イベント丸の内プラチナ大学・レポート

【レポート】丸の内プラチナ大学 第1回 自主ゼミナール

2015年8月5日(水) 開催

自主ゼミは"生徒同士が学び合う"場

丸の内プラチナ大学で、生徒たちが自発的に学び合う「自主ゼミ」が開催されました。開講の挨拶に立ったのは、いつもは生徒として参加している西村美奈子氏。自主ゼミらしく"生徒"による進行で授業を行います。

冒頭、おなじみの志事創業社の臼井氏が登壇し、参加者に渡されたシートの説明を行いました。シートには「W」「C」「M」のアルファベット。その3文字は、株式会社三菱総合研究所(以下、三菱総研)の主任研究員である松田智生氏が常々示しているセカンドキャリアへ踏み出すときに考えたいキーワードを表しています。W(=will)は「したいこと」、C(=can)は「できること」、M(=must)は「しなければならないこと」。この日は、3人の"先輩"によるプレゼンが予定されています。臼井氏は「それぞれのテーマで、W、C、Mを記入して」と参加者に呼びかけ。プレゼンの後は、このメモをもとに、参加者同士でアイデアや考えをシェアをしていくことになります。

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50歳からの起業を応援する

50歳からの起業を応援する

最初のプレゼンは、起業の実践者で、丸の内プラチナ大学でこれまでも何度かプレゼンターを務めた小島久之氏。この日は、I/Uターンをテーマに、「石川で起業し、石川で暮らそう」というタイトルの講演。6月に起業した「50プラス起業ネットワーク石川」の事業である、定年後の起業を支える活動について紹介しました。定年後の"再就職支援"ではなく、"起業した石川で暮らそう"という起業に特化した内容です。

小島氏の事業は、定年後の起業がメインですが、しかし、事業構想はそれだけに留まるものではありません。石川県を舞台に移住と起業のサポートから、
ステップ1 「50+」世代の石川での起業と移住を実現。
ステップ2 移住・起業した人たちの交流会(ネットワーク)の構築。
ステップ3 移住・起業した人たちと地元の人たちとの交流と地域活性化。
ステップ4 北陸以外のエリアでも地域活性化のノウハウを伝授。
という4つの段階で、定年後起業→地域活性化のモデル作りを目指すものです。

移住者や起業希望者に対するサポートは行政も持っています。しかし、行政には「実際の活動において限界もある」と小島氏。例えば、公務員には短い期間で人事異動などがあり、移住・起業・帰農者への継続的なサポートが難しく、サービスの行き詰まり感があるというのです。その点、小島氏のように民間で事業化する場合、継続的なサポートが可能となり、そのメリットは大きく、優位であると強調していました。

地域はパワーシニアを待っている

2人目のプレゼンターはNPOむすびの理事を務める荒川直美氏。テーマは「自分史づくり:キャリアの棚卸」です。NPOむすびは「住み慣れた地域で自分らしく暮らす」を標語に掲げ、東京都練馬区にある光が丘団地で在宅介護のサポートをしています。この日は、認知症の高齢者に見られた自分史制作を通した症状改善の例を紹介し、さらに、自分史づくり活動の強化をはかりたい思いを強く語りました。

氏は「過去を回想することは、『思い出を未来に生かす』こと」であるとし、高齢者が持っている記憶や能力の価値を大いに認めるべきであると指摘します。長年経理職で仕事をしてきたという男性が、高度認知症状態になったときに経理の手伝いを依頼したところ、帳簿づくりを完璧にこなし、さらに認知症の症状にも改善が見られたというのです。過去を振り返る自分史づくりの活動は、この事例にヒントを得て始められたそうです。帳簿作成も自分史づくりも、高齢者の記憶の底に眠っている能力を賦活するということなのでしょう。

プレゼンの最後に荒川氏は、「自分史づくり活動をさらに発展させるにはどのような方法があるか」と、逆に参加者たちにアイデアを求めました。この求めに応じ、各テーブルでセッションを行い、テーブルごとにアイデアをまとめ発表しました。

"面白そうや"を大事にする

3人目のプレゼンに立った万木(ゆるぎ)康史氏は2年前に「ズートコミュニケーション」というレコードのホコリをとるブラシの開発・製造の会社を起業したそうです。もともとアナログレコード好きだった万木氏。起業の背景には、現代のデジタル社会の抱える課題もあったようです。この日は、タイトルを「一人メーカーへ至る道 起業の勘所」とし、起業のプロセスを語りました。

万木氏が起業にあたって考えたことは(1)好きなこと (2)得意なこと (3)ワクワクすることの3点だったそうです。これは、これまでの丸の内プラチナ大学で、セカンドキャリアを踏み出すうえで重要と指摘をされていることと同じではないでしょうか。

ただ、万木氏の起業には悲しい背景もありました。それは、友人2人の死。2人とも真面目な性格で、仕事に対しても一生懸命で毎日がハードワークだったそうです。そして健康を損ね、1人は肺がんで、そしてもう1人は自死。若くしてこの世を去った友人の死に疑問をもった万木氏は、「人生はもっと楽しいはず」と、楽しさを引き出す商品やサービスを提供しようと決意、先の3つのキーワードを振り返りの手段にし、何で起業するかを考えたそう。そして、もともとレコード好きだった万木氏は、「人間はもともとアナログで、急進展するデジタル社会に合わそうとすると精神の不調を来すのではないか」という考えに至り、アナログ回帰の商品やサービスの開発に踏み進んだといいます。今はレコードのホコリ取りなどの商品開発だけでなく、商品開発のコンサルティングや起業支援など、事業にも広がりが出始めているそうです。そして最後に、「起業にあたっては、"面白そうやな"と思えたことに向かうことが大切」と指摘し締めくくりました。

夢の起業プランをデザインする――ワーク

3人のプレゼンのあとは、臼井氏の進行でワークに入りました。参加者に示されたのは、「夢の起業プラン」作成。臼井氏からは改めて「W」「C」「M」の3つのキーワードが示されて、個人ワーク、テーブルごとのワークシェアと続きました。"大人の"学びの場である丸の内プラチナ大学では、この段階で飲酒が解禁。あらかじめ用意されていたビールをはじめとするアルコール類が各テーブルに運ばれます。飲酒の苦手な人にはノンアルコールの飲料も用意され、ワークはにわかに熱気を帯び始めます。

さらに、臼井氏の口からはワーク後の懇親会という"ニンジン"が目の前にぶら下げられます。「シートの記入ができないと懇親会へは進めません」。
すでにフロアの一角のテーブルには料理や肴類が並べられ、もちろんドリンク類も用意されています。しかし、参加者の「夢の起業プラン」のアイデア作成への作業は真剣そのもの。適度なアルコールの摂取は、余分な思念を取り去り、研ぎ澄まされた集中力はさらに高まっているかのようでした。


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