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【レポート】ふるさと納税20億円、人口増加に転じた"奇跡のまち" 上士幌町×逆参勤交代(2日目)

丸の内プラチナ大学逆参勤交代コース 北海道上士幌町フィールドワーク 2019年7月26日(金)~28日(日)開催

8,9,11

2日目は、廃校跡地と利活用状況の視察からスタート。最初に向かったのは、国道241号に隣接する旧北門小学校です。

<2日目>
課題解決フィールドワーク②(廃校跡地・利活用状況の視察・「生涯活躍かみしほろ塾」・ナイタイ高原牧場・ロータリーパーラー)→課題解決プラン討議→ぬかびら源泉郷「中村屋」

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上士幌町の「今」を知る

上士幌町の「今」を知る

image_event_190727_01.jpeg 旧北門小学校の内部。窓からは温かい日差しが射し込む。

▼廃校跡地・利活用状況の視察

平坦な畑地に囲まれ、広大な十勝の景観を一望できる好立地に建つ旧北門小学校は、2016年3月末をもって閉校することが決まり、地域の人々に惜しまれながら、90年の歴史に幕を閉じました。建物内は、その時の長さをみじんも感じさせることのない、廃校跡地のイメージをくつがえすような明るさと清潔さに満ち溢れています。この小学校に限らず、上士幌町で廃校となった小学校は、校舎、体育館、教員住宅、グラウンドなど、土地内のすべての施設を含めて、一律月10万円の賃料で借りられるのだそうです。案内役を担ってくださった梶氏は、「ビジネスプランの検討材料のひとつとして、有効活用できる方法をぜひご検討いただきたい」と受講生に呼びかけました。

image_event_190727_02.jpeg旧東居場小学校跡地にオープンした鉄板焼レストラン「tobachi(トバチ)」。敷地の入り口では、オーナーさんが飼っているというヤギが出迎えてくれる。

次に向かったのは、2010年に閉校した旧東居場(ひがしおりべ)小学校の教室を改装し、2014年6月にオープンした鉄板焼レストラン「tobachi(トバチ)」です。店長を務めるのは、町内で純国産にこだわった蜂蜜の製造・販売を行う「十勝養蜂園」のご子息。店名は、"トカチ"と"ハチ"を掛け合わせて名付けられたそうです。上士幌産の「十勝ハーブ牛」を使ったハンバーグを中心に、地場産食材にこだわったメニューを提供しています。黒板や床、水飲み場など、かつての趣を残しながら、洗練されたスタイリッシュな空間に生まれ変わりました、tobachiは、"上士幌の隠れ家的レストラン"として人気を集め、今では1時間待ちの行列ができることもあるのだそうです。

image_event_190727_03.jpeg旧北居小学校跡地に設立した「十勝製菓株式会社」。工場での菓子製造は、すべてが手作業で行われている。

続いて、2014年3月に閉校した旧北居小学校跡地を活用し、同年12月に設立された「十勝製菓株式会社」を視察しました。十勝製菓は、三重県に本社を持つ「松屋製菓株式会社」のグループ会社。上士幌町に拠点を置くきっかけとなったのは、仕事と移住体験を兼ねた取り組みである「転地型テレワーク事業」でした。既存の飴製品の販売に加えて、蜂蜜や牛乳、餡など、十勝の原材料を使った焼き菓子の製造を行っています。中でも最近人気が高いのが、十勝産練乳・小麦・あすぎをたっぷり使った「べこぼっこ。」と呼ばれる白い棒状のお菓子。同社営業本部長の関山隆夫氏によると、上士幌町が、NHK連続テレビ小説「なつぞら」の舞台として注目を浴びて以来、「生産が追いつかず、週末も稼働している状況」とのことでした。

▼「畜産バイオマスを核とした資源循環エネルギー地産地消のまちづくり構想」とは

image_event_190727_04.jpeg上士幌町役場・企画財政課主査の老月隼士氏。

午前中のフィールドワークを終えた一行は、上士幌町生涯学習センター「わっか」に到着。上士幌町役場・企画財政課主査の老月隼士氏より、「畜産バイオマスを核とした資源循環エネルギー地産地消のまちづくり構想」についてのプレゼンテーションが行われました。

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この構想は、畜産業から日々産出されるふん尿を主体としたバイオマスエネルギーを活用し、「バイオマス発電」による再生可能エネルギーの産出をはじめ、地域エネルギー会社によるエネルギーの地産地消、畜産版エネルギーマネジメントシステムの構築、新産業の雇用と創出を推進し、資源の地域内循環によるまちづくりを目指す取り組みです。このモデルは、2018年度に北海道より採択され、5カ年で5億円の補助を受けました。

3年目となる現在、上士幌町農業協同組合、農業生産法人 有限会社ドリームヒル、株式会社karch、北海道ガス株式会社などの6団体でコンソーシアムを組み、それぞれが役割を担いながら、畜産バイオマスを活用したモデルの構築に向けて事業を推進中です。

「コンソーシアムの中で、上士幌町は、あくまでも事務局としての役割を担っている。現在、町内では4機のバイオガスプラントが稼働している。全体の計画では、あと2機を増やし、計6機となる予定」と老月氏。既存のバイオガスプラントの受入能力、発電能力を向上させ、通年安定的に稼働させるための整備工事は順調に進み、今年11月、12月ごろには完成予定とのこと。2019年以降は、電力小売業を強化しながら、「電気の見える化」によるホームエネルギーマネジメントシステムの開発や余剰バイオガスを活用したガスパイプライン敷設による廃熱利用事業などを推進していく予定です。

