2016年3月18日、3×3Labo Futureで、3×3Lab Future オープニングシンポジウムの第3回「社会との価値共創を促すワークプレイスを考える」が開催されました。
「水」をテーマにした第1回目、「防災」をテーマにした第2回目に続き、第3回目のテーマは、近年の企業戦略において重要視されている「ワークプレイス」について。
慶應義塾大学 総合政策学部 教授の玉村雅敏氏、株式会社イトーキ ソリューション開発本部 ソリューション開発部 部長の八木佳子氏、三菱地所株式会社 開発推進部 新機能開発室 室長の井上成氏という、それぞれの立場からワークプレイスづくりに取り組む3名の有識者が登壇し、企業にとってワークプレイスを重視する意味や、どのような理念を持ってワークプレイスづくりを行っていけばCSVの促進に役立つのかなどを語りました。
キーノートスピーチを行った玉村氏は、ワークプレイスを考える上でまず重要なのは「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」であると説きました。
ソーシャルキャピタルとは「コミュニティで活発な活動が行われると醸成されるもの」であり、ソーシャルキャピタルが醸成されると、協力関係や相互の信頼が向上します。企業でいうと、生産性やクリエイティビティの向上につなげることができるものであり、だからこそ、ソーシャルキャピタルを醸成させるための「場づくり」が重要な意味を持つというのです。
社会学者のルイ・オルデンバーグが提唱した「都市生活者には3つの居場所が必要である」という考えのうち、「セカンドプレイス」、つまり「職場」をさらに細分化することに着目したのは、玉村氏とともに新しいワークプレイス作りに取り組む井上氏。
「職場」を細分化するとは、職場を「拠点ワークの場(ファーストワークプレイス)」「共創ワークの場(セカンドワークプレイス)」「ネットワークの場(サードワークプレイス)」という3つに分けること。
このうち、セカンドワークプレイスの場として、三菱地所では自社内に「彌之助hiroBA」という、社内交流空間を設置。1年間で70回以上の社内イベントを行ったところ、他部署への関心増加や連携促進など、実際に"ソーシャルキャピタル"の醸成が見られたそうです。
三菱地所では、「組織を超えたつながりを強めるネットワークの場」であるサードワークプレイスをつくっていくことにも力を入れ、「セカンドワークプレイスとサードワークプレイスを掛け合わせ、活用することで、ビジネスアイディアの創出・具体化を加速させる。それによって、大丸有エリアの価値を創出したい」と、井上氏は語りました。
ワークプレイスというものを考えるとき、場だけではなく、「そこでどんな働き方をするか」ということついても気になるもの。「CSVという観点でオフィスを考えるとき、働き方を通して社員の健康増進を促進することで、社員のパフォーマンスや幸福度が上がり、企業にとっても医療費の抑制やイメージアップにつながる」というのは八木氏。それを実証するために、経済産業省が昨年から今年にかけて行った「健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業」をイトーキが代表団体として実施しました。
この調査によると、実際にオフィス環境を整備し、健康の保持や増進につながる行動を誘発することが企業の生産性の向上に結びつくと明らかになったといいます。
また、イトーキでは、そうした、仕事にも健康にも良い行動を「ワークサイズ」と呼んで、ワークサイズを促すオフィスづくりを推進しているそうです。
今回のシンポジウムでは「健康」や「クリエイティビティ」という、数値化しづらい事柄についても話が及びました。それらについて、三氏はともに「評価がしづらい」ものではるが、「今後、その重要度はますます高まっていく」とも語りました。
今後企業が発展を遂げ、生き抜いていくためには「クリエイティビティ」を追求すると同時に「社員の幸福度」を向上させていかなくてはならないことは自明のことです。こうした点について課題を感じている方は、「サードワークプレイス」としてオープンイノベーションを起こすきっかけを作り、同時にワークスタイルについても考えることができる場である3×3 Lab Futureにお越しになってみてはいかがでしょうか。
2024年4月1日-2025年3月31日
2024年3月16日(土)13:30-17:10
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