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【レポート】予測できないからこそおもしろい、みなとみらいの"未来"を考える

みなとみらいフューチャーセンター検討ワークショップ 第2回 2019年3月7日(木)開催

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昨今、多くの企業や商業施設、大学等から注目を集める横浜・みなとみらい地区。この地を中心として、新たなコトや、魅力ある世の中を創っていくことを目指し、「みなとみらいフューチャーセンター(FC)検討ワークショップ」が開催されました。2019年2月8日に行われた第1回では、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)専務理事・西口尚宏氏による基調講演と、全体のファシリテーターを務めるStrategic Business Insightsの高内章氏のインスピレーショントークを実施。両氏から、イノベーションを起こす方法と未来を考える術を学んだ面々は、それから1ヶ月後の3月7日、実際にワークショップを行い、「2030年のみなとみらいの姿」を構想していきました。

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未来は"予測できない"もの

未来は"予測できない"もの

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今回のワークショップの目的は『「未来のみなとみらいの社会構造だからこそ提案できそうな価値やサービスのアイディアを創出する」こととはどういうことか?』を体験することで、来年度以降に予定されている、より具体的な取り組みのイメージをつかみ、その礎を築くことです。そのための材料として用いられたのが、2017年度のみなとみらいFC検討ワークショップの参加メンバーが、熱心にブレインストーミングして作り上げた「2030年の横浜市の姿」と題された未来観を描いた文書です。この文書は、「今とは異なった社会構造をもった未来の横浜」がどんな形になっているかを表す一つの可能性です。この文書では、以下の3つの領域を、合計26の変化要因を用いて表現されました。

・2030年の横浜市の競争優位(未来の横浜市の状況や他都市と比較した際の優位性)
・2030年の技術(この時期に社会に普及しているテクノロジー)
・2030年の人の暮らし(この時期の人々の暮らしの状況)

2017年の取り組みでは、仮に参加メンバーらの所属するそれぞれの組織が『みなとみらい2050プロジェクトを進める横浜市が「環境未来都市」の実現を目指して「環境・社会・経済」の三つの価値を創造していくときみなとみらいの先端企業群は構想の実現にハード、ソフト両面から新しいアイディアを生み出し実証していきたいと望んでいる』と仮定して、未来の横浜の国際的地位や、使える技術の進展によって人々の生活がどのように変わっているを描きました。今現在の社会では存在することができないが、「未来の技術や社会構造」の中であれば実現できる「未来の商品・サービス」を強制発想して、開発のゴール感を創造していく過程で、一つの「未来観」のイメージを共有するのが、この文書の目的です。

「今回のワークショップで使うこの仮定は、"こうなる"という未来予測ではありません。ベースとなるアイディアを使って強制発想を促し、新しい価値提案の可能性を自由に語り合うことです。そのため、この文書に書かれている"2030年の横浜市"は、全てそのとおり実現したとしてお考えください」(高内氏)

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3つのお題から2030年のみなとみらいを考える

イントロダクションと前回の振り返りを終え、具体的なワークに入っていきます。今回のワークは、さきほどの文書を刺激剤に使い、参加者同士で2030年に利用されている可能性のある商品・サービスについてディスカッションし、未来市場のアイディアを創出していくという形で進められました。

高内氏から提示されたお題は次の通りです。

<お題1:2030年の横浜市の競争優位>
1つ目のお題として提示されたのは、「2030年の横浜市の競争優位」のセクションに書かれている状況が実現していたとして、どんな商品・サービスが求められ、使われているかを考えることでした。そこには、横浜市にも及ぶ人口減少の様相や、一方で大規模災害発生に備える横浜市の対応など、世界の中でこの場所がどのような位置づけとなっているかについて、以下のような前提が置かれていました。

・ 2030年までに横浜市の意思決定速度は大きく向上し、それが全ての競争優位の源泉になっている。
・ 同市は、周辺市域と共同で「神奈川CASコンソーシアム」を進め、就農による雇用促進政策を展開したり、港町という立地を活かした独自の養殖業を推し進め、2030年までに食料自給率を35%まで拡大した。
・ みなとみらいは、様々な機能を持つ職住一体型都市として発展した結果、世界中からイノベーターを集め、世界で最も住みたい街の一つになった。

参加者たちは、話を聴きながら未来の世界にワープし、「その社会では、どのような商品・サービスが好んで使われているか、あるいは人々から望まれているのか」について活発に議論を展開しました。

