イベントCSV経営サロン・レポート

【CSRイノベーション】CSRを見つける目を養う会員限定

2013年9月20日(金)開催

第2回CSRイノベーションワーキンググループが9月20日(金)に開催されました。

会員企業を中心に、CSR担当者や企画部門などから30名が集まり、ファシリテーターに臼井清氏(一般社団法人企業間フューチャーセンター/かなりあ社中)、ゲストには第1回に引き続き、笹谷秀光氏(株式会社伊藤園 CSR推進部長 取締役/元農林水産省審議官・環境省審議官)を迎え、本業を通じたコミュニティCSR/CSVをテーマに、ゲスト講演とワークショップが展開されました。

環境・コミュニティのトリプル"S"のCSR

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前半は、笹谷氏が、「ISO26000環境・コミュニティのトリプル"S"のCSR (CSR/ CSV/ESD)」について事例を交え、解説されました。

人と人とがコミュニケーションを行い、コミュニティを形成、そして共感を得ながら連携・協働するのがISO26000の「本業のCSR」。事例として、ミシュラン・グリーンガイドを挙げられました。
ミシュラン(タイヤメーカー)のレッドガイドは食の三ツ星ガイドですが、グリーンガイドは、足を伸ばしてでも行きたい場所の三ツ星ガイド。その場所を訪れた人には共感と感動を呼び、その場所へ行くためにタイヤ(車)を使ってもらえます。これは手間隙(ひま)かけ、民間企業ながら権威のある旅行ガイドに仕上げてきた、本業に関連させたCSRなのですと紹介。
身近なところにCSRが生まれ、共感・感動を呼ぶかどうかがポイントですと話されました。
CSVについては、「自社製品の見直し」「バリューチェーンを川上から川下まで見直し」「企業が拠点を置く地域の産業集積」の3つで新たな価値を創造しましょうというものです。CSVとCSRとは活用局面・次元が異なるため、CSV+CSRの視点が必要であると話されました。
ESD(Education for Sustainable Development)については、「世のため、人のため、自分のため、明日のために、みんなで学びましょう」というもの。CSRを近江商人の「三方よし」に例えるとすれば、 ESD は同じ時代の「寺子屋」かもしれません(世界的視野が必要なので、"TERAKOYA"を提唱)。寺子屋のように車座になって気づきを共有することが大切ですと話されました。
CSRをISO26000で固め、CSVで価値を創造し、ESDで学習するとまとめられました。

CSRを見つけるワークショップ

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後半のワークショップでは、「くまモン」と「幻の小麦」を題材に、「何がCSRなのか?」「ISO26000の7つの主題のうち、どれにあたるのか?」「CSVにあたる新たな価値はどこに生まれているのか?」「ESD的人づくり、地域づくりにつながるヒントは?」など、考え話し合い、CSRを見つける目を養うためのワークショップが行われました。正解を見つけ、課題の表を埋めるのではなく、お互いの気づきを共有するESD的ワークショップです。

・ 地産地消は、外ではなく地元にお金が流れ、製品のオリジナリティにつながり、訴求力となり、プラットフォームが出来上がる。食育にもつながる。
・ ネットワーク形成、流通活性化、技術開発につながる。地域の課題に対して、地域全体で取り組んでいる。
・ クローズな取り組みが、地域振興になっている。地域のブランド構築で、観光客誘致にもつながっている。生産者や企業関係者が消費者でもある点がユニーク。
・ バリューチェーン内の個々が、責任を果たして行くことで持続可能性につながっていく。
・ 地元の食品ということで、安心感がある。地域が連携せざるを得ない取り組み。
・ 企業として外せない利益が上がり、雇用の創出、税収につながる。

など、多くの気づきが上がりました。

笹谷氏の視点

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くまモン:競争や利益追求を基本とする企業にとっても、これらは本業を活かして応援しやすいソフトな「プラットフォーム」である。キャラクターへの応援が、県産品の活性化、地産地消につながる。
CSRとしては、消費者課題、コミュニティへの参画・発展に該当。CSVとしては、地産地消・地域活性化。ESDとして、地域づくり・人づくりの貢献になっている。
企業はどのようにして、このような「プラットフォーム」に乗って協力していくかアイデアが問われる。

幻の小麦:テレビのラーメン対決に勝利した麺に使われていたのが幻の小麦「ハルユタカ」。この小麦は北海道江別市で育てられているもので、そんな小麦があるのかと全国に反響が広まり、「江別小麦めん」が誕生。江別市のネットワークが形成、販売網も構築されその土地に行かなければ食べられない、究極の地産地消となった。「官」である北海道の農業試験場が加わり、大学で製造技術についての指導も行われた。産官学の連携で「6次産業」化につながったこの事例はとても素晴らしい。
CSRとして、バリューチェーンを活かした消費者課題、コミュニティ課題。CSVとして、多くの要素があるが、おいしいラーメンが確保出来たということが一番かも。美味しいと感じると、明日も頑張ろうという活力になり、人々や企業の持続可能性につながる。ESDとして、食育や人づくり、地域づくりなどあらゆることが該当する。

この幻の小麦は、経済産業省・農林水産省のまとめた農商工連携88選のうちの1事例でしかない。つまり、このようなことが身近に多く存在する。
気づきを共有することで、身近に学ぶことがたくさんあります。ぜひ、社内でも実践していただきたい、とまとめられました。

CSV経営サロン

環境経営の本質を企業経営者が学びあう

エコッツェリア協会では、2011年からサロン形式のプログラムを提供。2015年度より「CSV経営サロン」と題し、さまざまな分野からCSVに関する最新トレンドや取り組みを学び、コミュニケーションの創出とネットワーク構築を促す場を設けています。

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