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【レポート】身近な体験から生まれるアイデアをビジネスへ育てる

女性アントレプレナー発掘プログラム ~Program5~ 2020年1月30日(木)開催

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2020年1月30日、"女性アントレプレナー発掘プログラム ~Program5~ 「アイデアを育てよう」"が、3×3Lab Futureで開催されました。 全5回のプログラムも、今回でいよいよ最終回。ゲスト講師には新規事業開発プランナーの角田夕香里氏を迎え、新規事業のアイデア出しからそれをどう実際に育てていくかについて、角田氏自身のリアルな経験を交え話して頂きました。またセミナーの途中では、自分のビジネスアイデアを考えて参加者同士ディスカッションするワークも行われ、参加者は熱心に自分のアイデアについて意見交換をしていました。

「社会課題を解決することが大好物」と自らを語る角田氏は、ソニーで研究開発職に5年間従事し、社内新規事業コンテストを経て「アロマスティック」を事業化。その後ライフステージに合った働き方をしたいと退社し、フリーランスとして4年間で30の新規事業立上げにチームの一員として従事。現在、不妊治療に特化した治療支援サービス「Vivola」を設立・開発中で、商品化を目前に日々パワフルに活動されています。

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ビジネスアイデアの種は身近な体験の中にある

ビジネスアイデアの種は身近な体験の中にある

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まず、新規事業開発における初めのフェーズは、アイデアを見つけることです。「事業アイデアなんて難しいものは中々思いつかない」、この様に思う人は多いでしょう。しかし角田氏は、「事業アイデアは意外と身近な体験や日々の暮らしの中から生まれてくる」と冒頭で語り、次のように続けました。

「まず事業アイデアを考える時、自分が情熱を傾けられるものは何かを考えます。ビジネスアイデアというとものすごく難しいもののように聞こえるかもしれませんが、難しく考える必要はなく、今まで生きてきて経験したこと、触れたこと、感じたこと、全てがアイデアの種になります。例えば人からされてすごく嬉しかったこと、悲しかったことなどの人生の喜怒哀楽を一度吐き出してみて下さい。また自身の経験でなくても、友人の経験や社会問題などでもいいです。例えば私の友人が困っていることで、不妊治療に沢山のお金を掛けているという問題があります。社会問題でいうとオーストラリアの森林火災など心が痛みました。過去に自分の感情が揺さぶられたことがビジネスアイデアの種になります」

角田氏は、情熱を傾けられる強い思いや、感情が揺さぶられたことをきっかけにする理由について、「実際に起業するにあたって色々な壁があり、私も毎日様々な壁にぶつかっています。そういった壁にぶつかった時に、自分は何をしたかったのかと原点に戻ることが重要です。こういった人達のためにこういうサービスを提供したかった、と最初の思いが強ければ強い程そのハードルを超えやすい。自分が好きでずっと情熱を捧げられることは何だろうと考えてみて欲しい」と参加者に語りかけました。

既存サービスの不満をビジネスアイデアに

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課題やアイデアの種が見つかったところで、次のフェーズでは仮説構築をして更にアイデアを深堀してみます。世の中を見回してみると、似たアイデアを持っている人がいたり既に同じ様なサービスが存在していることもよくあることです。しかし、「既存のサービスがあっても不満に思うことがあれば、その残課題を解決する方法を提供することで新規ビジネスになります。ソリューションはたくさんあるんです」と角田氏は話し、「Vivola」の具体例を交えこう続けます。

「まずインターネットの検索を使い、既存のサービスで同じ課題に着目したものがないかを調べます。そして、そのサービスでも顧客が満足しきれていないのはなぜか、その不満点を解決するにはどうしたらよいのか、を考えていきます。例えば不妊治療をしている人は、"自分の治療方法は本当に合っているのだろうか"、という悩みを抱えていることが多いです。そんな時、病院の口コミサイトというものが利用されることが多いですが、病院の綺麗さやスタッフの対応など属人的な評価が多く、"自分に合ったサービスかどうかが分かりにくい"ということに私は課題を感じていました。それに対して私が提案しているソリューションは、ホルモン値などの医療データやライフスタイルなどのビッグデータを元に、ユーザーが自分と同質性の高い人の治療歴を検索でき、最適な治療法と病院を推奨してもらえ予約までできるというサービスです」

