イベントCSV経営サロン・レポート

【レポート】自治体と先進環境企業の取り組み最前線会員限定

CSV経営サロン エコッツェリア会員企業視察ツアー 2018年10月31日(水)開催

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エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について考えるCSV経営サロン。会員企業を見学するツアーとして、10月31日に静岡県御殿場市とリコー環境事業開発センターを訪問しました。
御殿場市は「エコガーデンシティ構想」を策定、連携協定を結んだリコーとともに再生可能エネルギー活用などのモデル事業を推進しています。今回はそれらの現場を訪問し、視察を行い現地担当者や会員同士の交流を深めました。以下、ツアーの様子をお届けします。

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スタートから1年、「エコガーデンシティ」構想を精力的に進める御殿場市

スタートから1年、「エコガーデンシティ」構想を精力的に進める御殿場市

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御殿場市は、富士山の東側、豊かな自然に恵まれた観光都市です。その優れた環境と景観をまちづくりに活かし、さらに先端技術開発等の産業振興や観光交流客増加などの地域経済活性化を実現する「エコガーデンシティ」構想を推進しています。
大手町の3×3Lab futureを出発したバスは、まず富士山を臨む御殿場市役所に到着。企画部未来プロジェクト課課長の沓間信幸氏によるプレゼンテーションをうかがいました。

エコガーデンシティ構想は、再生可能エネルギーの創出や環境保全等のエコシティ化のモデル事業を推進することからスタートし、現在はその恵まれた地域の環境や景観と産業、経済が好循環するまちづくりを目指して進められているプロジェクトです。
昨年の7月に構想を実施するための協議会を発足し、早1年が経過しました。試し試し行ってきたことが形になりつつある段階を迎えています。
プロジェクトを行う中で、沓間氏が最も重要な点と強調するのは、産学官金の連携と市民の参画。現在10の連携プロジェクトが進行中で、各プロジェクトの概要をお話いただきましたが、取り組みを市民へいかに周知し巻き込んでいくかということを常に心を砕いていることがうかがえました。

プレゼンテーション終了後の質疑応答では、各分野の専門家が集うCSV経営サロンメンバーからは鋭い質問が投げかけられました。中でも「御殿場市はコンテンツ豊富。それらを実現するロードマップはどのように考えているのか?」という質問に対し、地元金融機関との連携を進めていきたいため、もっと積極的に提案してきてほしいという御殿場市の本音を引き出したやりとりが印象的でした。

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最後に、御殿場市役所が誇る富士山ベストビューポイントである東館4階にあるレストランのテラスに移動し、眺望を楽しみました。残念ながら富士山には雲がかかっていましたが、時折雲の合間から頂上が垣間見れる瞬間もあり、目にしたメンバーからは歓声があがりました。

【参考】御殿場市「エコガーデンシティ化の推進」
http://www.city.gotemba.shizuoka.jp/gyousei/g-2/g-2-4/5709.html

農業用水で発電中! マイクロ水力発電システム

その後一行が向かったのは、農業用水を利用したマイクロ水力発電システムの現場です。水力発電といえばダム、どうしても私たちは大規模なものを想像しがちですが、目の前に現れたのは、家庭用物置ほどのサイズの発電所でした。
開発したのは、御殿場市内に「リコー環境事業開発センター」を擁する株式会社リコー。2017年に御殿場市と包括的な連携協定を結び、プロジェクトに欠かせないさまざまな先端技術を提供しています。
御殿場市二子地区、美しい田園風景の中にある実証実験箇所では、沢に落下する農業用水の水流を利用し発電を行っています。発電した電気は、地区の夜間照明に試験的に使用される予定です。また災害時の非常用電源として活用することも検討されているとのこと。

画期的なのは、異物除去の課題をクリアした中空プロペラ構造。川の水を使った発電では、邪魔になる枯れ葉などのゴミをどうするかがこれまで大きな懸案でした。実証実験中の発電システムでは、ゴミはプロペラの中央に空いた空間を通ってそのまま流れに戻っていき、ごみ詰まりの問題への解決策になるそうです。

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マイクロ発電は、安価に設置でき、太陽光や風力に比べて24時間発電可能ということで安定性があります。今後はこの「マイクロ発電だからできる」といった価値の創造などにも力を入れていきたいと実証実験を担当されているリコーの前川陽一氏は述べられました。
大人が抱えて持ち運びできるサイズ、重さになるというこのシステム、将来日本各地で見られるようになるかもしれません。

