イベント環境プロジェクト・レポート

【レポート】東京の新名所から宇宙を想う

“TOKYO TORCH Park”から星空を見上げよう! 2021年10月8日(金)開催

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2021年7月に東京駅日本橋口前に開業した常盤橋タワー。その足元に広がる「TOKYO TORCH Park」という大規模な広場では、同年10月よりスタートしたTOKYO TORCH Marketを始めとした様々な催しが開催されています。そして10月8日(金)にはエコッツェリア協会が主催、天文学普及プロジェクト「天プラ」協力の下で「"TOKYO TORCH Park"から星空を見上げよう!」と題した天体観望会が行われました。

高層ビルがひしめき合う大丸有エリアは東京の中でも特に星空とは縁遠い場所に思えますが、実はここからでも天体観測はできるのです。実際に当日は多くの方がTOKYO TORCH Parkで天体望遠鏡を覗き込み、宇宙に想いを馳せている姿が見られました。参加した皆さんがどのような想いを持って夜空を眺めていたのでしょうか。そして、大丸有で宇宙に触れることにはどのような意義があるのでしょうか。イベントレポートを通じて大丸有の可能性について考えていきます。

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「東京の空にも星がある」という当たり前でも新鮮な事実

「東京の空にも星がある」という当たり前でも新鮮な事実

image_event_211008.002.jpeg当日は老若男女問わず参加者が絶えず、最終的には172名の方に天体観測を楽しんでいただきました

当日は夕方から空が雲に覆われるという予報もありましたが幸いにも天候に恵まれ、陽が沈んだ18時からイベントがスタートします。今回のイベントは事前申し込みが不要だったためどれだけの参加者が集まるか予測がつかない状況だったものの、金曜日ということもあり仕事を終えた大丸有エリアのビジネスパーソンやマルシェを目当てに訪れた人、事前にWebサイトの告知を見てくれた親子連れなど、多くの方に参加していただきました。観測には4つの天体望遠鏡が使用され、イベントに協力いただいた天文学普及プロジェクト「天プラ」メンバーのガイドの下、木星やはくちょう座の恒星であるアルビレオなどを観測することができました。小さなお子さんと一緒に参加した方からは「住んでいる場所では星が見られませんが、子どもに星空を見せたいという思いは以前から持っていたので、こういう体験を通してもっと興味を持ってもらいたいと感じました」「子どもたちから天体望遠鏡に触れてみたいと言われていたのですが、どこに行けば体験ができるのかわからず困っていました。こういったイベントを通じて子どもたちの願いを叶えられてよかったです」といった感想が聞かれました。

image_event_211008.003.jpeg写真左:金曜日ということもあって仕事帰りに参加した方も多く見られました
写真右:天プラのメンバーによる解説もあり、星や宇宙に詳しくない方でも楽しんでいただきました

普段このエリアで働いている人たちの中には、東京駅前で天体観測ができるという事実に深く感じ入っていた様子も見られました。近所のオフィスで働く女性は「この周辺はよく通りますが仕事中なので立ち止まってゆっくり空を見ることはありません。そんな場所で星を見られたのはいい機会でした」と語り、また別の女性は「考えてみれば当たり前のことですが、東京の上にも星があるんだという事実がすごく新鮮でした」と話してくれました。さらに、普段から天体観測を楽しんでいるというある男性は「普段から意識して空を見上げていましたが、それでも天体望遠鏡を使えば都心でもこんなにきれいに星が見られることに改めて驚きました。日常的に星を見ている僕でもそうだったので、日頃星を見ていない方の場合はもっと感動するでしょうし、実際に見てみたら虜になると思います」と感動を語ってくれました。

image_event_211008.004.jpeg写真左:お子様連れで参加してくれた方も多くいました
写真右:お子さんと一緒に参加いただいた女性は「ちょうど子どもが星や宇宙に興味を持ち始めていたのでいい体験ができました」とコメントしてくれました

一方で、「想像していたよりも小さく見えたので、見ている星の大きな写真も見せてくれたらもっと楽しめたかもしれません」「お酒を飲みながら夜空を見上げるようなイベントがあればいろんな楽しみ方ができると感じました」といったコメントも寄せられました。天体観測は様々なプラスアルファを掛け合わせられる可能性があるだけに、組み合わせ次第で今後のイベントの発展も期待できそうです。

image_event_211008.005.jpegイベントの舞台となったTOKYO TORCH Parkは1階に飲食店が立ち並んでいます。飲食店のお客さんも興味深そうに天体観測の様子を眺めていました

夜空を見上げてみると自分と宇宙がつながる

image_event_211008.006.jpeg天プラの運営メンバーの内藤誠一郎氏

このイベントに協力をいただいた「天プラ」は、2000年代にプラネタリウムが続々と閉館していくことに危機感を抱いた学生たちがプラネタリウムや天文学の楽しさや有意義さを普及するために立ち上げたプロジェクトです。現在も研究者やプラネタリウムに携わる人、会社員や学生などの有志が集まり、天体観望会の開催や宇宙や星空について語り合う催しなどを開催しています。今回のように都会で天体観測をする意義について、天プラの運営メンバーのひとりで普段は国立天文台に勤める内藤誠一郎氏は次のように教えてくれました。

「もともと天プラは天文学やプラネタリウムと世の中の人々をつないでいこうという目的を持って立ち上げられたプロジェクトです。だからこそ天文台のような施設で星に興味がある人を待つだけではなく、自分たちから街中に出て行き、普段は星を意識していない人々に星を見る体験を提供することはとても大切だと思っています。自然の中や満天の星空だけに限ったものではなく、街の中でもちゃんと自分たちの上にも星はあることを意識できると、日常に帰っても星を意識してもらえますし、それが周囲の人にもつながっていくと考えています」(内藤氏)