角田氏はこのアイデアを昨年の8月に思いつき5ヶ月間ブラッシュアップ、現在はプロトタイプを顧客に使ってもらいながら今後更に改良を加え商品化を目指しているといいます。

インタビューでアイデアをブラッシュアップ

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最後のフェーズは仮説検証です。様々なアイデアが出てきたところで、本当にそのアイデアは顧客の課題を解決するのか、世の中の人達がお金を払ってまで受けたいサービスなのかを検証し、アイデアをブラッシュアップしていきます。その方法はインタビューを繰り返し、フィードバックすることだと角田氏は言います。長年、新規事業に多く携わってきた角田氏ならではの具体的なインタビュー方法とポイントを話してくれました。

▼誰にインタビューをするか
まずインタビュー相手の見つけ方について、友人知人にお願いすることに加え、SNSを利用したユニークな方法や企業へ依頼して低額の簡易アンケートを利用する方法を紹介しました。その中でも、なるべく1対1でのインタビューを勧めると角田氏は話し、その理由について「グループだと他人の意見に同調しがちで、それ以上自分の意見を出そうとしないことがあります。カフェで30分間位1対1のインタビューをするのがいいですね。ただ一人ずつ聞くリスクは、その人の意見が顧客の代表意見のようになってはいけないことです。出来るだけ5~10人以上インタビューを繰り返し、色々なセグメントに分類した上でどんなセグメントに自分の意見が受け入れられるのか見極めていきます」と説明しました。

▼インタビューの質問設計
次に、実際にはどの様にインタビューをしていくのか、角田氏はインタビューの質問設計のポイントについて次のように話しました。 「その質問に対する回答を、後でどの様に自分のサービスに反映させていくかを意識して事前に質問設計しておくことと、自分のアイデアがどういった顧客に響くのか明確なペルソナを掴むことが非常に重要です。特にペルソナについては、相手のセグメントや課題の背景を前段の質問や雑談を通して掴んでいくのですが、例えば共働き家庭ならどのような働き方なのか、旦那さんは家事をするかなど最初にブレイクダウンして聞いておくと、どのようなセグメントの家庭なのかが分かり後の分析で役立ちます」

さらに、相手が持っている他の課題も同時にヒアリングすることで、相手が本当に解決したいと思うほど困っているのかを見極めていくといいます。話を聞いてみてたくさん課題があった場合、その中で一番困っている課題、一番対策したいが出来ていないものを聞き、そこから課題の優先順位や深さなどを見極めるといいます。
また、それは既存サービスの中から解決出来ない事なのか、サービスを知らないだけなのか、サービスを認知するところに課題があるのではないかなど、既存サービスの残課題も考えることで、次のビジネスアイデアに繋がるヒントを掴むことも出来ると話しました。

角田氏は、「こういった事を聞いた上で、ようやく自分のアイデアをぶつけていく」といい、最初に相手の課題の背景、ライフスタイル、セグメント、ペルソナ、本気度を引き出すことが、後にフィードバックをする上でいかに重要かが伺えます。

アイデアをぶつけてみる

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そして、いよいよ具体的なアイデアのぶつけ方です。角田氏は自身の工夫について次のように語りました。
「実際に商品が出来ていなくても、ペーパープロトを作り、あたかも相手が実際にサービスを体験しているかのように説明していくことが重要です。分かりやすくコンセプトとサービスの説明をし、相手の課題がどのように解決していくのか、そのサービスを使うことで世界がどう変わるかなどを伝えていきます。このようにすることで、サービスが使いにくそうなどの意見があればもう少し簡略化したりなど、実際のサービスを作る前に開発のアイデアをブラッシュアップしていくことが出来ます」

また、顧客はいくらだったら自分のサービスを使ってくれるのか、という頭を悩ませる価格設定についても角田氏は触れました。価格感度分析と言われる"いくらだと高過ぎるか、また安すぎて信頼性がないか"を調べる手法の紹介に加え、既存サービスでいくらお金を掛けているのかを聞くことで、価格の目安が見えてくるといいます。

