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【レポート】逆参勤交代、政策化から本格始動へ 後編

丸の内プラチナ大学逆参勤交代コース DAY2 2019年7月10日(水)開催

8,9,11

地方での期間限定型リモートワークを通じて、働き方改革と地方創生の同時実現を目指す「逆参勤交代構想」。その社会実装の次なる一歩を踏み出すべく、今年も丸の内プラチナ大学で「逆参勤交代コース」が開講しました。

7月10日(水)に開催された「逆参勤交代コース」のDAY2の前半では、本講座の講師を務める松田智生氏(三菱総合研究所プラチナ社会センター 主席研究員・丸の内プラチナ大学副学長)がその全貌を解説したのち、地方フィールドワーク「トライアル逆参勤交代」の行き先である北海道上士幌町、埼玉県秩父市、長崎県壱岐市の各首長が、各市町村について紹介しました。本レポートでは、後半で行われたパネルディスカッションの様子をお届けします。

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「新しい挑戦に挑む」という共通点

「新しい挑戦に挑む」という共通点

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北海道上士幌町、埼玉県秩父市、長崎県壱岐市の各首長をゲストに迎えたパネルディスカッション。モデレーターを務める松田氏からは、次々と質問が投げかけられ、活発な討論が繰り広げられました。

質問1:各自治体のプレゼンテーションの感想を教えてください。

埼玉県秩父市 市長室長・宮前房男氏(以下、宮前氏):「上士幌町が人口増加に転じているのはすごいことだと思いました。壱岐市の再生可能エネルギーを使った水素発電の取り組みでは、100%自然エネルギーによる発電を目指すという意気込みに感心しました」

長崎県壱岐市・白川博一市長(以下、白川氏):「上士幌町の広大な大地と人口増加は、純粋に羨ましいです。壱岐市と共通しているのは、バイオマス発電によって、100%自給電力をつくることへの取り組みです。秩父市には数年前に訪問したことがあります。都心に近いのに自然に恵まれている。大きなお祭りも開催されていて、神社も大事にされている。その点でも共通点を感じました」

北海道上士幌町・竹中貢町長(以下、竹中町長):「3つの自治体はいずれも、新しいことに挑戦しているという共通点があると思いました。秩父市のCCRCの取り組みは、東京から近いという利点を活かして、ぜひとも成功して欲しいです。余談になりますが、私は北海道の小さな島の出身です。島にはいろいろと不利な点がありますが、壱岐市は人口がかなり多く、近代的な取り組みをさまざまに進められているので、最たる離島モデルとして頑張って欲しいです」

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それぞれの魅力とこれからの課題

質問2:我がまちの魅力について教えてください。

白川市長:「島内の雇用機会を増やすことが、移住者が増える大きな力になっていると思います。2010年に、全事業所、全家庭に470kmに及ぶ光回線を引いたことも大きいです。島には不利な点もありますが、島でしかできないことをやっていきたいと思っています。特に電力については、九州本土とは系統連系していません。だからこそ、むしろ100%自給できる可能性に挑戦したい。農業については、生産者の顔が見える、商標登録をしやすいといった利点もあるので、それらを自覚しながら取り組んでいきたいと思います」

宮前氏:「秩父市は、移住への取り組みを始めてから2年ほどになります。まだそれほど多くの人が移住しているとは言えませんが、都心から近く、お祭りも多いまちということで、気軽に訪れたことがきっかけとなり、徐々に興味を持ってくれる人が増えて、移住に結びついているのではないかと感じています。そうした関係性がより多くできていけば、今ある地域資源も格段に活かされていくのではないかと思います」

竹中町長:「東京をスピード社会とするなら、上士幌町はスロータウン。東京では、政治や経済が24時間休むことなく動いていますが、上士幌町では、明るくなったら仕事をして、暗くなったら家庭団らんの時間を過ごすというスタイルです。対極にある生き方は、引き寄せ合う関係にあると思っています。例えば、リラックスできる環境であるとか、地方が持つ魅力や役割はありますが、ただ、それらを都市圏の人にどう伝えるかが難しいところ。上士幌町は、東京から1000kmの距離に位置していますが、3時間もあれば来られます。しかし、やはり物理的には遠い。それをつなぐには通信が必要だということで、ようやく今、町中に光回線を通すことができました。早くからそれを実現した壱岐市は素晴らしいです」

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質問3:"わが町"が今、悩んでいることとは何でしょうか?

