イベント丸の内プラチナ大学・レポート

【レポート】「丸の内プラチナ大学」第8期開講式

【丸の内プラチナ大学】DAY1 オリエンテーション 2023年9月4日(月)開催

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今年第8期目となる丸の内プラチナ大学の全コース共通オリエンテーションが3×3Lab Futureにおいて開催されました。2016年から続く丸の内プラチナ大学は、学生からビジネスパーソンまで多世代に学びと挑戦する場を提供してきました。講師の話を聞いて学ぶだけではなく、聞いて学んだことを小さくても良いので実践し、徐々に大きくしていくことを目指していきます。会場には100人を超える受講生が集まり、急遽後方に臨時の座席が設けられるほどの盛況ぶりでした。

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基調講演:プラチナ社会への道筋 
「私たちが今なすべきことは、資源自給国家を本気で信じること」

基調講演:プラチナ社会への道筋  「私たちが今なすべきことは、資源自給国家を本気で信じること」

はじめに、小宮山宏学長(一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会長/株式会社三菱総合研究所理事長)から「学びと実践が創るプラチナ社会」と題した基調講演が行われました。

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小宮山氏は、今こそ学びが必要な理由を「私たちが生きている時代は三つの意味で人類史の転換期を迎えている」からだと説明します。1つ目は地球環境です。二酸化炭素濃度やプラスチック汚染など、人類が地球環境を急速に変えてしまいました。これまでも地球は恐竜絶滅などの環境の変化を経験してきましたが、生物(人類)が地球環境を変え始めたという点は地球誕生以来初の出来事です。2つ目は長寿命化です。これは産業革命による自給自足社会からの脱却が大きく関係しています。産業革命前までは一人で一人分の食料しか作れませんでしたが、産業革命によって一人が100人分の食料を作り、残りの99人はものづくりやサービス業などに従事できるようになって生活の質が改善し、現在は世界の平均寿命が70歳超というかつてない長寿社会を迎えています。3つ目は膨大な知識です。現代社会はインターネットや書籍などの知識があふれているにも関わらず社会問題も多く抱えています。しかしそれは膨大な知識と社会問題のミスマッチが生じているからで、知識を正しく使えば今人類が抱えている問題は解決できるのです。

人類の転換期を迎える現代において、丸の内プラチナ大学は「プラチナ社会」という「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会」をビジョンに掲げ、学びと挑戦の場を提供しています。「プラチナ社会」の実現を目指し設立されたプラチナ構想ネットワークは、わずか数人から始まったものが現在(補注:2023年8月1日時点)では自治体や企業など428会員が所属し、環境エネルギーや人材育成、農林水産業、観光などの分野で様々なプロジェクトが進行するに至っています。

小宮山氏は「プラチナ社会」の物質面の理解には3つのキーワード「再生可能エネルギー」、「都市鉱山」、「バイオマス」が欠かせないと話します。エネルギー問題では石油石炭天然ガスなどの化石燃料に頼ることなくカーボンニュートラルを目指すことが非常に重要で、その代替となるものが太陽光、風力などの再生可能エネルギーです。東京電力管内では家庭や工場の屋根に太陽光発電パネルを設置し、北海道電力管内ではソーラーシェアリング(農地の上部に太陽光パネルを設置し発電する)をすれば、再生可能エネルギーだけで日本の電力を供給することは可能だと話します。ソーラーシェアリングでは畑の30%を太陽光パネルで覆ってしまっても、70%の太陽光が当たれば玉ねぎもジャガイモも収穫量や味に影響しません。このように既存の敷地を活用すれば太陽光発電には膨大なポテンシャルがあり、2050年には現在の発電量を太陽光発電で賄えるといいます。

「田んぼに風力発電装置などを入れれば再生可能エネルギー全体で現在の発電量の5倍ぐらいの電力は確保でき、正確な知識に基づけば日本でも十分に再生可能エネルギーは電力源になりうるのです」

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次に現代社会に欠かせない鉄やアルミニウムなどの鉱物資源に関して、都市で資源を循環させることが重要だといいます。従来は地中の鉄鉱石などを採掘してきましたが、現在先進国社会では人口一人当たり10トンの鉄が既に使用され飽和状態になっていると話します。

「飽和したということは捨てないでリサイクルできるということ。スクラップされた金属を溶かして原料に使えばいいのです。日本では自動車が毎年500万台廃車され、新車が500万台売れて、6000万台が走っている。新しい車を作る鉄と出てくるスクラップの量が同じ、これが飽和です」

