シリーズVOICE

【VOICE】井上岳一さん

3*3LAB シリーズディレクター
日本総研 創発戦略センター マネジャー

森林に入るとなぜ"いい気分"になるのだろう?

僕は3*3LABのディレクターとしてエコッツェリアに来ています。担当しているのは「森と人のあいだ」シリーズ。学生時代に林学を学び、林業、森林にかかわってきたのですが、一時そこから離れてしまいました。でも、40歳を過ぎて、自分の原点って何だろう?と考えたときに思い出したのが、やっぱり森林だったんです。今、3*3Labでやっているのは、"気分がいい""いい気持ちになれる"という感覚的なところを鍵に、森林を全体で機能するシステムとして捉え返すことです。皆さんも3*3LABで、まず森林の楽しさに触れてほしいと思います。

Q1
井上さんと森林の関わりって?
A1
学生のときに、下北半島で自然の恵みだけで暮らしている狩猟の人のマタギの方と過ごしたことがあります。僕も「森の人」になりたかったんですけど、山を持っていないと林業はやっぱり面白くない(苦笑)。それでしばらくは離れてしまっていたのだけど、改めて今、森林のそばで暮らしたくて、通勤には1時間半もかかっちゃいますが、神奈川の山のそばに引っ越しました。夜になると虫の声がすごい。海のそばでもあるので湿気がすごい。下駄箱の中の靴がすぐカビてしまうくらい。キチンと生活していないと自然に負けてしまうところなんだなと改めて感じています。
Q2
「森林」って何でしょうか?
A2
森林のキーワードは「全体性」だと思うんです。切り分けて評価しようがない。経済的に評価しようとすると森林の木材としての価値しか見えず、利用価値のあるうちは収奪が進みますが、なくなれば打ち捨てられる。全体として機能する森林は、その意味で反20世紀的なのかもしれません。そこに近づくことで、自然の原理を取り戻したい。
Q3
コミュニティや関係性をテーマにしたのはなぜですか?
A3
僕がいたマーケティングの世界は「ターゲティングする」「セグメント化する」「囲い込む」という言葉で表されるように戦争・狩猟メタファーの世界です。しかし、一方で「好きな相手のために自分が良いと思うものを贈る」という恋愛メタファーの世界があってもいい。それを支えるのがコミュニティであり、関係性だと思います。ナイキが大規模広告から「Nike+」というコミュニティ戦略に転じたのが良い例で、関係性を育てていくとものが売れるようになるんです。ただ、マーケティング的なものが入ってくると、コミュニティってやせ細っちゃうんですよね。そこの塩梅が難しい。
Q4
エコッツェリアの良いところは?
A4
企業にとって、"軒下"のような境界があいまいな空間があることはとても大切です。エコッツェリアには、軒の深さがありますね。いろいろな人たちが集まってくる。あまり知られてなくてもったいないです。三菱地所の社員の人にも来てほしいですね。
Q5
大丸有、1日好きにしてよければ何をしたい?
A5
街路樹を切って、それを材料にツリーハウスを作るとか。木は切ってなんぼのものでして、自分で切った木で作ったものにはすごく愛着が沸きます。そして、東京駅の前の広場でたき火とキャンプファイアー。打ち水の次はこれでしょう!
井上岳一(いのうえ・たけかず)
3*3LAB シリーズディレクター/日本総研 創発戦略センター マネジャー

大学で森の勉強をした後、林野庁で森と木に関する政策の立案・実行に携わる。その後、暮しと木の関係を見つめるためにインテリア会社に勤務。現在は、(株)日本総合研究所創発戦略センターで、持続可能な社会を実現するための社会システムのプランニングや企業活動のコンサルティングを行なっている。森に理想の社会モデルがあると考え、自然の叡智を社会に生かすことをテーマとする。

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