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【レポート】事業開発の要、正しいブラッシュアップ方法とは。

女性アントレプレナー発掘プログラム2020 ~Program2~ 2020年12月17日(木)開催

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東京都の「インキュベーションHUB推進プロジェクト」の一環としてスタートした、「女性アントレプレナー発掘プログラム2020」。起業したいが、何から始めたらいいか分からないといった悩みを抱える女性に向けて、全4回の体験型プログラムがスタートしました。Program1「モヤモヤを事業案にしてみよう」に続いてのテーマは、Program2「事業案をブラッシュアップしよう」です。

ファシリテーターは、「Live Your Lifeすべての人に、自分らしい人生を」をキーワードにジョブマッチング事業を行う株式会社Warisのリクルーティングコンサルタント・矢澤弘美氏。アドバイザーには、新規事業開発コンサルタント、現在は女性医療×AI事業にも取り組むvivola株式会社CEO・角田夕香里氏を迎え、大手町の3×3Lab Futureをスタジオとして全国各地の参加者をZoomでつなぎます。

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マネタイズを意識したビジネスを構築しよう

マネタイズを意識したビジネスを構築しよう

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Program2のゴールは、「ビジネスモデルを構築し、事業案をブラッシュアップする方法を知る」です。このプログラムでは、まずビジネスモデルの定義を明確にすることから始まります。
ビジネスモデルとは、事業で収益を上げるための仕組み。事業として何を行い、ターゲットは誰で、どのようにして利益を上げるのか、という「儲け」を生み出すための具体的なシステムのこと指します。

「ビジネスモデルを書く時に、特に女性に多いのは、お金の流れをしっかり考えられていないビジネスです。マネタイズの部分をしっかり構築していかないと、ビジネスとして継続が難しくなるので、そこを意識して考えていきましょう」(角田氏)

ビジネスモデルを考える時に、大事なことが2つあります。
1つ目は、「自分のビジネスに登場する人物を洗い出すこと」です。ステークホルダーや企業、エンドユーザーの方を全て洗い出します。2つ目は、「提供価値とお金のやり取りを整理すること」。誰にどんな価値を提供して、どんな対価が支払われるのか。商品の代金なのか、手数料・ロイヤリティ・パーセンテージなのか、いろいろなマネタイズの方法があるので、それらを整理していきます。

以上を踏まえたうえで、実際に存在するサービスを事例に、ビジネスモデルを分解して考えていきます。

既存のサービスに対して、改善したものが新規のサービス

まず、基本的なビジネスモデルの事例として、スーパーマーケットが例にあげられました。
お店に行って、代金を支払い、商品を受け取る。これが、基本となる価値交換です。これをもう少し遡ってみると、問屋・生産者があり、そこから集めた商品を保管する倉庫があります。このように、具体的な事例をあげて少し振り返って考えてみるだけで、いろいろなビジネスモデルが見えてきます。

例えば、「羽田市場」は、羽田空港を拠点に空輸を中心として、生産者からお店へ鮮魚をお届けし、従来かかっていたマージンを無くしてしまおうというビジネスです。他にも、オンライン直売所の「食べチョク」というサービスは、インターネットを利用することで生産者から消費者へ商品を直接届け、お店さえもカットしてその間にかかるマージンを無くしてしまいました。
また、「UberEATS」は、飲食店からラストワンマイルといった、商品を顧客へ届けるプロセスを人力で行うサービスを提供しています。

「このような事例から、既存のサービスに対して改善出来るポイントを見つけることで、何が新規のサービスになるのか、という視点で見ることができます。この視点を持っていれば、どんな業界でも、様々なビジネスモデルが考えられます」(角田氏)

続いて、マネタイズの面を「メルカリ」を事例に解説していきます。
メルカリは、CtoC(Consumer to Consumer)で展開されている、マッチングのプラットフォームビジネスです。メルカリのアプリを通して、売り手と買い手をつなげる単純なビジネスモデルとなっています。そこに対してメルカリは、購入手数料・取引手数料・振込手数料といった、手数料ビジネスでマネタイズを行っています。

