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【レポート】高校生/大学生・大学院生が大丸有に集い、未来を描く Day2

「丸の内サマーカレッジ2022」2022年8月10日〜12日開催

4,8,11

丸の内サマーカレッジ2022、2日目は3つの講演に加えてワークショップが始まります。初日の緊張感も和らぎ、リラックスしている様子が見られました。

<2日目のプログラム>
・講演3「グローバルな世界を感じてみよう」
 …桝本博之氏(B-Bridge International, Inc. /President & CEO)
・講演4「多様なキャリアのあり方」
 …中川敬文氏(株式会社イツノマ 代表取締役)
 …石川紀子氏(静岡県掛川市 副市長)
・ワークショップ1 テーマ検討

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講演3 「グローバルな世界を感じてみよう」―桝本博之氏

講演3 「グローバルな世界を感じてみよう」―桝本博之氏

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シリコンバレーからオンラインで登壇いただいた桝本氏。そのキャリアは日本の大手企業からスタートします。1996年にシリコンバレーの企業からヘッドハンティングを受けて渡米。世界43か国の販売代理店整理を行い、同社の日本法人代表取締役を務めます。その後、2000年にB-Bridge Internationalを設立。日本の素晴らしい人材、技術、文化を世界に広める架け橋となるべく、シリコンバレーを拠点にインキュベーション事業や教育事業を展開しています。今回はイノベーションやビジネスが生まれる理由と、世界を相手にビジネスを作り上げる魅力について「インタラクティブ」と「プロアクティブ」をキーワードに語っていただきました。

講演では冒頭から「自分の強み、弱みは何か」を考えるグループワークが設けられ、5人ほどのチームで自己紹介を行ったあとに、各グループから代表者1名が発表します。

「得意なことで向き合うと相手がライバルになる可能性がある。一方で、苦手な分野同士だと何も発展しない。他の人が得意で自分が苦手なところを組み合わせて補っていくと良いですよね」

1人ではできないことも協力して行うことの大切さを伝えます。

 また、「色々な経験をして判断軸をつくることで、迷わない」というのが桝本氏のモットー。悩み続けるよりも行動しよう、とシリコンバレー行きを決めるなど、その都度チャレンジを行ってきました。経験だけではなく判断するための知識も必要となるので、学生のみなさんには知識を身につけてほしいと伝えます。

Google、Facebook、Appleなどを輩出したシリコンバレーは「IT企業の聖地」とも呼ばれます。その歴史を振り返ると1849年にゴールドラッシュが起き、世界から25万人もの人が金鉱を目指して訪れ、古くから夢や希望を持った人が集まる場所でもありました。現在もシリコンバレーには、外国生まれの人材が38.2%と世界各国の人材が集まり、特許登録の17%がシリコンバレー発でかつ全米ベンチャーキャピタル投資の約5割が集まっています。

「シリコンバレーは、人・モノ・金・情報が集まり循環される場所。環境に影響を受け、マインドセットが変わる場所でもあります。Google共同創業者のセルゲイ・ブリン、Yahoo共同創業者のジェリー・ヤン、Tesla共同創設者のイーロン・マスクなど、世界的に活躍する外国人起業家が多くいます。成功企業の多くは移民一世の創業。1800年代末から20世紀初頭には、ワイナリーを経営した長澤鼎、飛行機を用いた稲作で名を残した「ライス王」の国府田敬三郎など日本人移住者も成功を収めていましたが、現在では日本人の存在感は影を潜めている状況です」

世界のGDPを見ると、日本経済の成長はほぼ横ばいのため、今後は日本のみで技術やビジネスを動かすのではなく、グローバルに活躍していく必要があると桝本氏は語ります。

これからの時代にグローバルに活躍するために必要なことは何か。
桝本氏は「マインドセット」が大切だと話しました。自分自身の考え方を持つことで周りに流されなくなります。世の中の人と自分とでは認識が異なることが当たり前なので、自分の意見を伝え、他の人がどのように考え物事を見ているか、コミュニケーションを通して理解する必要があります。

また、「起業家精神(アントレプレナーシップ)」も重要です。これは、あくまでもチャレンジするマインドを持つことであり、置かれた状況から切り替えていく気持ちが大切だと話す桝本氏。

