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【レポート】宇宙散策で、未知なる"生物多様性"に出会う

大丸有で生物多様性について考える Vol.1 『宇宙から考える、生物多様性』 2019年2月12日(火)開催

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2月12日、「大丸有で生物多様性について考える Vol.1 『宇宙から考える、生物多様性』」が、3×3Lab Futureで開催されました。
大丸有エリアの生物多様性を生物学の観点からだけでなく様々な視点で考えようというシリーズの第一弾イベントで、「生物多様性」×「天文学」をテーマに宇宙における生命という観点を天文学から学び、改めて生物多様性の意味について考えました。

ゲストには東京大学特任准教授で天文学普及プロジェクト『天プラ』代表の高梨直紘氏を迎え、仕事帰りの社会人や宇宙・生物に関心の高い中学生など、43名の参加者と共に会は始まりました。参加者は、スクリーンに映し出された4次元デジタル宇宙ビューワー "Mitaka"(ミタカ)の映像を見ながら、高梨氏の宇宙と生物多様性についての興味深い話に耳を傾けました。また講演の合間には、会場に隣接するホトリア広場で天体望遠鏡を使って月や冬の星々の観望会も実施。講演後の交流会では宇宙をイメージした料理が提供され充実した内容となりました。

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惑星をモチーフにしたおでんやおにぎり、ハンバーグなどが並び、参加者の皆さんはお皿に盛り付けながら、宇宙空間ができていく様子を楽しんでいました。

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地球を飛び出し、宇宙規模で考える生物多様性

地球を飛び出し、宇宙規模で考える生物多様性

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生物多様性と天文学は、そもそもどのように関わるのでしょう。私たちがこれら二つを結びつけて考えることはそうありません。高梨氏は講演の冒頭で「生物多様性とは何なのか、その意義を自分の言葉で表現できることは大事なこと。今日はそれを考えるきっかけを提供できればと思います。」と語り、まず環境省HPに掲げられている生物多様性の定義を読み上げました。

"生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。地球上の生きものは40億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きています。"

その上で「この中には宇宙に絡む話が結構あるなと思います。138億年の宇宙の歴史の中で地球には46億年、生物が誕生しておよそ40億年の歴史があります。『さまざまな環境に適応して』とありますが、最近の天文学のホットトピックスとして、太陽系外惑星の話があります。太陽系の(宇宙的に見れば)近所だけ調べてみてもたくさんの惑星が次々と見つかってきており、それぞれにさまざまな環境があることが分かり始めているのです。地球は宇宙に数ある惑星の中の"one of them"であるというのが最近の天文学者の感覚です。生物多様性という言葉は地球上を前提としたものではあるけれど、宇宙的な視点を含めてもう一度考え、捉え方を更新していくのも面白いのではないでしょうか」と参加者に語りかけました。

4次元デジタル宇宙ビューワー "Mitaka"で宇宙散策

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この日使われたシミュレーターMitaka。これが何とも衝撃的でした。グーグルアースの宇宙版と言えば分かりやすいでしょうか。国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトが開発したソフトウェアで、個人のパソコンでも使用できます。これの凄いところは、宇宙の果てまでの138億光年(1光年=約10兆km、光が1年間で進む距離)の範囲を体感できることです。ソフトウェア上の星は、一つ一つ実際に観測された太陽系・恒星・銀河データに基づいてプロットされているというから驚き。漠然とした世界ではなく、理論に基づいた広大な宇宙空間を自由にさまざまなスケールで飛び回ることができます。太陽系の中の惑星に近づいてみたり、逆に、思い切りスケールを引いて銀河団の分布を見たりすることも可能です。とりわけ、無数の銀河が網模様をなして宇宙全体に散らばっている様は圧巻でした。

