさせます。大丸有には、「丸の内検定」はじめ、さまざまなまちづくりの取り組みが行われていますが、今後は、「健康」をキーワードにしたまちづくりがあってもいいのかもしれません。そんな期待が膨らむイベントでもありました。しかし、つくづく自転車で同行して良かったと思う体力のない筆者であるのでした。


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