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【レポート】人生100年、自分で築くパラレルキャリア

【丸の内プラチナ大学】ライフシフト起業コースDAY2 2023年9月11日(月)開催

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人生100年時代が始まっています。一つの企業に定年まで勤め続け、定年後は悠々自適に老後を送るという時代は終わりを告げました。若い人たちの間では転職が当たり前で、昨今では副業を認める企業もあります。また会社員をやめてアントレプレナー(起業家)の道を歩む人も増えてきています。ある調査によると、事業を開業した人の6割以上が30代と40代という結果もあります。丸の内プラチナ大学の「ライフシフト起業コース」はそんな現代人たちに、自分らしい起業やビジネスを考える機会を提供するコースです。本稿ではDAY2の様子をお届けします。

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LIFE SHIFT~人生100年時代の働き方について~

LIFE SHIFT~人生100年時代の働き方について~

ライフシフト起業コースの講師は塚本恭之氏。自らも会社を起業し、また過去にはプロボノ(職業上のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動)団体の理事に就任していました。中小企業診断士の資格を持ち、まさに起業・副業・プロボノに豊富な経験とネットワークがあります。このコースが対象にしているのは起業を目指す人、副業しながらいずれは起業を目指す人、起業まではいかないがプロボノから始めてみたい人など様々です。内容は起業に関する基礎知識から方法、さらに支援金や助成金、税金などのお金に関する話まで包括的に学べます。また多彩なゲスト講師を招いて起業や副業の生きた知識を習得できるような構成になっています。

image_event_230911.002.jpeg初めてのグループワークでも受講者同士盛り上がる一幕も

今回のDAY2はコース毎に分かれての初講義ということで、受講者は3グループに分かれて自己紹介から始まりました。現在の仕事内容や本コースを選択した理由等が語られました。受講生のバックグラウンドは大手企業の社員からコンサルタント、地方公務員、編集者、クリエイターなど多彩です。また受講動機に関しても「定年退職を見据えて」という人から、「仕事で関わりのあった人に刺激を受けた」、「現在の仕事内容に生かしたい」などの声も聞かれました。丸の内プラチナ大学では受講者同士の交流もまた魅力の一つ。学び合う同士とも打ち解けた様子でした。

自己紹介が終わると、塚本氏からリンダ・グラットン著「LIFE SHIFT」及び「LIFE SHIFT2:100年時代の行動戦略」が紹介されました。コース名の由来にもなっていますが、日本でこれらが注目されたのは、2016年第三次安倍内閣が働き方改革の一環としてテレワークや副業、兼業といった柔軟な働き方を掲げた時です。当時グラットンは人生100年時代構想会議の唯一の外国人メンバーとして招聘されるなど、話題を呼びました。グラットンは、人生100年時代に突入し社会、経済、人口構成などが大きく変化していくなかで、人生をどのようなものにしたいかを私たち一人ひとりが考える必要性を語っています。そして時代にキャッチアップするようにAI(人工知能)による雇用の変化、高齢化による人生の再設計の必要性について言及しています。講師の塚本氏は特に "物語~探索~関係"を重要だと語りました。

「"物語"というのは自分の人生のストーリーを作るということ。"探索"では学習や挑戦の機会を作ること。そして"関係"とは家族の絆、友人知人などとの人間関係を育むこと。これら3つとも重要です」(塚本氏)

"物語"は人生設計に、"探索"はキャリア構築に、"関係"は幸福感にそれぞれ直結するもので、この三つを人生や仕事を考える際には大切にする必要があるのです。

さらに話はAIがもたらす雇用の変化に及びます。AIと一口にいってもAI(人工知能)とAGI(汎用型人工知能)の2タイプあります。人間の業務の生産性や効率性を向上させてくれる可能性があるAIに対して、ChatGPTなどのAGIは人間の仕事の領域を変える可能性があります。そして現在はAGIの登場によって、今後どのような職業に強く影響を及ぼすのか。その予測は難しいと言われますが、塚本氏は「デジタルやAIが進んだからと言っても、私たちはその進歩に適応できる可能性は大いにあります。昔のやり方に固執せず、適応さえできれば、現在の雇用がAGIにそのまま置き換わることはないのではないか」と、テクノロジーの進歩に戦々恐々とするのではなく、私たちが進歩に応じて変化していくことこそ重要だといいます。

グラットンのいう「多様な働き方」の変化はすでに日本でも生じています。かつては大学卒業後に1社に勤め上げ定年後に再就職する、女性は主婦やパートとなる、というような人生設計が大半を占めていました。しかし現在では、転職でステップアップ、学び直し、副業・起業、非営利団体の立ち上げなど様々な働き方、生き方をする人がいます。グラットンはソーシャルパイオニア(社会開拓者)という言葉で、伝統的な生き方に縛られることなく、人生のどのステージにおいても新しい生き方を模索することができる時代になったと語っています。現代のような多様な生き方ができる時代をグラットンよりも前に予言していたのがピーター・ドラッカーです。ドラッカーは1999年に出版された「明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命」の中で、知識労働者や労働寿命が長くなった一方で、企業や組織の平均寿命は30年を切るぐらいサイクルが短くなってきている。知識労働には終わりがなく何歳になっても働ける(働きたいと思う)ため、第二の人生を設計する必要性を記していました。ドラッカーは第二の人生として①新しいキャリアに進む②パラレルキャリア(本業を持ちながら、副業や企業、プロボノなどもう一つの世界を持つこと)を歩む、③篤志家になるという3つの選択肢を挙げています。そしてそのような第二の人生のためには"助走"、つまりは準備が必要だというのです。まさに丸の内プラチナ大学のライフシフト起業コースはその助走のサポートと言えるでしょう。