▼シェアハウスオフィスの活用

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続いて、梶氏より「シェアハウスオフィスの活用」についてのプレゼンテーションが行われました。上士幌町は、米国シェアオフィス運営大手「WeWork(ウィーワーク)」と道内自治体として初めて契約し、多種多様な企業・団体とのネットワークを構築するべく、千代田区神保町に開設された同シェアオフィスに新たな拠点を設けました。

「WeWorkを利用している企業だけが参加できるSNSなどもあり、18時以降はイベントスペースとしても貸し出してくれる。上士幌町の取り組み知ってもらうのもひとつだし、町内への企業誘致活動を推進するきっかけづくりができればいいと考えている」(梶氏)

また、「上士幌シェアオフィス構想」が、内閣府の地方創生拠点整備交付金で採択され、2020年の開設に向けて、着々と整備が進められています。

「テレワークやワーケーションでの利用はもちろんのこと、今後、逆参勤交代でも活用していただけたら幸いに思う。東京のシェアオフィスにはない、ナイタイ高原牧場を見渡せる景観は大事にしたい。シェアオフィスを通じて、上士幌町の魅力を最大限アピールしていきたい」と締めくくりました。

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昼食は、ふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディング(GCF)で開店資金を集めた「蕎麦 五武庵」へ。上士幌町では、唯一のそば屋が2009年に廃業して以来、一軒もそば店がありませんでした。町民からは、復活を求める声が多数寄せられ、上士幌町は「そば屋開店プロジェクト」を企画。GCFでは、242人の支援者から、目標金額の300万円を上回る314万5千円の寄付金を集めることに成功。プロジェクトの当初から参加し、店長兼料理人として東京から移住した平野昌樹さんは、設計士、インテリアデザイナーなどの仲間と共に、築30年の空き店舗を粋な和モダンテイストに改装し、2018年末に、まち待望のそば屋を開業しました。

▼「生涯活躍かみしほろ塾2019」

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五武庵から徒歩で約5分。「上士幌山村開発センター」では、この日、「生涯活躍かみしほろ塾2019」の総合講座第1期の講演が行われていました。生涯活躍かみしほろ塾は、地方創生をテーマに2018年度からスタートした取り組みで、多様な講師陣をゲストに迎え、さまざまな切り口から地方創生を考えていくことを目指しています。町民の方たちはもちろん、会場には、神奈川県や茨城県など都市圏からの参加者も集まり、盛況を呈していました。

image_event_190727_09.jpeg「生涯活躍かみしほろ塾」に登壇した橋本聖子氏(左)。講演に聞き入る受講生たち(右)。

▼日本一広い公共牧場「ナイタイ高原牧場」

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次に向かったのは、「ナイタイ高原牧場」。日本一広い公共牧場には、2000頭以上の乳牛が放牧され、今年6月に頂上付近にオープンした「ナイタイテラス」からは、十勝平野に広がる美しい風景を一望できます。

テラスの屋内は、全面ガラス張りの窓になっていて、「展望カフェ」のソフトクリームを食べながら、ダイナミックな高原の眺望を楽しむ人で賑わっていました。ソフトクリームは、「うし」(写真左上)という名のミックスソフトのほか、ショコラ味の「くろ」、よつ葉バニラ味の「しろ」があり、人気商品となっています。その他、十勝ナイタイ和牛のローストビーフやハンバーガー、十勝産のフライドポテトなど、地場産食材を使ったランチプレートも楽しめます。

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▼ロータリーパーラーによる搾乳の視察

image_event_190727_12.jpeg株式会社サンクローバーのロータリーパーラー。奥に見えるのが、フリーストール牛舎。

この日最後に訪れたのは、「ロータリーパーラー」という国内では数少ないアメリカ製の搾乳機を導入し、搾乳を行っている「株式会社サンクローバー」。同社代表の菅原達夫氏によると、1日に1頭の搾乳牛から搾れる乳量は約33キロ。サンクローバーには、3つの搾乳牛舎のほかに、妊娠中の乳牛を休ませる乾乳舎やホスピタル牛舎があり、従業員30名で約1100頭の乳牛を管理しています。

1回の搾乳につき、ロータリーパーラーの回転台に乗ることができるのは、約50頭の搾乳牛。フリーストール牛舎から出てきた搾乳牛たちは、通路を通って待機場所までやって来て、スタンバイします。順番が来ると、回転台の仕切り枠に自ら入って、搾乳がスタート。回転台が一周する間に搾乳が完了する仕組みで、乳頭に付けられていた搾乳機械は自動的に外れるようになっています。搾乳を終えた牛たちは、回転台を降り、また牛舎へと戻っていきます。一連の作業を理解し、次々と仕事をこなしていく様を見て、受講者たちからは驚きの声が上がりました。

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一日の締めくくりとして、上士幌町生涯学習センター「わっか」で課題解決プラン討議が行われました。上士幌町の魅力を満喫した受講生たちは皆、いきいきとした表情で、それぞれに見出したこのまちの課題について話し、活発な意見交換が繰り広げられました。

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夕方、中村屋に戻った一行は、しばしそれぞれの時間を過ごしたあと、再びお座敷に集合しました。温泉に入り、浴衣に着替えてきた人が半数以上というくつろいだ雰囲気の中、2日目の懇親会が行われました。地元料理に舌鼓を打ちながら、賑やかなひとときが共有されました。一部の受講生の間では、2次会も開かれたのだとか。バイタリティに溢れる面々が顔を揃えた今回のフィールドワークも、いよいよ終盤。最終日はいよいよビジネスプランの発表です。

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3日目へ続く


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