「CtoCの場合は、売り手・買い手の両方から手数料を取る場合と、どちらか一方のみから手数料を取る場合があります。マッチングのプラットフォームビジネスを発見した場合は、どちらに手数料が流れるのか、それはなぜなのか、を分析していくと面白いです」(角田氏)

また、別の視点から、音楽ストリーミングサービスの「Spotify」や料理レシピ動画サービスの「クラシル」を事例に見ていきます。音楽や動画の配信サービスは、基本的には無料で提供されています。有料会員になることで広告が排除され、検索がしやすくなるなどのプラスアルファのオプションを月額で提供するビジネスモデルです。

「このようなサービスだとほとんどの方が無料会員で、サービスが成り立たないのではないかと思われるかもしれません。しかし、クラシルのように、企業とのタイアップで広告収入を得ることや、独自のレシピ開発を行い、ユーザーがどのような時期に何を検索しているかなどのデータを企業へ販売するやり方でマネタイズしていく方法もあります。なかなかユーザーからお金が取れないビジネスをお考えの方は、関係企業を巻き込んだ形でマネタイズしていくモデルも参考になさってみてください」(角田氏)

ビジネスモデルキャンパスを使った、事業案のブラッシュアップ

次に、実際に事業案をブラッシュアップします。ここでは、ビジネスが回る仕組みを確認していくツールとして、ビジネスモデルキャンバスを使用します。

ビジネスモデルキャンバスの項目は、主に9つに分かれます。

①顧客セグメント : 顧客は誰か?顧客の課題は何か?
②顧客との関係 : どう売るのか?(例:対面、ウェブなど)
③チャネル / 販路 : 販路は?(例:Amazon、楽天、実店舗など)
④収益の流れ : マネタイズは?
⑤提供価値 : どんな価値提案?
⑥主要な活動 : 必要な活動は?(価値を提供するために、どんな活動が必要か)
⑦主要な資源 : 必要なリソースは?(例:その分野で経験のある営業マンなど)
⑧主要パートナー : 他社リソースは?(このサービスがより加速するには、どうしたら良いのか)
⑨コスト構造 : 原価構造は?(それを実現するには、どんなコストがかかってくるか)

いきなり全部を考えるのは大変なので、考える順番として角田氏はまず3つをあげました。

①顧客が誰で、その人たちの課題は何なのか。
②その人たちに対して、どんな価値提案ができるか。
③マネタイズの面で、その価値提案に対して、どんな対価を支払ってもらえるのか。

「最低限この3つを最初に考えてから、そのビジネスの販路や、価値を提供するために必要な活動、他社からのリソースなどを付け加えていきながら少しずつ考えてみると、思いつきやすくなります」(角田氏)

Why not yet を考えよう

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「事業案の検証に入る前に、今回作成したビジネスモデルキャンバスと似たようなサービスが存在していないかを確認することがとても大切です」と、角田氏は伝えます。

前回の講義でも「競合調査」について説明しています。競合調査とは、同じサービスを提供している企業が何社くらいあって、そこの製品と自分たちの製品を比べ、価値提供を明確にしていく大切な作業です。新規事業を考えるにあたり、とても重要なのは、「Why not yet」を考えることです。業界構造を把握し、事業リスクをしっかり抽出して対策を考えていきましょう。

「世界中で同じことを考えている人は、3人はすでにいる」とよくいわれています。自分のアイデアが世の中にない新しいアイデアだと思ったとしても、その可能性はほとんどないと思った方がよいでしょう。それを念頭において、競合調査を行い、他の人達がうまく行かなかったところを、しっかりと事業リスクとして捉えていくことで失敗を回避することができます。「どうしてやっていないのか」「何が原因なのか」をよく考えて、自分たちの事業の価値提供を明確にすることが大切です。