「大企業思考とスタートアップ思考のどちらが良いでしょうか、という質問を受けることがありますが、いずれも優劣をつけられるものではありません。大企業には安定した持続的イノベーションがあり、スタートアップには破壊的イノベーションがあります。それらはどちらも重要なものであり、それぞれの役割を持ちます。この点を理解し、持続的イノベーションを起こす人たちのニーズを認めたうえで、チャレンジする姿勢が大切です」

さらに、「リーダーシップ」も大事だと桝本氏は話します。リーダーシップを育むためには挑戦と失敗を繰り返すことが必須です。シリコンバレーのような文化を構築するためには、People、Process、Placeの3つの「P」がポイント。多様性を大切にし、実践的な知識とマインドセットを持つこと。失敗よりもまずはやってみて、「なぜ失敗したか」を振り返り次に活かしていく。そして、交流の多い場や普段とは違う場で作業を行うことで新しいアイデアが生まれます。

「これらのキーワードを自分の中で落とし込んでみましょう。自分のマインドを変え、未来を語るためには新しい人に出会うことが必要なので、今日のこの場では新しいプロセスややり方も学んでください。最近のシリコンバレーで取り組まれている、さまざまな立場の人と対話してインスピレーションを生み出す『デザインシンキング』をぜひサマーカレッジで挑戦してみましょう」

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最後に、桝本氏は「自分のゴールは何かを常に考えることが必要」と4つのゴールを紹介しました。

・Achievable Goal=達成可能なゴール
・Stretch Achievable Goal=ちょっと努力しないと達成できないゴール
・Jumping Achievable Goal=ジャンプしないと達成できないゴール
・Big Hairy Audacious Goal(BHAG)=大きく困難で大胆なゴール

「いつまでにこうなるかというゴール設定をしましょう。シリコンバレーはゴール設定からプロジェクトを行うスピードが速く、日本で2年かかることに4ヵ月で挑戦できるということもある。だからまずは、ゴールを決めてやってみることが大切です。キーワードはBe Proactive。好奇心をもって、積極的かつ前向きに動いていきましょう」

桝本氏は、「シリコンバレーでのプロジェクトもみなさんの活躍の場のひとつになるかもしれない。興味がある方はぜひ飛び込んでみてください」と学生たちに熱いエールを送りました。

講演4 「多様なキャリアのあり方」―中川敬文氏

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株式会社イツノマの代表取締役である中川氏は、化粧品会社に就職後、コンサルティング会社を経て新潟県上越市に移住。商業施設の企画開発・運営に携わった後、UDSに入社。2003年に同社の代表取締役に就任し、「キッザニア東京」などの場づくりや地方自治体のまちづくりを手がけてきました。その後、2020年に宮崎県都農町に移住。現在はこれまでのキャリアを活かし、築90年の歯科医院のリニューアルや、空き家をホステルにするといった「場づくり」、タブレットを全世帯に配布し、町の公式サイトやYouTubeを立ち上げるといった「デジタル推進」、小中学生への職場体験などの「キャリア教育」を行っています。

人口がおよそ1万人の都農町は、2020年時点で高齢化率が38.8%、2045年には老年人口が生産人口年齢を上回るとされています。高齢者が増え、若者が町の外に出てしまうのが課題だと中川氏は話します。

「コロナ禍では生産者・飲食店の売上大幅減、高齢者の孤立化などさまざまな課題が浮き彫りになりました。こういった課題は都農町に限ったことではありませんが、これらを乗り越えるための一手としてデジタル技術を活用する地域が多い中、都農町はデジタル化がひときわ遅れている状況でした」

そこで、イツノマは自治体と連携し、すべての町民がデジタルを日常的に使いこなして交流することを目指して「デジタル・フレンドリー宣言」を策定。光回線通信網の整備のほか、タブレット端末の無償貸与、双方向型ポータルサイトの開設、ITリテラシー向上のサポートなどを推進しています。また、「高齢者が1日でも長く健康でいられるようなコンテンツを作りたい」と考える中学生と一緒にコンテンツも制作し、2021年度には「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれました。

「町の外に出て行くのが避けられない若者に対しては、自分たちが作った場所に戻ってきたくなるよう当事者意識を持ってもらうことを見据えて活動を進めています。例えば、2050年の主役になる小・中学生がまちづくりの当事者として町政に関わって欲しいと『ゼロカーボンU-18議会』の取り組みを行いました。小・中学生で選抜チーム『Green Hope』を結成。町にゼロカーボン施策のアイデアを提案するために議論を交わし、議員に向け30分の施策提言を行いました。全会一致で町長への提案も決まり、この取り組みはキャリア教育として文部科学大臣賞を受賞しています」