人々の集う、開かれたリコー環境事業開発センター
環境関連事業を創出する拠点

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ツアー最後に訪れたのが「リコー環境事業開発センター」です。ここでは製品のリユース・リサイクルから環境先端技術の開発、情報発信までが行われています。センサーやロボットが活躍する最新のリユース・リサイクルラインやこの場所で開発された先端技術を紹介いただきましたが、最も驚いたのは、機械音のある構内でも説明の音声がよく聞き取れるよう無線機がひとり1台用意されているなど、センターの見学者に対する細部にまで配慮が行き届いたそのプレゼンテーションとホスピタリティでした。

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たとえば、リコーのリユース・リサイクルの思想を表現した「コメットサークル」では、実際に回収された製品や部品が展示されています。京都東寺にある立体曼荼羅は、弘法大師が仏教の世界観をわかりやすく説くために作ったといわれていますが、このコメットサークルはまさに「持続可能な社会実現」を説いた立体曼荼羅といえるのではないでしょうか。
またリユース・リサイクルのラインでは、運搬ロボットがランダムに置かれた回収複写機を迷いなく選んで運び出すシーンと遭遇しました。見学者が「どういう仕組みなのか?」と考えているところにタイミングよくガイドの方が天井に備えられたカメラを指差し、1台1台に貼られたカラーコードで判別していることを解説してくれました。見学者の興味を引きつけ飽きさせない洗練されたプレゼンテーションにここでもまた感心。
こういった「魅せる工場」の工夫のおかげで、連日何組もの団体が見学に訪れるといいます。その縁からアライアンスに結びついたこともあるそう。戦略的に考えていたら出会えなかった組み合わせもいくつもあるとのことで、情報発信の重要性をここでも実感しました。

環境保全と利益の創出を同時に実現する「環境経営」に取り組んできたリコー。ツアー内で紹介された現在研究開発中の技術をいくつかご紹介します。

▶︎照明空調制御システム

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オフィスの消費電力の約72%を占めるエアコンと照明を効果的に節約するシステム。照明とエアコンをネットワークにつなぎ、天井などにセンサー追加することで室内の照度、人の有無、湿度・温度などを計測し、この情報をもとに照明や空調を細かく制御することで、オフィス内のムダな消費電力を徹底的に削減するという。
リコー社内での実証実験では、照明の約80%、空調の約40%を削減、合わせて58%の電力量の削減に成功しています。 システム対応の照明に交換し、無線制御のセンサーを追加するだけで大規模な工事を必要としないので、古い建物にも使用可能なこのシステムの需要は多くありそうです。

▶︎木質バイオマスエネルギープラント

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開発センターの構内にバイオマス設備を建設し、御殿場市内の森林で取れる未利用間伐材のチップを燃料として利用している。センターの空調、給湯はこの施設で作り出されたエネルギーが使用されています。
御殿場市「エコガーデンシティ」構想の一環として市内の秩父宮記念公園にも、バイオマス施設が導入され、喫茶施設や温室の空調のエネルギーとして供給されています。
このシステムは、2020年に開業予定の三重県の複合リゾート施設での導入を検討しています。地域の森林保全にも大きく貢献するこの取組みも大きな注目を集めています。

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ツアーの最後に、リコー環境事業開発センター事業所長の出口裕一氏もご挨拶にいらっしゃり、熱いディスカッションを交わして見学ツアー終了となりました。

参加者からは、
「御殿場市やリコーさんの取り組みを見て、改めて自治体、企業がそれぞれ巻き込みながら地球にとっていいことを進めていけたらと思った」
「老舗企業に勤務しているが、今日はただ古いだけではダメで、いろいろな人と関わってもっと今どきのものにアジャストさせていくことの大切さを学んだ。次の100年を目指していきたい」
「環境負荷の高い建設業界の者として勉強させていただいた。『儲からない環境はやらない』という言葉があり、どのようにやっているのかこれからも勉強していきたい」
「視察に行きたいという要望を出していたので実現してうれしい。当社も3万人くらいの視察がやってくる。物理的に人が集まると何かが生まれる。ビジネス上でも大きな意味がある」
などという声が聞かれ、それぞれの業界や立場として大きな刺激を受けた様子でした。
とくに視察を通じて、人と人が出会うことの重要さを実感されたメンバーが多かった印象です。

CSV経営サロン

環境経営の本質を企業経営者が学びあう

エコッツェリアに集う企業の経営者層が集い、環境まちづくりを支える「環境経営」について、工夫や苦労を本音で語り合い、環境・CSRを経営戦略に組み込むヒントを共有する研究会です。議論後のワイガヤも大事にしています。

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