シリーズVOICE

【VOICE】松田 雄馬さん

株式会社オンギガンツ 代表取締役 / 一橋大学大学院(一橋ビジネススクール)講師

Q1
あなたはいま、どのようなプロジェクト・仕事に取り組んでいますか。また、それに取り組むきっかけについて教えてください。
A1
現在、株式会社オンギガンツを経営しており、クライアント企業のDXを技術開発と人材育成の観点から支援する事業に取り組んでいます。未来を見据えつつ現場目線で新しいものを創るということにこだわり、事業者だけでなく、エンジニア、研究者、出版関係など多様な人たちと一緒に事業を展開しています。
設立当初は技術的なサポートに特化していましたが、クライアント企業との「共成長」を目指すべく、現在は技術支援を通じた企業の人材育成にも取り組んでいます。
また、最近では3×3Lab Futureのイベント「さんさんテック」にも力を入れています。このイベントは、テクノロジーを活用した社会課題解決やビジネス創発に関する企画で、分野やプロジェクトを超えた共創に向けて、今後も多様な方々とコラボレーションしていきたいと考えています。
Q2
仕事や個人の活動において、あなたが大切にしていることは何ですか。
A2
「心のハードルを下げること」を大切にしています。例えば、今僕が教えている一橋ビジネススクールのプログラミング授業で、まずプログラムを完成した状態で配ってそれを動かしてもらい、全体像を見せてから具体的に学んでいくという流れで授業を展開したことがあります。従来の勉強方法とは真逆の順番ですが、完成したプログラムを先に触ることで全容が分かり、その後実践することへのハードルが下がります。ハードルを越えた先の体験でしか感じられないことがたくさんあり、僕はそこに価値や可能性が広がっていると考えています。

当社の社名は「Standing on the shoulders of Giants (巨人の肩の上に立つ)」という言葉が由来となっていますが、偉大な先人たちの研究などを巨人に喩えて、その上に現在の学術研究による知見を積み重ねることで、新しい発見に繋げていくという思いを込めました。有名な論文を読むだけでなく、先人の「心」を理解してこそ彼らの見ていた景色が見えてくると思います。
新しい景色を見られる人が増えてこれまでとは違う循環になることで、共創する社会の実現に繋がっていくと考えています。

Q3
あなたにとって3×3Lab Futureとはどのような場所ですか。
A3
3×3Lab Futureは、肩肘張らずにいられる場所だと感じています。個人会員の皆さんは様々な専門分野でご活躍されて、今は第一線から落ち着いて少し余裕のある方々も多いですよね。社会全体を見ていながら、目の前にチャンスがあるとそこに素早くアクションを取れるような方が多い印象があります。一石を投じると、まさに皆さん水を得た魚のようになりますよね(笑)
一方で学生さんも利用されていて、ベテランの方々の「知恵」と若い方々の「フットワークの軽さ」があると思うので、僕はそこに「技術」で貢献していきたいと考えています。
僕が何か物事を広げていくときは、まず誰かに話を聞いてもらい、そしてアドバイスをもらいます。そこで、「そのアドバイスをくれるということは一緒にやってくれるよね?」とちょっとずるい感じで人を巻き込んでいきます(笑)。3×3Lab Futureは新しいことに巻き込まれたい人が多い印象があるので、僕と相性が良いのだと感じています。
Q4
3×3 Lab Futureで、こういう企画やイベントがあったら嬉しい、というコンテンツは何ですか。
A4
個人の活動として、何かに「火をつける」ようなコンテンツを企画していきたいと考えているのですが、その前段階には、着火剤となる仕掛けを行っていく必要があります。その準備として、3×3Lab Futureで色々な意見を集められることはありがたく、「さんさんテック」も種まきイベントとして盛り上げていきたいです。
また、学生さんに"心地よい居場所"と感じてもらえるような場を作っていきたいですね。以前、高校生向けのスタートアップイベントを手伝っていたのですが、そこには面白い考えを持った高校生がたくさんいました。3×3Lab Futureには若い世代との繋がりもあるので、ぜひ「さんさんテックハイスクール」などを開催できたらいいですね。
Q5
あなたのお気に入り(街、お店、サービス、本など)を教えてください。
A5
博物館が好きで、時間に余裕がある時のほか、息詰まった時や発想転換したい時に足を運びます。特に、上野にある「国立科学博物館」はお気に入りです。
また、ここ数年間で興味深かった発見は、東京駅前のKITTEにある「インターメディアテク(IMT)」です。そこに展示されている「驚異の小部屋*」を見て、博物館の捉え方が変わりました。
昔、裕福な人たちは、航海に出てそこで集めたものをコレクションしていましたよね。当時のお金持ちの人からするとただの「娯楽」ですが、実はこれが今の「学問」に繋がっています。例えば、人類化石を最古から順に並べるとその進化が分かるように、世界の始まりや成り立ちなどが博物館には詰まっているのだと、「驚異の小部屋」をきっかけに気がつきました。それ以降は博物館に行く度に、展示を通して世界のあらゆる歴史に触れることで、新しい角度で物事を捉えるようになりました。

*「驚異の小部屋」はインターメディアテク内の常設展示。アジア美術の蒐集家として知られるエミール・ギメゆかりの古展示ケースに、自然史から文化史まで、選りすぐりの学術標本コレクションが収められている。
Q6
今後の夢や挑戦したいことは何ですか。
A6
著書「デジタル×生命知がもたらす未来経営」にもあるのですが、これからは「未来経営」というテーマに挑戦していきたいです。僕は、デジタルに人間の「生命知」が掛け合わさることで、より良い未来に繋がっていくと考えていますが、そのためにはまず日本が持っている「知」を世界に発信していく必要があります。
日本人の多くは、職人の「鉄の声が聞こえる」、料理人の「素材の声が聞こえる」という感覚が何となく分かるのではないかと思います。日本は、職人さんや様々な現場で働く人たちの暗黙知を大切にしていて、知の宝がたくさん眠っています。「知」はデータから導くことのできない部分なので、データ分析が主流のアメリカやヨーロッパを中心に、今世界から注目が集まっています。
サイエンスや歴史的な観点も大切ですが、僕は自分の足で歩いて素材と向き合うことでしか見えてこない「知」も、これからの未来に重要な要素だと考えています。理想を語るだけではより良い未来の実現には繋がらないので、まず僕自身が素材の声が聞こえる人になっていきたいと思います。
松田 雄馬 (まつだ・ゆうま)
株式会社オンギガンツ 代表取締役 / 一橋大学大学院(一橋ビジネススクール)講師

京都大学大学院卒業後、NEC中央研究所にてオープンイノベーションを推進。MITメディアラボ、ハチソンテレコム香港、東京大学、との共同研究を経て、東北大学との脳型コンピュータプロジェクトを立ち上げ、博士号を取得した後、独立。合同会社アイキュベータ(現株式会社オンギガンツ)を共同設立し、大手企業のAI/IoTを中心とした新規技術開発・事業開発を支援。AIへの誤解を解き、豊かな未来を創造するための情報発信としてテレビ・ラジオにも出演し、多数の著作を執筆。

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