- Q1
- あなたはいま、どのようなプロジェクト・仕事に取り組んでいますか。また、それに取り組むきっかけについて教えてください。
- A1
-
株式会社環境指標生物にて、生きもの の保全を目的とした様々な事業を展開しています。
「人と生きものをつなぐ」という理念のもと、企業や自治体の環境保全活動に関する野生動植物の調査やコンサルティングのほか、一般の方に向けたサービスの展開も考えています。
自然が担う役割や人との共存についてまずは実態を知っていただき、「自然を守るために私たちに何ができるか」を皆さんと考えるプロジェクトなどに取り組んでいます。エコッツェリア協会さんが運営されている「大丸有シゼンノコパン」などの生きもの観察会への協力はその一つです。参加者の方に自然を身近に感じていただける機会は貴重だと思います。ひとりでも多くの方に自然に興味を持っていただきたいという想いがあります。
- Q2
- 仕事や個人の活動において、あなたが大切にしていることは何ですか。
- A2
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「人と生きものをつなぐ」うえでは、あらゆる場面で、率直であることが大切だと感じています。昔は「これを聞いたら失礼かな」「これをお願いしたら迷惑かな」と考えて遠慮することもありましたが、そうすると相手との距離がなかなか縮まらないんですよね。クライアントが何を求めているのか、それを知るためには自らありのままの姿でコミュニケーションを取ることが大切だと感じています。
クライアントが目指すものと自然環境の保全がうまくマッチしないこともありますが、それをすり合わせるためには、やはり対話を尽くすしかありません。当社の仲間たちは生きものオタクが多く、生きものに寄り添った大胆なビジョンを描くこともあるのですが、人間社会と自然環境の互いのタッチポイントを見つけるべく試行錯誤を繰り返しながら活動しています。
- Q3
- あなたにとって3×3Lab Futureとはどのような場所ですか。
- A3
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生きもの以外の目線を知ることができる、刺激になる場所です。多様なバックグラウンドの方々と気軽に会話ができ、そのご縁がどんどん広がっていくとても素敵な空間だと思います。人との接点ができると気づきやアイデアのきっかけとなりますし、それが人脈へとつながっていきます。当社は技術者集団なので、日頃どうしても専門分野の狭い範囲で思考を巡らせる傾向にありますが、3×3Lab Futureはそんな私たちの世界を広げてくれる方々と出会える数少ない場です。
自然を守っていくためには生きもののことを知る以前に、社会や人間のことを知る必要があると感じています。そういった観点で、3×3Lab Futureは経済や政治、そして「人々」についての理解も深められる貴重な場所です。
- Q4
- 3×3 Lab Futureで、こういう企画やイベントがあったら嬉しい、というコンテンツは何ですか。
- A4
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多種多様な方が集まっている場所なので、会員の皆さんの取り組んでいる仕事・プロジェクト、バックグラウンドなどを知ることができる企画に参加していきたいですね。
また数年前から、モノを消費する以外の楽しい暮らしについて考えているので、「ごみを減らすワークショップ」などが開催できたらいいなと考えています。
大量生産、大量消費の生活が気候や生物多様性に大きな壁となっている事実を知り、ごみをなるべく出さない生活を続けています。例えばペットボトルの購入をやめたり、コンポストの一種である「キエーロ」を使用してごみを減らす努力をすることで、現在は一般家庭の10分の1くらいの排出量になりました。今ではもう減らせるところが少なくなってきて、歯磨き粉や化粧水を手作りしてみるなど日々工夫を続けていますが、一人がエキセントリックな努力をするより、たくさんの人がほんの少し意識を変える方がずっと大事だと感じています。
- Q5
- あなたのお気に入り(街、お店、サービス、本など)を教えてください。
- A5
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街の個人商店がお気に入りです。大資本を元手に運営されているお店では、生産から販売までに関する情報に触れる機会が少ないですが、個人商店では商品のポイントや生産者の思いなどを教えていただく機会が多く、まさに「生産者」と「消費者」をつなぐという役割を果たしていると感じています。
品数は少なくても、厳選されたストーリーのある商品を通じて店主と話が弾みます。根底には人とのコミュニケーションがあり、商売の本来の形、つまり経済の原点がそこにあるように感じています。
- Q6
- 今後の夢や挑戦したいことは何ですか。
- A6
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今後は、生物多様性を主流化することにもっと挑戦していきたいです。私たちは今、次世代が消費する分のエネルギーや資源も消費して暮らしており、このままでは人類自体の存続が危ういという状況にあります。それを防ぐためにも、多くの人に自然の大切さを伝える活動を続けていきたいと思います。
また、特に都会の方々は、自然に関わることで暮らしがもっと緩やかに、柔軟になれる部分があるのではないかと思います。自然や生物多様性の素晴らしさをもっと多くの方に届けるべく、「大丸有シゼンノコパン」のように一般の人と交流する機会を増やしていきたいです。
そして、人との出会いや交流を通じてアイデアや発想力を磨きながら、固定概念にとらわれずに新たな挑戦を続けていきたいと思います。
高木 圭子
(たかぎ・けいこ)
株式会社環境指標生物 代表取締役
東京生まれ、北多摩育ち。緑豊かな自然や里山環境に身を置くのが好きという一心で、横浜国立大学で植物社会学、京都大学大学院で雑草学を学び、環境コンサルタントを経て株式会社環境指標生物に転職。植物調査技術者として、主にダムや道路事業の環境アセスメントに係る植物調査に携わり、全国の野山を歩き回る日々を送りつつ、調査技術を磨くだけでは自然を守れないことを実感。その後、企画営業職を経て2020年、創業者の退任に伴い現職。技術者あがりの新米経営者として奮闘しつつ、「人と生きものを繋ぐ」ことを企業理念に、生物多様性の保全につながる事業活動のあり方を模索する。