イツノマでは、都農町のこれからの100年のまちづくりを長期的に考えていくための"グランドデザイン"も行っています。町民とワークショップを重ね、10の視点に基づき課題解決に向けたアクションを100個作成。解決に向けて一つひとつ歩みを進めています。その他、理想のまちなみや未来を描いた「つの未来マップ」を作成。町の中心に芝生広場をつくり、地元の人が個性を活かして興味・関心を育むことのできる店舗をつくるといった取り組みが進められています。町の人たちが楽しみながら対話を重ねることで生まれたさまざまなアイデアを、未来のまちづくりに活かしていきたいというのが中川氏の思いです。

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中川氏は、「まちづくりホステルALA」の経営もチャレンジだったと語ります。空き家のリノベーションを行って作られたこの宿泊施設には、まちづくりに関心のある社会人や大学生が全国各地から訪れます。今後はホステルとしてだけではなく、地方創生やSDGsの学び場となることを目指しています。

まちづくりホステルALAでは、バーベキュー設備やテントサウナも常備され、朝日や夕日、星空を満喫することができます。日本中を旅しながら暮らす多拠点生活者のためのプラットフォームとしても活況で、ワーケーション目的の人もひっきりなしに訪れます。

「ぜひ一度都農町にお越しください。実際にご覧いただくと、色々な働き方や暮らし方をしている人がいると分かり、みなさんの将来像の参考にもなると思います」

東京大学の学生サークル「東大むら塾」や、新渡戸文化高校のスタディツアーも受け入れており、すっかり魅了されて都農で働くことを決めた学生もいると笑顔で語ります。

「これからは、まちづくりと教育と観光が交わっていくのではないでしょうか。これまでは、"まちづくりのために"観光を活性化していましたが、僕は"まちづくりを観光のコンテンツ"にしたいと考えています」

最後に、中川氏は自身のキャリアを振り返りつつ、学生にメッセージを伝えました。

「チャンスは『アウェイ』にあります。僕自身、多くの仕事に従事し、成功と失敗を繰り返してきました。ワクワクすることを大事にしながら、これから30年かけて80歳くらいまで100%やりきって引退したいと考えています。また、競争に勝つだけではなく、需要を生み出すことも重要です。東京はマーケットが大きいものの競合も多くなってしまいます。地方は、競争はないけれど需要もないため、需要を喚起して仕事を作る必要があります。僕は東京での様々なキャリアを活かしながら、都農のまちづくりと向き合っていきます」

中川氏は自身の未来像に触れながら、新しいことに対して尻込みせず、偶然を楽しみながら持続性も意識して活動してほしいという思いを学生たちに伝えました。

講演4 「多様なキャリアのあり方」―石川紀子氏

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静岡県掛川市の副市長である石川氏は、大学院を卒業後、2022年3月までNEC(日本電気株式会社)で新事業共創、経営企画、企業変革、広報、ダイバーシティ推進、人事など幅広い領域の業務に携わってきました。2022年4月より、静岡県掛川市の副市長に就任し、これまでのキャリアを活かしながら活躍の場を広げています。

「これからの時代は、心身ともに幸せな状態をキープしながら生きていく価値観を大切にする人が多くなると思います」と、Well-Beingの考えを伝えながら講演を始めた石川氏は、自らのキャリアを振り返り、想定外であったと話しました。

大学院まで電気通信を専門に研究し、開発をしたいと考えてNECに入社するものの、研修後すぐに希望の部署が無くなってしまいます。それでもネットワークに携わりたいと希望を出し、販売促進や、宣伝を担当。その後お客様との商談の中でソリューション解決の必要性を感じ、新事業を行う部署へ参画します。

「『共創』という言葉は、実はNECが作りました。これまでは、課題が明確で、自社が持つ商品で解決するというのが定番でした。しかし今は、お客様自身も何が課題か分かっていないという状況もある中で、これまでと同じやり方では提供できる価値は限られてしまいます。30年先を考えたとき、一社が独占する時代ではなく共有することが必要ではないでしょうか」