想定しているビジネスにおける仮説検証の方法

事業案をブラッシュアップした後は、「想定しているビジネスモデルが正しいのか」「事業リスクは抽出しきれているのか」を検証する方法として、ユーザーおよび有識者へのヒアリングの方法を詳しく解説していきます。

まず、重要なのは、「既存のサービスと、自分が想定しているサービスがどう違うか」の価値提案を明確にしてからインタビューに臨むことだと角田氏は語ります。

インタビューの方法として重要な点は次の3つです。

まず、「1on1のインタビュー」形式です。大人数のグループインタビューでは、他人の意見に同調しやすく、違う意見が言いにくくなります。効率が悪く感じられても、「1on1」を取り入れた方が、得るものが多いようです。

続いて、「質問を事前に準備すること」。基本的に全てのインタビューは、一期一会。その方から情報をもれなく収集することが大切です。1時間であれば、その時間で収まるような質問設計を事前に組み立てておくことが重要になります。

最後に、「アイデアの聞き方」です。いきなり自分のアイデアを相手にぶつけるのではなく、相手の課題に寄り添うために、その課題が発生する背景から聞いていきます。
なぜならば、自分のアイデアについてすぐに相手に意見を求めてしまうと、「いいですね」という肯定しか答えてもらえなくなってしまう可能性があるからです。その人が、そもそも課題を持っているユーザーなのか、課題を持っているとしたらその背景にはどんなライフスタイルがあるのか、などを客観的に見てヒアリング設計を行う必要があります。

質問の流れとしては、簡単な自己紹介や雑談から始めます。続いて、顧客を知るための質問を入れ、顧客セグメントや、課題が発生している背景を聞いていきます。

「インタビューの対象は、課題を持っていて、その課題を自分たちで解決しようと、手間やお金をかけたりしている人たちにインタビューしていくのが良いでしょう」(角田氏)

顧客の口から課題について語ってもらったうえで、自分たちのアイデアをぶつけてみると、本当にそれがいいものかどうか自分事としてジャッジしてもらえるため、この順番がおすすめだと角田氏は話します。

続いて、企業向けの事業を考えている方に向けてのインタビューの方法についても解説がありました。

まず、インタビューに答えてくれる方の部署や役職を確認します。なぜなら、マーケティング・経理・営業など、部署や仕事内容によって、それぞれ視点が違うからです。何年その部署にいるか、どんな役回りをしているのかを把握したうえで、業界の人数や課題の背景を探り、その課題に対して、新しいサービスを提案していくとスムーズにインタビューが運びます。

「インタビュー先の見つけ方としては、友人知人にお願いすることもひとつですし、InstagramなどのSNSを使って声をかける方法もあります。特に、趣味嗜好の強い内容であれば、SNSが向いています。他にも、スタートアップだとなかなか厳しいですが、予算のある方は企業へ依頼する方法もあります。また、最近ではLINEアンケートなど、LINEユーザーへ向けて流せるアンケートもあるので、そういった簡易アンケートを活用していただくのも良いでしょう」(角田氏)

今回のプログラムでは、実際のビジネスモデルを通して、新しいサービスの考え方を構築し、そこから仮説検証における、インタビューの方法までを行いました。参加者からは、「ビジネスモデルの事例がすごく勉強になった」「ここまで公開していただけるのは、非常にありがたい」「インタビューの際に、これほど細かく用意していくことに驚いた」などといった感想があがりました。


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次回は、いよいよProgram3「ピッチストーリーを考えよう」に入ります。ビジネスコンテストなどでプレゼンテーションをしていくことで、同じような志を持った仲間や、思わぬ有識者と出会う可能性が高くなります。どういったピッチストーリーが共感を呼ぶのか、角田氏の具体的な事例を交えて紹介していく予定です。

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