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【レポート】五感で楽しむ大人の奈良を知ろう

「丸の内de地方創生」あをによし 奈良の魅力めぐり 2019年6月28日(金)開催

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修学旅行の定番地のひとつで、多くの人が一度は足を運んだ経験があるであろう「奈良県」。最近では新元号「令和」が奈良時代に作られた万葉集から引用されたとあって、注目が集まっている場所です。

ただ、奈良といえば寺社仏閣や奈良公園の鹿などのイメージが強く、その他の観光資源について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回、「あをによし 奈良の魅力めぐり」と題して、奈良が持つ数々の魅力を紹介するイベントを開催しました。日本の歴史と文化の発祥の地とも言われる奈良県をもっと楽しむために、様々な角度から魅力がアピールされました。

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奈良を知る、奈良を通して日本を知る

奈良を知る、奈良を通して日本を知る

image_event190628_02.jpegクラブツーリズムの澤内隆氏

まず登壇したのは、クラブツーリズムの澤内隆氏。澤内氏は37年間に渡って地理の教師を勤め上げ、現在は楽しみながら地理を学ぶ「地理バッ地理塾」を主宰する、3×3 Lab Futureではお馴染みの人物です。澤内氏はアイスブレイクを兼ねて、奈良の地理や歴史、名産品、有名人、日常生活などにまつわる数々の「まほろばトリビア」を紹介。「地名の由来」「奈良の男女の特徴」「奈良発祥の食べ物」「奈良県に多い名字」など、意外と知らない奈良知識を矢継ぎ早に披露し、会場を沸かせていきました。

続いて登壇したのは日本コミュニティカレッジ 代表理事の矢澤実穂氏。矢澤氏からは、氏が運営する「奈良シニア大学」の取り組みが紹介されました。奈良シニア大学とは、シニア世代の人々が人生を充実させるための学びの場を提供するのはもちろんのこと、彼らが持つ知を次世代に還元する仕組みを作り「知の循環社会」への貢献を目指す大学です。矢澤氏は、奈良シニア大学をスタートした理由を次のように語りました。

「私は元々介護施設の経営をしていたのですが、介護が必要な状態に陥る前にアクティブに活動することが介護予防のために大切だと考えています。心の健康は人と人とのつながりで育まれますし、新しい知識を得てワクワクすることは若さにつながると思っています。そこで、この奈良シニア大学をスタートさせました」(矢澤氏)

2015年の開校後、奈良県内で歴史や文学、伝統、芸術、スポーツ、科学など、幅広いジャンルの講座を展開してきましたが、その他にも各種サークル活動や、大学教育機関と連携して若い世代と交流を図ったり、ベンチャー企業と協同して商品開発を行ったりと、様々な形で社会生活に関与できることもひとつのポイントです。そして、2019年秋からは奈良県東京事務所である「奈良まほろば館」にて東京校をスタートする予定だそうです。「東京で奈良を学ぶことで、自分のふるさとを思い出すきっかけになってくれれば」と矢澤氏。

「奈良は日本発祥とも言われる地です。私自身、奈良シニア大学を通して奈良の歴史や文化について知り、奈良はなんと素晴らしいところなんだろうと深く感動しました。皆さんにも奈良シニア大学を通じて、奈良の魅力を知っていただきたいと思っています。私自身、奈良シニア大学を通して奈良の歴史や文化が非常に深く、魅力的であることを改めて知りました」

image_event190628_03.jpeg奈良シニア大学を運営する矢澤実穂氏

ナイトタイムエコノミーが奈良の課題を解決する

image_event190628_04.jpeg「吉田劇場」のプレゼンで著名なNTTデータの吉田淳一氏

経産省や観光庁などのプロジェクトに携わり、「ただ行って終わる観光ではなく、人同士がつながる新しいサステナブルな観光スタイル」をテーマとした講演を行うNTTデータの吉田淳一氏からは、観光目線で見た奈良の魅力や課題について紹介がなされました。

奈良が誇る最大の観光資源は何と言っても文化遺産の多さです。3件の世界遺産は日本で1位で、国宝・重要文化財、史跡名勝天然記念物もそれぞれ全国トップクラスの数を有しています。それだけに、訪日外国人の奈良県への訪問率は全国10位(2017年度)と、日本を代表する観光地に数えられています。しかしその一方、奈良県は大きな課題を抱えています。それは「当日自県宿泊率(滞在当日に宿泊する都道府県)」が全国最下位であることです。それは奈良県自体のホテル数が少ないことに加え、大阪という大きなキャパシティを持つ地域が隣接している故に、「昼間は奈良に行っても、夜は大阪で泊まる」ことが簡単にできてしまうからです。豊富な観光資源を活かして地域経済を活性化させるには何をすべきか。吉田氏は次のような提言を投げかけました。