忙しない日常の中で、ほんの少しの間でも立ち止まり空を見上げる。その時に星を意識しているかどうかでその後の気持ちがちょっとだけ変わってくる――宇宙や星空に触れることにはそんな効果もあるのでしょう。さらに視点を広げてみると、天文学や天体観測に触れることで客観的な視点で物事を見る習慣を身につけることも期待できます。

「地球以外の惑星を見ることでその惑星のような環境がどうやって構築されているのかを知ることができます。また地球の物質の起源や我々の身体の起源と宇宙のつながりを見ることは、自分たちを特別視しないことを意味します。宇宙や星を通じて地球や人間を外から見る視点を得られるという意味で、天文学は究極の客観視と言えるのかなと思っています」(同)

また、天体観測は大気の状態との兼ね合いで観測のしやすさが変わってくるため、地球環境を可視化することにもつながります。

「80年代や90年代の大気汚染がひどかった頃と比べれば、近年の東京では星が見えるようになったという話を聞いています。それは光害の影響への配慮が少しずつ広がってきたことや、大気が澄んできていることを示しているかもしれません。都市生活において星空が環境のバロメーターになることも意味していると言えます。天プラは環境団体ではなくあくまでも天文学や科学をポジティブに続けていきたいという価値観を共有するグループですが、天文普及活動をプラットフォームとして環境に関する発信ができることにも価値はあるんだと思います」(同)

日常的生活の中で環境問題について考えるのは意外と難しいものです。しかし星空を見上げるという簡単な行為をによって自分が暮らす場所の環境状態を知ることができるのは、これからの社会生活において重要な気づきと言えるのではないでしょうか。最後に内藤氏は、これから天体観測や天文学に触れてみたいという方に向けて次のようなメッセージを送ってくれました。

「実は日本はプラネタリウムや望遠鏡がある施設がとても充実した国です。これから星空に触れてみたいという方はぜひお近くの施設を探してみてください。そもそも、東京のような都市でも見上げてみれば星があり、宇宙につながっているわけです。見たいと思ったら空を眺めてみると何らかの気づきがあると思いますし、何かひとつの気づきがあれば『明日も見えるかな?』『今日はどうだろう?』と感じるようになると思います。そうやってステップを踏みながら見ていってもらえるといいなと思います」(同)

東京の新名所は楽しみながら学びを得られる空間

image_event_211008.007.jpeg 東京駅日本橋口前に誕生したTOKYO TORCH Park。毎週金曜日と日曜日にはマルシェも開催され、大丸有エリアの新たな名所として賑わいを見せています

今回の天体観望会の舞台となったTOKYO TORCH Parkは、7月に開業した常盤橋タワーと2027年度に竣工予定のTorch Towerの間に位置する大規模広場です。かつては道路として使われていた場所ですが、現在はベンチやパラソル、緑や芝生、鯉が泳ぐ池、アート型の遊具などが設置されていて、都心の中で異彩を放つ空間として注目を集めています。広場では毎週金曜日と日曜日に日本全国の新鮮な食材や海外の珍しい食材、手作りの焼き菓子や一点ものの雑貨などが楽しめる「TOKYO TORCH Market」というマルシェも行われていますが、この場所で天体観望会が実施されることになったのはマルシェとの親和性の高さや学びと楽しさを両立できるという点が評価されたからです。そのことを教えてくれたのはTOKYO TORCH Marketの担当者である三菱地所の牛尾莉緒氏です。

「常盤橋タワーは完成したばかりですが、この街区ではまだまだ再開発が続き、風景が変わり続けているので周辺で働く人は常に落ち着かない気持ちだと思うんです。そこでずっと変わらないものをこの広場に作りたいと考えてマルシェを行うことになりました。出店者の方と会話しながら買い物がすれば愛着を感じてもらえますし、日本全国の食材を取り扱うことで故郷を懐古してもらうことにもつながります。この出来立てほやほやのエリアはまだお出かけスポットというイメージはありませんが、このマルシェを中心に東京の新しい名所にしたいですし、ゆくゆくはハワイのファーマーズマーケットのような日本の観光スポットにしていきたいです」(牛尾氏)

そのためにマルシェ以外にも日本の四季を感じられるようなイベントの開催が必要不可欠と考えていると言います。

「イベントと言っても、ただ旬のものを扱っているとか、ただ楽しいというだけではなく、この街区を通じて何らかの学びを提供できるイベントを意識していました。そうすることで、大人だけではなく親子で大手町を訪れてもらう機会が作れるからです。そこで、色々なイベントの開催実績があるエコッツェリア協会と連携して案を考えていき、出てきたのがこの天体観望会です。星や宇宙、天体望遠鏡といったものは楽しみながら学べるものですし、ちょうどお月見の時期で、ナイトマーケットを開催しているタイミングでもあったので、ぜひやろうということになりました」(同)

牛尾氏は、今後もエコッツェリア協会と様々なイベントを開催し、TOKYO TORCH Parkにおけるイベントのあり方を模索していきたいとも話しました。

image_event_211008.008.jpegTOKYO TORCH Marketの担当者である三菱地所の牛尾莉緒氏

今回のイベントは大々的な宣伝はなく、開催時間も2時間という短い時間でしたが、最終的には172名もの方にご参加いただきました。実際、この日の参加者の中にはマルシェを楽しんだ後で天体観測も体験してみたという方も多くいて、"楽しみながら学ぶ"ことの需要の高さが伺えました。今後のTOKYO TORCH Parkからの学びの拡がりに期待大です。

image_event_211008.009.jpeg多くの方に参加いただけただけに、今後もTOKYO TORCH Park×学びのコラボレーションに期待大です


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