▼インタビューを分析する
最後に、インタビューの分析方法についてです。ここではセグメント別に顧客を分析し、回答の優先順位をつけ、アイデアをブラッシュアップしていく方法について話してくださいました。
「まず、実際にインタビューをすると様々な意見が出てくると思いますが、それを似たような意見を持っている3つ位のグループに分類します。人工データや年齢などで分けるよりも、サービスの話をした時の反応で分けると良いです。その人達がどんな共通の項目を持っているのか、年齢、働き方、家族構成、所得など、何の要素で顧客を分類できるのかが最初の分析です」

角田氏は続けます。
「次に、ものすごく良い反応を示した人に優先順位をつけていきます。その中でもここはいいけど、ここは受け入れられない(価格が高すぎる)などOKとNGの部分を分け、NGの部分はどうやって克服出来るのかを分析します。ただ、顧客はなんでも完璧なものを求めがちで、NGとはいってもここまでやってくれたら嬉しいと言ったニュアンスで言っている場合もあるため、そこはしっかり見極めて下さい。またOKの部分だけでもサービスを提供したら買ってもらえますか?といった風にインタビューするのもいいです」

こういったインタビューを繰り返すことで、ターゲットが明確になり、最初の顧客になる人のためにアイデアをブラッシュアップしていけると話します。「10人に聞いて1人でもいいねと言ってくれたらいい方」と話す角田氏ご自身も、実際に「アロマスティック」を開発した際は、3ヶ月間、街中で人に声を掛けたりアロマ検定会場の外で300人位にインタビューを行うなど試行錯誤したそうです。また最近ではインスタグラムのストーリーズに投げかけると、1日で500人位の回答が得られることもあるそうです。本当にそのアイデアはどこがOKでどこがNGかが明確になるまでインタビューを繰り返すのが重要だと語りました。

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最後に、「皆さんも顧客にインタビューする前に、この製品があったら世の中はどう変わるか、どのような世界に変えたいかを、ビフォー・アフターで考えてみるようにして下さい。私の「Vivola」という製品が実現したい世界は、不妊治療の病院選びを定性的な口コミばかりで判断してしまっている現状を、自分と同じような体質やホルモン値を持っている人はこういった治療方法を選んで成功している、というロジックがある不妊治療の病院選びが出来るようになる世界です。今不妊治療は女性ばかりに負担が多い領域ですが、旦那さんもエビデンスがある情報をもとに積極的に病院選びに参加するという世界にしたい。不妊治療は難しく、医学的には治療方法を最適にしても中々子供を授かれないのが現状です。私がコンセプトとして大切にしているのは、最適な治療方法をご提案するのは勿論ですが、どちらかというと自分が納得して病院を選んだという過程やプロセスを大事にすることです。たとえ授かることが出来なくてもその方の今後の人生に大きく影響があると思っているので、"納得のいく治療方法の選択"が私の最終的に目指したい世界です」と角田氏は思いを綴りました。

セミナーを終え参加者からは「論理的で具体的なエピソードを聞いていると、自分にも当てはめて考えやすい」「自分の気持ちを後押ししてくれ刺激がもらえた」という感想が多く寄せられました。
また、ある参加者は、「子育ての合間に友人たちと新規事業を立ち上げようとしているが中々進まず、さらに似たようなサービスがあるのを知ると行き詰まっていたが、既存サービスの残課題にビジネスアイデアを見つけるという発想は驚きました。自分でも考えていきたい」と、アイデアを深堀するヒントを掴んだ様子でした。

「私自身、スタートアップをする上でたくさんの問題にぶつかり、試行錯誤を繰り返しました。一人でやっていると中々進まないことが多いので、今日のような話を聞くことで少しでもスタートアップをする人の後押しになればいいと思います」とセミナーを終えて角田氏の感想を語りました。

リアルな具体例を交えた本日のセミナーは、将来起業も視野に入れた参加者たちにとって多くのヒントが得られたように感じます。ライフステージに合わせて「起業」を選択したら、より自分らしく輝けた。そんな女性がさらに増えていくことに今後も注目していきたいと思います。

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