「ナイトタイムエコノミーの先進地と言われるロンドンでは、特定の曜日は地下鉄を24時間運行させ、真夜中でも移動しやすい環境を整えています。それに伴って博物館や美術館も夜12時まで入館できるところも多く、お酒を飲みながら芸術鑑賞を楽しめるようにしています。観光客は夜中も観光を楽しむことができますし、観光地にもお金が落ちやすくなっているのです。
ロンドンの事例を参考に、寺社仏閣の拝観時間を朝から夕方ではなく、夕方から夜にシフトすることで、お酒を飲みながら寺社仏閣を眺めたりするような仕組みを構築すれば、奈良にもお金が落ちてくると考えています」(吉田氏)

image_event190628_05.jpeg吉田氏は18時以降にお酒を飲みながら寺社仏閣を楽しめる「ナイトカクテルフリーパス」の発行を提唱

もう一つの参考事例として氏が紹介したのは、食をテーマにした観光「ガストロノミーツーリズム」に関する取り組みです。

「ガストロノミーツーリズムは観光客を増やすだけではなく、地域の深掘りを実現し、農水産業や地域文化にも効果が波及するものです。そこで奈良県では、2016年に奈良県農業大学校が『なら食と農の魅力創造国際大学校(NARA Agriculture and Food International College:NAFIC)』と名称を変え、農業の担い手と、食の担い手の育成に取り組み、食を通して奈良を盛り上げていこうとしています」(吉田氏)

奈良は日本の食文化の発祥の地であるとも言われている地です。SDGsの中でも食に関する目標が定められているだけに、このような食文化の発展や継承は、地域のためにも重要度が増してくると言えるでしょう。

舌でも感じる奈良の魅力

image_event190628_06.jpeg(左)奈良県大淀町茶業組合の上尾年雄氏  (右)大淀町役場まちづくり推進課の中迫貴史氏

続いては奈良の食にまつわる活動をする二組が登壇。奈良県大淀町茶業組合の上尾年雄氏と、大淀町役場まちづくり推進課の中迫貴史氏からは、同町で行われる伝統的な日干番茶について紹介がなされました。

奈良は日本におけるお茶発祥の地でもあり、729年に聖武天皇が東大寺で「行茶」の儀式を催した記録が残っているそうです。そんな奈良の中央部に位置する大淀町もまた古くからお茶の生産を行ってきましたが、大淀町でつくられる日干番茶は、お茶の味や香りに影響を与える「揉む」という工程がないこと。同地で4代続くお茶農家を営む上尾氏は、揉まない日干番茶が名産となっている理由を次のように説明します。

「日干番茶は、お茶を揉まずに茶葉を蒸気で蒸した後、日光で乾燥させ焙じます。そうすることでカフェインが少なくなり、爽やかな味を楽しんでいただけるのです。
また大淀町の土は強いのでお茶の味も濃くなります。1回分の茶葉で何度も飲んでいただける点も特徴のひとつです」(上尾氏)

産業の一環としてだけでなく、町民にとって日干番茶は非常に身近なものとなっており、「効果のほどはわかりませんが、目にゴミが入ったら祖母から『番茶で洗いなさい』と教えられた」(上尾氏)そうです。

一方、多くの辞書等では「番茶」のことを「品質が劣るお茶」と説明していますが、上尾氏の説明の通り、特別な製法で丹念に生産された日干番茶はそれとは異なるものです。特に大淀町においては茶粥(おかいさん)を食べる文化が根づいており、地域の食を支える大切な存在として扱われてきました。ただ、そんな日干番茶も今危機を迎えていると、中迫氏は話しました。

「日干番茶は手作業も多く含む特殊な製造工程のため、大量生産は難しいんです。それに、現在は5名しか生産者がおらず、存亡の危機に瀕している状況です。そこで多くの人に日干番茶を味わってもらうとともに、その魅力を伝え、失われつつある製法を後世に残していきたいと思っています」(中迫氏)

image_event190628_07.jpeg(左)MYSH Sake Barの向井裕人氏 (右)同じく小川佐智江氏

最後に登壇したのは、MYSH Sake Barの向井裕人氏と小川佐智江氏。MYSH Sake Barとは、Glide Path株式会社の代表取締役などを務める向井氏と、ミス日本として日本酒の魅力を伝えるために様々な活動を展開していた小川氏が3×3 Lab Futureで出会ったことで生まれた会社で、日本酒バーの経営や、各地の日本酒の魅力を発信することで地方創生につなげる活動に注力しています。この日は、日本酒発祥の地でもある奈良の名酒や入手困難なお酒を紹介。多くの参加者が興味津々の様子で耳を傾けていました。

すべての講演が終了し、最後に「舌」で奈良の魅力を味わっていただくために、懇親会では奈良の食材を使った数々の料理と、MYSH Sake Barが取り寄せた日本酒が振る舞われました。かつて修学旅行で見た一面とは違う魅力を持った奈良。大人になった今こそ、あの頃とは違う奈良の魅力を発見する旅に出てみてはいかがでしょうか。

image_event190628_08.jpeg(左上)MYSH Sake Barからは5種の日本酒が提供されました  (右上)吉田氏も自ら包丁を握り、料理をお手伝い (左下)鹿肉を美味しくローストに (右下)ほとんどの食材が奈良から取り寄せたもの。皆さん舌鼓を打っていました

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