イベント環境プロジェクト・レポート

【レポート】ハチミツの甘さといのちの重さ

大丸有シゼンノコパン「ミツバチを覗る~巣箱の中のヒミツ~」2021年6月26日(土)開催

「刺されるかと思ったけど全然そんなことなかった。ミツバチが可愛かった」。

初めてミツバチと触れ合って、親も子も揃って同じ感想。子どもだけでなく、大人も驚きと発見と、そして楽しさを分かち合うことができた大丸有シゼンノコパン「ミツバチを覗る~巣箱の中のヒミツ~」は9組21名の親子の参加者に、ミツバチの巣箱を間近で見る体験をしていただきました。

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どうして大丸有でミツバチ?

どうして大丸有でミツバチ?

今回のミツバチの見学には「丸の内ハニープロジェクト」で新有楽町ビルの屋上で飼育されている巣箱を利用しています。丸の内ハニープロジェクトは、2015年に始まった大丸有エリアでの都市養蜂の取り組み。この日は、実際に見学に出かける前に、丸の内二重橋ビルの「DMO丸の内」のオフィスをお借りして丸の内ハニープロジェクトについて解説しました。

プロジェクトメンバーであるエコッツェリア協会理事の村上孝憲は、丸の内ハニープロジェクトが「まちの自慢になっている」と話しています。

「最初は、危ないんじゃないか、ビル街で蜜が採れるところがないんじゃないかといろいろ言う人もいましたが、仲通りや皇居など、蜜源がいっぱいあるし、ミツバチのために屋上緑化も進みました。採れたハチミツは、丸の内のレストランやお店で使ってもらうようになりました。みんなが面白がって、大丸有のまちの自慢に思ってくれるようになりました」(村上)

もちろん、自然環境、環境教育にも意義深いものになっています。ミツバチは周りに花がなければ生きていくことができません。ミツバチの飼育は、さまざまな生き物と生きていることを感じさせてくれるのです。

「ミツバチを飼っていると、地球が人間たちだけのものじゃなく、さまざまな生き物と一緒に生きているんだということが、だんだん分かってきます。他の生き物に対する配慮が生まれてきます。難しい言葉でいえば『共生』。今日は、皆さんにもそういうことが伝わればいいなと思っています」(同)

そして、全員で新有楽町ビルへ移動し、いよいよミツバチとの対面となります。

ミツバチも人間もいっしょ。

新有楽町ビルの屋上。ビオトープに草花が息づいている

新有楽町ビルは1960年代に建築された"古い"ビルのひとつ。再開発が進み高層化が進む大丸有の中では、比較的低い12階建てで約40メートル。このヒューマンスケールな高さが、ミツバチにとっても良いのだそうです。

屋上に上がると歓声を上げて周囲の景色に見入る子どもたち。同時に「焼き芋の匂いがする!」と敏感に反応します。これは、ミツバチの巣箱を開けるときに使う「燻煙器(くんえんき)」で新聞紙を燃やしている匂い。独特の匂いがあるものの大人だと「何かが燃える匂い」くらいにしか感じません。子どもたちが自分の記憶と経験から、即座に「焼き芋」を思い出す感性の鋭さに驚かされます。

巣箱は、屋上に作られたビオトープの一角に置かれています。周囲に高いビルが立ち並ぶ中、花と草がそよぐ草原ような景観の中で、4つの群れが暮らしています。

ここでミツバチの世話をしてくれているのが、銀座ミツバチプロジェクト(銀ぱち)の皆さん。この日は、世話人の田中淳夫さん、山本なお子さんのお二人が、参加者をガイドします。

左が田中さん、右側が山本さん

まず、田中さんが、ミツバチの暮らしについて教えてくれました。

ミツバチの巣箱には女王蜂が一匹いて、たくさんの卵を生んでいます。春が産卵のピークで、1日1000個以上産むこともあります。ミツバチは卵から成虫になるまでに21日かかるそう。孵化するまでに3日、幼虫で6日。蛹になって12日で羽化です。

「大人になったミツバチが最初にするのは、巣の中の清掃です。新人が掃除をするのは、人間も同じ、鉄則です」と田中さん。田中さんは、いつも人間とミツバチを同じ生き物として話すのが面白いところ。「ミツバチがこうしているから、人間もこうしないといけない」とよく話しています。

羽化したミツバチは、最初の3日程度を巣箱の清掃で過ごし、次の2週間を育児と巣作り、門番を担当します。幼虫が出す「お腹が空いた」という信号を受け取って、花粉をハチミツで練って、幼虫に与えます。花粉はタンパク質が豊富で、幼虫が体を養うために必要なものなのです。