白川市長: 「"壱岐市といえば、コレ"という魅力がまだ十分に訴求できていないことです。
5年ほど前から、"緑の島"というコンセプトで打ち出してみたのですが、インパクトに欠けていたようで、あまり響かなかったんですね。そこで今、"イルカ"をキラーコンテンツにしたいと考えています。壱岐のイルカは、『壱岐イルカパーク&リゾート』だけでなく、自然の入り江でも泳いでいます。芸を披露するほかにも、一緒に泳げるなど、新しいメニューを考えているところです。あと、ここでお話しても解決することではないのですが、島に残ってくれている若者が結婚しないことですね(笑)」

宮前氏:「若い人がまちを離れて、戻ってこないことです。秩父市には大学がなく、近年は周辺他地域の高校に進学する人も増えていて、市内にある県立高校4校も存続の危機に面しています。若者がもっと楽しめるような場所が必要ですし、まちの中に賑わいが生まれれば、若者が戻ってくるかもしれないとも想定します。子どもたちに、"地元愛"を持ってもらえるような魅力あるまちづくりが課題です。都内に進学したとしても、その愛があれば、何年後かには、戻ってきてくれるのかなとも思います」

竹中町長:「上士幌町では、子育て教育にかなり力を入れて、安心して住んでもらえる環境づくりに取り組んできました。医療に関しては、地域の中に2つの診療所があります。夜間に子どもの調子が悪くなった時などにも対応できますが、専門医がいないことが課題でした。これについて、都内シェアオフィス『WeWork(ウィーワーク)』で話す機会があったのですが、オンラインで都内にいる専門医とつながり、子どもの病状を写真で送るなどして、診断してもらうのはどうかという提案をもらいました。頻繁に起こることではないけれど、我々としては、一人ひとりの悩みに応えることをしっかりやっていきたい」

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竹中町長:「上士幌町では、小学校などの廃校をいかに活用するかという問題もあります。地元の人はそこまで考えが及んでいないのが現状です。例えば、都心でのキャリアを上士幌町で活かしてもらいながら、首都圏とつないでいくような、そんな仕事をしてくれる方を求めています。もうひとつの課題は、企業、あるいは企業で働く人たちの誘致です。例えば、会社からの義務として、特定健診とリフレッシュを兼ねて来てもらい、それがテレワークに発展するというのは、理想的な形ですね。"挑戦しやすいまち"として環境を整えていきたい。意欲的な人に来て、まちを体験してもらえば、何かできそうなことが見つかるかもしれない」

目指すは、"回遊型"逆参勤交代の実現

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パネルディスカッションの終了後、受講生はグループに分かれて、車座ディスカッション
を行いました。竹中町長、宮前氏、白川市長も加わり、「逆参勤交代コースで何がしたいか」について、思い思いの意見を交わしました。

続いて、各首長が受講生に向けたメッセージを伝えました。「秩父市に興味もってもらえることはありがたい。フィールドワークで来られる方には、フィードバックをいただけると嬉しい」と宮前氏。「車座ディスカッションでは、壱岐市のフィールドワークに参加される方と、新潟県の行政機関の方と盛り上がりました。今日は皆さまにお会いできて本当に良かった。ありがとうございます」と白川市長。

「新しいことに挑戦してみたい、そんな軽い気持ちで参加して欲しいと思います。なんとなく馴染みそうだなと思ったら、またぜひおいでいただきたい。結果として、行ったり来たりができるような関係につながっていけば幸いです。いろんな地域を体験すること、その中で自分に合うところを選んでいく。そういう生き方、働き方をぜひこの機会に体験してもらいたい。期待しています」と竹中町長。

最後に、松田氏が今後の展望を述べました。「理想とするのは、回遊型逆参勤交代。夏は上士幌町、季節のいい時に壱岐市、あるいは近くの秩父市に行くといった、日本全国回遊型の逆参勤交代が実現できたらいいなと思います。今日は行政の方も参加されていますが、こうした広域連携こそが、まさに逆参勤交代のキモではないかと思いました」

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交流会では、秩父市のイチローズモルト、上士幌町のローストビーフとコーンビーフ、壱岐市の麦焼酎など、特産品が振る舞われ、盛況を呈しました。次なるフェーズはいよいよ、フィールドワークです。今後の逆参勤交代コースの発展にご期待ください。

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