<お題2:2030年に使われている技術や、この時代の経済状況について>
2つ目のお題は「2030年に使われている技術や、この時代の経済状況」です。
このセクションには、2019年時点にはまだ未熟だったAIやブロックチェーン技術が、5G(第5世代移動通信システム)の普及拡大が進む中で、IoTの有効性を高めながら基幹技術へと進展する未来が描かれています。ここでも、ディスカッションを進めるに当たり、高内氏から、いくつかのヒントが提示されました。

・ 2019年までに20年かけて進んだGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の総称)による集権的なプラットフォーム拡大は、WEB2.0と呼ばれる世界観は、ブロックチェーン技術などによって起った分散管理システムの挑戦を受け続けた10年だった。
・ その結果、WEB3.0という世界観が、分散型のサービスプラットフォームを形成しながら拡大した結果、それぞれの生活者は自分の個人情報を手放さずに、むじろそれにより利益を得る選択肢を得た。そこには、新たに現れたデータディーラーが、一人ひとりの状況にあった個人情報運用のパッケージ化をするなど、あらたなサービスが生まれ、経済活動の拡大の一翼を担った。
・ 通信速度の向上によりモノのインターネットの活用が急拡大するなか、取得されたあらゆるデータがAIで解析され、かつてPCやスマホを操作して得ていたベネフィットは、自動的に提供されるものに置き換わり続けた。手に何らかのデバイスを持つ機会も急速に減り、コンピューター環境に身を預ける日常が広がった。人々はそのトレンドを「操作から委譲へ」と呼んだ。

<お題3:2030年の人々の暮らしについて>
最後のお題は「2030年の人々の暮らし」について。
ここまで見てきたような技術の進化や、多くの組織の取り組みにより、多くの人にとって暮らしやすい地域になっている2030年の横浜・みなとみらい。この社会では、ギグ・エコノミーの普及や再雇用の推奨等により、多様な働き方が存在します。また教育のあり方や商品の購入方法、家庭生活のあり方なども現代とは大きく変化し、個人個人に合った暮らし方を選択できる社会となっています。

その一方で、社会格差や、従来のコミュニティの消滅といった社会課題も存在していますし、多様性を受け入れることに立ち遅れてしまった地域は存続の危機に瀕しています。

参加者たちは、このような環境の中で、2030年に生きる人々はどのような考えや希望を持ち、どのように暮らしているのか、思いを巡らせていきました。

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みなとみらいが今以上に良いまちになっていくために

上述の3つのお題について、参加者は6つのチームに分かれ、約2時間半に渡ってディスカッションを実施していきました。そして最後に、各チーム内で最も盛り上がったアイディアについて発表を行いました。その中から出てきたアイディアを、カテゴリごとに幾つか紹介します。

<2030年の商品・サービスに関するアイディア>
・AIを活用して最適な税金の使い方を導き出すサービス
・自己ブランドを上げられるような個人情報の販売サービス
・ダイエットや体調管理など、個々人の身体のメンテナンスを包括的に実施してくれるサービス

<2030年の技術・経済に関するアイディア>
・「香り」を記録する技術
・海底リニアモーターカーにより、世界中とつながるみなとみらい
・ライフログを活用し、あらゆるもののマッチングが進む

<2030年の暮らしに関するアイディア>
・故人の知識をデータにまとめ、人が生きた証を残すとともに、知識の継承を行う世の中
・住宅は多様化し、好きなときに好きな場所で暮らすライフスタイル
・「学年」という概念のない、個別最適の教育環境

こうして長時間に渡るセッションは終了の時刻を迎えました。数々の面白いアイディアが出ましたが、最後に高内氏は、改めて未来は予測できないものであることを強調しました。

「例えば横浜市の意思決定のスピードによっては、今回出てきたアイディアとはまったく異なるコトを起こさなくてはならないかもしれません。ただ、どのような未来であっても必要になるというアイディアも存在するので、そんなアイディアを見つけ出せると、実現に向けた一歩を踏み出せるのではないかと思っています。もちろんそのためには、より精緻な議論が必要になって来ますが、より具体的な動きが出てくることを期待したいと思います」(高内氏)

このみなとみらいFCワークショップは、2019年度も継続して開催する予定となっています。関東でも有数の人気スポットであるみなとみらいが、今以上に世の中に好影響を与えるまちになる―そんな未来に向けて、もう幕が上がっていると言えるのかもしれません。

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