巣作りでは、触覚の幅で巣穴の大きさを測ります。ミツを吸ってロウを出し、六角形のいわゆる「ハニカム構造」を作ります。

そして、人生の最後の10日間を、外を飛んで花粉やハチミツを集める「外勤バチ」として過ごすことになります。セイヨウミツバチの飛ぶ範囲は半径およそ2~3km程度。「次の命」につなぐために周囲の花を巡り、その生涯を終えるのです。

「ミツバチを見ていると、生き方、暮らし方を学ぶことができると思います。外で飛んでいると、ツバメなどの鳥、蜘蛛などの天敵に襲われたり、ゲリラ豪雨で巣に戻れなくなったりする危険もあります。しかし、次の命につなぐために、一生懸命生きるのです」

ミツバチが一生の間に集めるハチミツは、ティースプーン一杯分だと言われています。「それを採っちゃっていいの?」と思うかもしれませんが、集めたハチミツを全部採るのではなく、「余った部分をいただくのが養蜂」であると田中さんは説明しています。

いのちの重さを肌で感じる

その後、参加者の皆さんに巣箱に近づいてもらって、目の前で巣の中の様子を見てもらいました。

巣箱の中では、並べられた巣枠に沿ってミツバチたちが巣を作っています。六角形の巣穴の中は巣枠によって異なっており、卵や幼虫がいるもの、花粉が詰まっているもの、ハチミツが詰まっているものがあります。田中さん、山本さんは、それぞれ巣枠を引き出して、女王蜂を探して見せてくれたり、ハチミツが詰まっている様子を教えてくれたりしました。

最初は恐る恐るといった感じで、近づくのもためらっていた子どもたちですが、だんだんのめり込むように近づき、熱心に見入っています。勇気のある子は、山本さんからミツバチを受け取って、手のひらに乗せて観察したりもしていました(※手に載せたのは、針を持たないので刺すことのないオスバチ)。

最初は恐る恐る遠巻きに見ている参加者も、だんだん乗り出して、のめり込むように見学

ミツの詰まった巣穴には、ちょっと指を差し入れてミツをなめることができます。試食の時間はあとで用意されていましたが、フライング?でミツをなめる子どもたち。そして、ミツが詰まった巣板を持たせてもらって、「重ーい!」「手がベタベタする!」と歓声を上げます。

巣板の重さは独特の感触があります。ないがしろにできない、有無を言わせぬ重さです。単なるモノの重さではなく、いのちの重さと言っても良いかもしれません。ベタベタする、重い、そして甘い。ミツバチのいのち全部を、感覚で受け止めてくれたに違いありません。

ハチミツの試食タイムでは、今のハチミツと、4月上旬に採蜜されたサクラのハチミツの食べ比べをしていただきました。セイヨウミツバチは、その時々の花に集中的に訪問する習性があり、サクラの時期はサクラのハチミツが作られます。

サクラのハチミツへの子どもたちの感想は「濃い!」。味が濃密で、落ち着いた雰囲気と花の華やかな香りが同居しています。

「クセが強いので、カクテルなどによく合うと言われています。昔からあの世とこの世の境を"サ"と言いますが、その時に咲くからサクラと名付けられました。寒くて眠っていた命を覚醒させる強烈な香りと味がするのです」(田中さん)

梅雨が続く6月は単花にはなりにくく、リンデン、クロガネモチなどの花のミツがまじります。いわゆる「百花蜜」で、百花蜜にしかない味の広がりと華やかさがあります。子どもたちにとっては、どちらも忘れられない味になったのではないでしょうか。

子どもたちの体験と感性を大切に

最後に、参加者からの質問を受けて、田中さん、村上が回答するコーナーもありました。 「どうしてミツバチは黄色と黒なんですか?」「ミツバチもおしゃべりしますか?」「死んじゃったら、どうなりますか?」......子どもらしい、素朴で容赦なく、鋭い質問が次々と出され、田中さん、村上もタジタジとしながら回答していました。

参加したある親子は、「ミツバチは怖いものだと思っていたけど、全然こっちに来なくて(襲わなくて)、優しいものだと分かってびっくりした」と話しています。親の勤務地が丸の内で、社内の掲示場でこの見学会の案内を目にして応募したそう。親御さんも「参加してよかった」とうれしそう。

「(ハチミツは?)たまにパンにつけて食べます。(今日のハチミツの味はどう?)甘かったけど、大人の味だと思いました!いつもよりおいしかったです」(参加した子どものひとり)

イベント中の子どもたちの素直でストレートな反応を見て、スタッフ一堂が百聞は一見に如かず実際に体験していただくことが重要という手応えを感じることのできた回となりました。

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