そして2050年頃に世界各国で金属が飽和状態を迎え、鉄鉱山などの鉱物資源を採掘する必要がなくなります。自然鉱山が都市鉱山に替わり循環経済が成立します。

最後に、現代社会が化石燃料への依存を示すものとしてプラスチックがあります。私たちの社会はもはやプラスチックなしでは成立しえないといっても過言ではないほど、汎用的に使われています。小宮山氏は、現在使用されているプラスチック使用量の半分はリサイクル可能とした上で、残り半分は「バイオマス」を原料としたプラスチックになると言います。これまでプラスチックは石油由来のナフサを原料としてきましたが、近年では植物など生物由来の有機性資源から生成されたバイオマスナフサからプラスチックを作る試みが進められています。このバイオマスナフサが石油の代替となれば、リサイクル可能なだけではなく、石油由来のものをリサイクルするよりもCO2排出量がはるかに少なくなります。小宮山氏は、2050年にはリサイクルされた循環プラスチックとバイオマスを原料としたプラスチックが主流になると話します。
日本はこれまで資源のない国と言われてきましたが、3つのキーワードが示す新たな資源は日本が2050年までに資源自給国になるチャンスを示しています。

講演は次に「プラチナ社会」での健康産業や人財産業へと移ります。
健康産業では弘前大学と北海道大学のビックデータを用いた研究が紹介されました。弘前大学は様々な企業や大学と連携し、青森県内で約1000人から16年間、3000項目にわたる健康データを継続的に収集しました。その結果、特定データ群と糖尿病が発病する相関関係を発見し、その相関係数は0.93ときわめて強いものでした。また北海道大学は、低出生体重児(出生体重2500g未満)の比率を5年間で10.4%から6.3%に下げることに成功しました。この時に使われたのもビッグデータで、妊産婦に個別に食事などのアドバイスを行ったことが功を奏した結果でした。このように大学が中心となり行政や企業、地域住民が連携することが重要で、大学が社会課題解決の拠点として"超大学"になることの必要性を説きます。超大学のモットーは、「論文より社会実装」、「法・規制・制度を変える」、「企業・大学トップのコミットメント」、「百人の有識者より一人の実践者」です。

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次の人財産業では「2050年は人財育成が最大の産業」としたうえで、「プラチナ社会」の人財育成を次のように語ります。

「年長者が年少者を教えるっていうことができたのは社会の変化スピードが遅い時代の話。今ぐらい変化が速いと難しくなってくる。シニア層も若い人から学ぶ必要があり、お互いに教え教えられるというのが当たり前になる社会にならなければいけない」

そのためプラチナ未来スクールでは、小学生にプログラミングを教える際に大学生だけではなく、企業のシニアエンジニアを同席させることで学びの効率を上げることができていると話します。また東京大学の「プラチナ社会」総括寄付講座では、種子島に19大学が集結し、バイオマスや農業AIなど各研究室の得意分野をどうしたら社会実装できるか地元の高校生と一緒に考え市長に発表・提案し実証実験が行われています。

最後に小宮山氏は私たちが今なすべきことは「資源自給国家を本気で信じることだ」といいます。なぜならそれは社会課題となっている少子化、地方創生、安全保障すべての解につながるからです。現在第一次産業たる農林水産業は10兆円規模の市場がありますが、一方で化石燃料を30兆円程度輸入しています。2050年に資源自給国家になれば、化石燃料の輸入に使われていた30兆円は一次産業の担い手たる地方に振り分けられ、すると一次産業が40兆円規模になるのです。そして最後にこう締めくくりました。

「10兆円産業が40兆円産業になって後継者も大勢出てくる。地方再生に必要なのは補助金ではなく、ビジネスや雇用が生まれること。そうすれば自然と地方は再生する」

プラチナ社会を目指す丸の内プラチナ大学全10コース

学長の基調講演の後、丸の内プラチナ大学各コースの講師が紹介され、各コースのオリエンテーションが行われました。

コース1 逆参勤交代コース
コース2 アグリ・フードビジネスコース
コース3 繋がる観光創造コース
コース4 アートフルライフコース
コース5 ライフシフト起業コース
コース6 ESG/SDGs実践コース
コース7 Social SHIFTテーブルコース
コース8 再生可能エネルギー入門コース
コース9 ウェルビーイングライフデザインコース
コース10 森と未来を創るコース

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今年新設された森と未来を創るコースのオリエンテーションでは、講師の一般社団法人森と未来代表理事の小野なぎさ氏の周りに10人ほどが集まりました。参加者がこのコースに入った理由は、「癒しとしての森に魅力を感じた」、「森の今後の活用法を考えたい」、「自然の保全に興味がある」など様々。

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「木は材料として使用されるのみならず、森林を構成し、その癒し効果に関心がある人も多いです。このコースでは森と健康の関係にフォーカスを当て、森の基礎知識や森の癒し効果を学び、体験し、参加者が各々、これから森との関わり方についてアイデアを生み出し活躍していけるようになれば良いと思っています」(小野氏)

10月には山梨県小菅村へ行き、多摩川源流での森林浴や小菅村の地域活性を学ぶフィールドワークも予定されています。

丸の内プラチナ大学は、他のコースでも学びと挑戦の場を提供しています。様々なバックグラウンドを持つ参加者同士の交流や情報交換も丸の内プラチナ大学の魅力。途中参加を受け付けているコースもあるようですので、2050年の日本を見据えながら、興味を持ったコースに応募してみてはいかがでしょうか。

丸の内プラチナ大学

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丸の内プラチナ大学では、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供しています。講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げます。

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