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ここまで働き方の多様性などの社会の変化が紹介されたうえで、コースは再びグループワークに入りました。各グループの受講生は、これまでの内容の感想を語り合います。「40歳を過ぎて自分は何をやっているんだと思い悩むことが増えてきた」「何のために働くのかがわからなくなってきた」というグラットンの言う"物語"を作っていくことへの不安や、「結局、自分は何も行動を起こせないのではないか」といった率直な声も上がりつつ、「第二の人生を探すためこのコースを受講したことに共感した」「助走期間の必要性や人のつながりをたくさん持つということに納得した」とする共感も育まれました。

起業のしかた~事業についての基礎知識を学ぶ~

講座の次のトピックは「起業のしかた」です。私たちはよく「事業を始めるにあたって...」や「事業として考えたときに...」などと話すことがありますが、そもそも「事業」とはいったい何を指すのでしょうか。塚本氏は「事業とは価値の創出である」と述べたうえで、さらに事業が事業足り得るための条件に言及しました。一つは創出された価値を望む人や社会に届けること。さらには価値の創出が持続可能であることです。つまり事業とは「価値を創出し、それを継続して望んでいる人に届けること」だと言えます。

次に、事業形態についてです。事業には様々な形態があります。個人として実施のか、法人として行うのかという問題に始まり、個人であれば独立して個人事業主としてやるのか、雇用されている形でやるのか。また法人であれば営利か非営利か、営利ならば株式会社か合同会社か等々、様々な方法があります。

講座内では分かりやすくするために、個人事業主と株式会社を比較しました。個人事業主は設立の手軽さ、赤字の際には税金がかからない、収入に応じて報酬を増減させることが可能などの利点があります。一方で、株式会社は信用力や有限責任、節税対策などの面でメリットがあります。つまりどちらの方が事業形態としてふさわしいかは、それぞれのメリットデメリットを検討する必要があります。なお、2006年の商法改正以前は、株式会社設立のハードルは現在よりも高く、資本金に1000万円以上、役員は3人以上、個室でのオフィスが必要なでした。しかし商法改正以降は、資本金は1円から、役員も1人から可能になりました。個人事業にするのか株式会社にするかはもはや資金力の問題ではなくなっているのです。

では実際に起業をするために「するべきこと」とは何でしょうか。一般的に、事業内容の決定や屋号の決定、法人・個人事業の選択など、ホームページやSNSの作成、オフィス開設や名刺作成など多岐に渡ります。塚本氏はその中で、オフィス開設については近年バーチャルオフィスの利用が進み、比較的自由に地域を選べ、費用も低廉に利用できると話しました。自宅で仕事をしていると煮詰まってしまうという人にはオフィスとしてコワーキングスペースの活用も選択肢の一つ。アパートなどを借りるより安く、起業を志す多様な人との接点を期待することもできます。

一方で株式会社や合同会社などを設立するためには上記とは別にするべきことがあります。それは、定款の作成や資本金の準備、登記や会社の銀行口座の開設などです。法人を設立する際には、銀行口座はメガバンクではなく信用金庫の方が融資のハードルが低く、スタートアップ企業にとってはメリットが大きい場合もあるようです。また先ほど紹介したバーチャルオフィスは便利ではある一方、融資を受けようとする際には審査が厳しくなる可能性があるようで注意が必要です。

塚本氏は最後にダブル起業のススメを説きました。ダブル起業とは複数の事業を展開する(連続起業ともいう)ことです。

「自分でやりたいことが沢山あると思います。それを整理するためには、ひょっとしたら二つ目の事業をNPO、非営利団体として持つのもいいかもしれません。複数の収入源になるだけでなく、個人と組織という両方の良い面を活用できるかもしれません」(塚本氏)

明日につながるワークシート"Will-Can-Must"

起業のしかたを一通り説明され、最後に再びグループワークが行われました。今後の人生やキャリアを考えていくうえでも受講生がそれぞれの"Will(~したい)"、"Can(~できる)"、"Must(~しなければならない使命感)"に向き合うためです。受講生にはWill-Can-Mustのワークシートが配られ、各自記入していきます。Willの部分がなかなか具体的な言葉にならない受講生に、塚本氏は「何でもいいからやってみて、その結果面白かったか面白くなかったかを考えると良い」とアドバイスをしました。そして面白かったことから、できることや、しなければいけないことを考えていくというプロセスが有効だそうです。その後受講生同士のディスカッションも行われました。使命感の部分が難しく感じる人も多かったようですが、例えば「海外から旅行者に日本の魅力を知ってもらいたい。外国語ができるので、何かサポートをすることで楽しい思いをして帰ってもらわなければならない」や「人とのつながりをつくりたい。私は裏方から全体をまとめることが得意なので社会全体を明るくしたり、埋もれた地域の魅力を発見したりすることが役割」など、それぞれの今後の人生やキャリアへの想いを改めて考える機会になったようです。今回記入した"Will-Can-Must"のワークシートはコース最終日まで保管し必要に応じて変更していき、ライフシフト起業コースを通じての自身の変化や成長のベンチマークとして活用してほしいと塚本氏は受講生に呼びかけました。

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ライフシフト起業コースは、今後、様々なゲスト講師を招き、より実践的な知識や経験を得ていきます。Day3には株式会社シールズの澤田玲奈代表取締役をからプロボノについて、Day4には一般社団法人Work Design Labの石川貴志代表理事から複業起業について、そしてDay6には吉村知子税理士から税務や会計についてお話を伺う予定です。今後の"Will-Can-Must"が変化、具体化し、受講生一人ひとりの働き方がより充実したものになることに期待したいです。

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丸の内プラチナ大学では、ビジネスパーソンを対象としたキャリア講座を提供しています。講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げます。

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