太陽系の外側の世界へ

太陽系の外側には、想像が追いつかないほどの壮大なスケールの宇宙が広がっているといいます。参加者たちは、高梨氏の軽快なトークに思わず引きこまれます。「太陽系の外に今後より有名になりそうな星があります。ケンタウルス座アルファ星の3兄弟の三男、プロキシマ・ケンタウリです。見かけの等級は11等星なので肉眼で見ることはできませんが、太陽から4.2光年先にある太陽系に最も近い星です。実はこのプロキシマ・ケンタウリの周りには惑星があることが分かりました。しかも表面は岩石で覆われており、中心星から程よい位置にあるためその表面に水があってもおかしくない。今後有名になるであろう星の一つです」。地球から4.2光年も離れた惑星に、もしかしたら生物がいるのかもしれないと想像がふくらみます。

image_event0212_05太陽系に近い星アルファケンタウリ:出典 国立天文台HPより

「私たちの住む銀河系は直径が10万光年あり、その中心から2万7千光年離れているところに太陽系は位置しています。さらにこの銀河系のような銀河の群れが数千個集まり銀河団というものを構成しています。私たちの銀河系にもっとも近い銀河団はおとめ座の方向にみえるおとめ座銀河団で、約5千万光年離れています。このような銀河団がまたいくつも集まってより巨大な超銀河団をつくっています。太陽系のある銀河系は、おとめ座超銀河団の一番端っこにあることが分かっています。私たちは宇宙の中では超田舎者ですね」

高梨氏は続けます。
「宇宙は、こういった巨大な銀河の群れがたくさんある場所がある一方で、何もない場所があったりと、大局的には粗密構造をなしています。これを宇宙の大規模構造といいます」。こんなにも無数の銀河の群れがあるなんて、"初めて見たもの"の衝撃と感激をこんなにも味わうのはいつぶりのことでしょう。大人になって忘れかけていた子供のようなワクワクした感覚を思い出します。宇宙に関する知識といえば、小学校で習った「水金地火木土天海冥」という太陽系の惑星の並び順と夏の大三角形や北斗七星などの星座のことくらいだったものが、この2時間弱で宇宙に対する認識がガラリと更新されてしまいました。

image_event0212_06無数の銀河が分布し粗密構造がわかる宇宙の大規模構造:出典 国立天文台HPより

「こういった丸の内のような場所でイベントをすると、普段科学館や国立天文台などに足を運ばない方もたくさん来てくださる。そういった人たちとコミュニケーションをとり、宇宙を捉える感覚や見方を共有できたらよいと思う」というのが、今回のイベントを終えての高梨氏の感想でした。
また「宇宙のよいところは、普段自分がとらわれている思考の枠を無理やり外してくれるところです。時間や距離のスケールが日常とは全く違うし、それについていこうとすると自ずと自分の思考の枠が外れてくれる。色々な発想を自由にするための下準備にいいと思うし、イノベイティブな何かが生まれるかもしれない。学問のこういった側面に注目した社会人向けのプログラムも東京大学で行っています」と語ってくれました。
天文学の思考方法を実社会に応用するという、何とも魅力的な取り組みです。

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参加者からは「子供の頃に習った天文学からの進化に驚いた」「宇宙をMitakaで俯瞰して見るのは感動的だった」という感想が多く寄せられました。70代男性は、「自分の視点を広大な宇宙に持っていくと、自分や社会を客観的に見ることができ、普段とは違うものの見方ができます。宇宙はそのためのよい刺激になります」と、宇宙の魅力を語ってくれました。また中学生の息子さんと参加されていた女性は、「子供の影響で参加しました。データに基づいたシミュレーションで広大な宇宙のスケールを体感でき、宇宙の不思議さを感じられ面白かった。色々な物事が繋がっていることがわかりました」と、親子で知識の広がりを楽しんでいる様子でした。

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 あの星には生物がいるかもしれない。どんな環境で、どんな姿をして、どんな思想や哲学を持っているのか。そんな想像と好奇心をくすぐる宇宙から、これからも目が離せません。


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