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【レポート】女性リーダーの活躍を期して

Women's Leadership school in Marunouchiスペシャルキャリアセミナー(9月6日開催)

このたび3×3Lab Futureにて特別イベント「Women's Leadership school in Marunouchiスペシャルキャリアセミナー」が9月6日に開催されました。

主催の日本女子経営大学院は、日本初・唯一の女性限定のビジネススクール。「キャリアアップ、ビジネスリーダーを目指す人に学びと交流の場を提供」するために設立されたもので、そのスピンアウト企画として2017年1月から3×3Lab Futureで短期集中講座としてスタートする予定です。

冒頭、同大学院代表理事の河北隆子氏は「ビジネスと文化の中心地の丸の内から、"リーダーシップの旅"に出よう、というのが本カリキュラムの狙い」と説明しています。リーダーといっても管理職のためだけではなく、「すべてのワーキングウーマンが、自分らしいワーキングスタイルを見出し、自分の"旗印"をキャッチアップするためのもの」。そして「ちょっと一歩外へ出て、外側から自分を眺め、新しい自分を発見し、自分の舟を自分で漕ぐ喜びを見出しほしい」と、ともにリーダーシップの旅に出るよう呼びかけました。

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なぜダイバーシティなのか、なぜ女性活躍なのか

なぜダイバーシティなのか、なぜ女性活躍なのか

この日のイベントは、前半の基調講演、後半はトークセッションの2部構成。基調講演は「女性のチカラをマックスにする」株式会社Woomax(ウーマックス)の代表取締役、この新講座の登壇講師の1人でもある竹之内幸子氏が務めました。氏は、女性リーダー育成を中心にした企業研修に取り組んでおり、この日は「女性活躍から始まるダイバーシティの未来」と題し、「なぜ今女性活躍なのか」というそもそもの命題から、そこに向けた日本の現状、そして「ダイバーシティ」の社会的/会社的意義を明快に語って見せました。

Woomax 竹之内氏それによると、女性活躍が期待されているのは「2030年までに人口が1070万人減少し、労働人口が不足」する中、「働き盛りの20~40代の女性が、働きたいのに働けない」状況があるから。そうした女性は303万人いると言われており、すべてが就業すればその経済効果は7兆円、GDPの1.5%にも及ぶそう。「もちろん、いきなりすべての女性が戦力になるのは難しい。なのでせめて今いる女性の能力を最大化するところから」取り組みを始めています。

こうした課題に対し、現状がどうかというと、男女格差を表す「ジェンダーシップ指数」の調査で、日本は145カ国中101位という状態。調べてみると「高等教育までは差がなく、入社時での男女差も50:50」なのですが、「課長以上の中間管理職で女性比率が11%」、「意思決定ボードの役員クラスでは1%未満」と、組織内地位の高さに比例して女性比率が著しく低下しています。「管理職以上の比率を上げる努力が必要だが、会社によって取り組むべき施策は異なる」と竹之内氏。

そして、そもそもなぜ女性の活躍、そして組織のダイバーシティが必要なのかという理由を、「多様な人々が影響し合い、衝突や緊張を乗り越え」ることで、「相乗効果として創造性」が生まれ、「組織の価値が高まる」からだとしています。「均質なモノカルチャー」の組織は、"大量に速く"ものを作るという効率の最大化を目指した高度経済成長期に求められたもので、社会が変わった今、新しい組織の有り様が求められるということです。

そしてまた、組織のダイバーシティを担保するには「マネジメントの工夫が必要」になりますが、それはより広範な組織のメリットにも繋がると解説。例えば子育てのために定時に帰りたい女性のために作業の見直しと効率化を進めたことで無駄な会議が省略されるなど、女性のためのワークライフバランスが、実は男性にとっても有用であるというような例です。

人口が減少し、優秀な人材を集めるのが難しくなる将来、「選ばれる会社になることはとても大切」で、そのきっかけとして、「女性リーダーがマネジメントを明文化し、組織に残していくということも必要なのでは」と竹之内氏は呼びかけます。

ちなみに氏は「ワークライフバランスというと、まじめな女性は50:50にしなきゃと思っちゃう」ので、「ワークライフハーモニー」つまり「調和」という言葉で働き方と生き方を考えることが望ましいと話しています。

そして最後に、「組織の多様性が求められるこれからの時代、心の中に多様性を持ったリーダーが必要になる。ぜひ一人ひとり、実現したいことを胸に秘めて、それぞれのリーダーシップを発揮できるようになってほしい」と締めくくりました。