課題は何か、作りたい価値は何か。石川氏がお客様との会話を重ねつつ、多様なメンバーをチームに招き入れて仕事に邁進する中で、会社でも「技術の延長線上だけではなく、お客様のありたい姿のために『共創』を行う」という方針に変わっていきました。ある時、本質的な価値を提供したいと沖縄県久米島町に赴き、まちづくりのために地域の課題を一緒に考えようと働きかけ、話し合いを行うことがありました。ベンダーとしてではなく、まちづくりのパートナーとしてどう有ることができるか、町の人とコミュニケーションを取りながら進めていたと石川氏は話します。

「単なる情報発信ではなく、コミュニケーションを取ることが大切です。誰に、どのようにという点を明確にし、ストーリー立ててしっかりと語り、テーマに気づいてもらうことで次の行動へとつながります」

自分の思いを伝えてコミュニケーションを取ることは、まちづくりでもとても大切な要素です。いくら正しいことを語っていても、共感してもらい、自分事として捉えてもらえなければ仲間を増やすことはできません。

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その後石川氏は、経営企画としてトップの近くでアクションを起こす業務に携わります。また、一人ひとりが働きやすい場をつくりたいという思いがきっかけとなり、広報や人事にも仕事のフィールドを広げます。

多様性を頭で理解しているつもりであっても、無意識な判断をしてしまうこともあります。ここで石川氏は、「10秒で魚の絵を描くワーク」を行いました。

「魚を描くと、日本人の多くが頭を左側に描くなど無意識の常識があります。多様性について、当事者意識を持ってもらうことは難しいものです。私自身、「誰もが働きやすい会社」を目指すために社内に掛け合ったことがあるものの、なかなかうまく伝わらずに悔しい思いをしたこともあります。それでも思いを言葉にし、仲間を招き入れて一緒に行動することを続けながら一歩ずつ進んできました」

そして2022年4月には、静岡県掛川市の副市長に就任。NECで様々な業務に携わり、まるで社内転職をしているようだったと語る石川氏。自身のスキルや経験を棚卸しして、評価される・されないに関わらず「自分が大切なもの」や「自分がやりたいこと」は何か、「大事にしていること」や「未来にこんな風になりたい」と準備してきたことを考えた結果、掛川市での業務はこれまでの経験が全て活かせる場だと感じたと話します。NECでは掛川事業所もあり、プロボノで「掛川葛布利活用委員会」の企画を行ったこともあったそうです。会社で企業改革に携わってきた際の社員数と掛川市の人口がだいたい同じくらいだということもあり、縁を感じずにはいられません。

「『共創で四方よし』という言葉があります。売り手よし、買い手よし、世間よし、未来よし。みなさんも、ぜひ四方よしの視点で物事を考えてみてください。また、長期的に自分のキャリアを考えて、想定外の連続を楽しむこと。選択肢は広めに考えて、チャンスや人の出会いがあったら積極的に飛び込んでもらえればと思います。目の前のこと一つひとつに真剣に取り組んでいると、思わぬところからご縁ができます」

石川氏自身が、想定外のキャリアを歩むなかでも大切にしてきたことがあります。それは、自分の思いを形に出した後で、学び続けることを忘れないことです。

「ご自身の旗を魅力的にするための努力と、一歩踏み出すことを恐れずに。すべてはつながっていますし、小さな勇気で世界が変わります。未来を見つつ、今を大切にしましょう」

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講演後は、最終日の発表に向けてのワークショップが行われました。エコッツェリア協会の田口より、発表のテーマについての説明が行われます。まず、ここまでの講演を参考にどんな自分になりたいかを書き出しながら、「なぜそのようになりたいか」「誰に届けたいか」「叶ったとしたらどんな状態か」を各々が考え、グループ内で共有します。その際に出し合った未来像やアイデアを組み合わせてビジネスプランを検討し、「どのように社会に役立つか」を明確にしながらプレゼンテーションを作り上げます。

「互いの意見を踏まえてテーマを考えましょう。一番重要なのは、WhomとWhyです。誰のために、何のためにやるのかが大切です」

2日間のプログラムを経て学生たちはリラックスした表情を見せ、互いの意見を尊重しながら話を進めます。最終日は、2つの講演を受講した後、ビジネスプランをブラッシュアップするワークショップを実施。その後、3日間の集大成としてのプレゼンテーションが行われます。

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