フルスロットルのトーク

後半のトークセッションは、すでに女性リーダーとして活躍している3氏をパネラーに招き、「現代女性リーダーのリアルと可能性」と題し、それぞれの経験、体験を踏まえた実にリアル、赤裸々なリーダー論が語り合われました。コーディネーターは河北隆子氏が務めました。

上から増田氏、佐伯氏、小野寺氏パネラーは以下の3氏です。大手通信会社で活躍している増田恭子氏。日本女子経営大学第1期生で、卒業時にはMVPを受賞しています。佐伯英恵氏も第1期生。大手ソフトメーカー勤務の後、2013年スマホゲームの開発販売で起業し、2016年にKDDIに売却。現在は「キャビアとシャンパンを気軽に楽しみたい」という私的な思いから、国産キャビアを手掛けるビジネスを展開中。3人目は小野寺のぞみ氏。大手システム会社で、文系ながら開発からキャリアをスタートさせ、現在は営業部でリーダーシップをとっています。大学院は3期生。

まず河北氏から「基調講演で感じたこと、共感したことは」という問いがあり、それぞれの経験も踏まえて感想とともに鋭い意見がセッション早々から続発。いきなりフルスロットルとはまさにこのこと。 増田氏は「いろいろあるけどダイバーシティ・インクルージョン。その中で最近意識するのが自分の特長をどう活かせば最高のチームになるかということ」。他人をうまく使うという境地にたどり着いたのは、「マイナスをプラスにするのはものすごく大変だと気づいたから」と増田氏。「ああいう人にならないといけない、と自分にできないことをできるようにするには莫大な時間が必要。それくらいなら、得意なところにエネルギーを使ったほうがいい」と考えるようになり、前よりも自由な気持ちでリーダーシップをとれるようになったそう。

佐伯氏は「入社時は女性のほうが優秀という話」に共感。「女性のほうが"小頭がいい"というか。その分評論家になりやすいので、それを、気をつけている。起業して男性に囲まれたときに、そのことを実感して、苦労はしたけど訓練にもなった」。小野寺氏は「制約は制約じゃないということ」に共感したそう。「○○だから」「~~には」といった制約は、逆に「適材適所に人を使い、組織の価値を高めるきっかけになる」。自身が担当する営業チームがまさにそんな状態で、一見制約を持ったメンバーでも、裏を返せば有機的に機能させることができるのだそう。

この他、会場からの質問も受け付けながら、さまざまな意見が飛び交う白熱したセッションが続けられました。参加者のほとんどがワーキングウーマンで、見たところいずれも20~30代の働き盛り。組織とは、リーダーシップとはといった問題は、他人事ではなく、今目の前にある自分の問題でもあるでしょう。短い時間ながら、何かしらヒントや手応えを得ることのできるセッションになったようでした。

最後にパネラーから会場へエール。増田氏は「成功ばかりじゃない、失敗も多い。そんなときに会社の外に仲間が必要。子どものライフステージも視野に入れて未来をイメージして」。佐伯氏は「最近ますます優等生の女性が増えていると思う。こうしなきゃ、いい子でいなきゃと縛られずに大胆に行動してほしい。リーダーとして何をしなくて何をすべきか、できることやりたいことはハイハイと積極的に」。小野寺氏は「自分が何をやったら楽しく、幸せなのか、それを第一に」考えながらも、「同時に、一緒に楽しくて幸せになれる人をどれくらい見つけることができるか。それが強さと優しさということなんだと思う」。

第一線で活躍する女性の言葉は、どこを切り出しても興味深く、示唆に富んでいます。こうした内容が女性だけに語られるのはもったいない! 男性もまじえて多くの方に届けるべきではないかと思えるものでした。

女性リーダーたちへ

セッションのあとは、佐伯氏がビジネス化を目論むスパークリングワインとキャビアを楽しむ時間を過ごしました。

Women's Leadership School in Marunouchi、は、2017年1月から平日夜の全7回開催(1回で2講座を受講)の講義を実施するカリキュラムです。ビジネスのノウハウばかりではなく、ロジカルシンキング、リーダーシップ論、ワークライフハーモニーなどや世界観が広がるメンターとの出会い、時間や空間を飛び越え発想しクリエイティビティを刺激する機会などワーキングウーマンに必要なエッセンスが盛り込まれています。また、現役学生からOBまで参加しているコミュニティ「Women's Innovation Community」も、仲間作りにはうってつけの場になりそうです。


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