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【レポート】大丸有から、世界へ!学生たちが未来と繋がる夏 Day1

「丸の内サマーカレッジ2023」2023年8月9日(水)〜11日(金)開催

4,8,11

リアルからオンラインを通じた交流機会が増加し、情報があふれ、目まぐるしく状況が変化する今。何を考え、どう生きていくかという選択肢が無数にある中、高校生や大学生、大学院生が大手町の3×3Lab Futureに顔を合わせ、さまざまな社会人の生き方を学び、参加者同士交流を深めながら自分の未来を考え思い描く「丸の内サマーカレッジ」が開催されました。
8月4日のオリエンテーションで共に学ぶ仲間と交流を深めた後、8月9日~11日の3日間に渡りメインプログラムが行われました。

メインプログラムはエコッツェリア協会の田口真司と小西政弘が司会を務め、かつてのサマーカレッジ参加者もアシスタントとして参加し、自身の経験も踏まえながら学生たちをサポートしました。
「この場には、年齢も専攻も異なるメンバーが集まっています。皆さんが社会に出たときにここでゆるく繋がった人たち同士で相談できることもあるはずです。ぜひ交流を深め、自分の考えを相手に伝えるようにしましょう」(田口)
参加者は普段とは異なる環境で交流を重ね、視野を広げ、新たなアイデアを生み出していきました。

<1日目>
講演1「『学び』を『実践』へ発展させる3日間のはじまり」
・・・長岡健氏(法政大学経営学部教授)
講演2「社会課題を自分ごととしてとらえるには」
・・・岩元美智彦氏(株式会社JEPLAN 取締役 執行役員会長)
・・・岩井秀樹氏(福島大学地域未来デザインセンター 副センター長 経済経営学類 教授) フィールドワーク「大丸有街歩きツアー」

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講演1「『学び』を『実践』へ発展させる3日間のはじまり」-長岡健氏

講演1「『学び』を『実践』へ発展させる3日間のはじまり」-長岡健氏

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3日間に渡るメインプログラムは、「創造的なコラボレーションのデザイン」を研究する長岡氏の講演から始まりました。

初めに、この時間でみんなと対話を行いたいと語りかけました。「この場に集う意味を考えてみよう。刺激しあって新しいことにチャレンジして、3日間が終わった後は自分の殻を破っていられるように。新しい何かを持ち帰りましょう」とサマーカレッジに向けての心構えを伝えます。この場では自由に自分の考えを表現してほしいとSNSのハッシュタグを紹介すると、参加者はスマートフォンを取り出し、さっそく意見をつぶやく姿が見られました。

普段から「カフェゼミ」など、学生や社会人が集い対話の場づくりを行う長岡氏。サマーカレッジではワークショップでグループディスカッションとプレゼンテーションがありますが、オンラインでも集まることができる今、人々が同じ空間に集まる意味はあるのでしょうか。

「目的を達成するために情報収集を合理的に行い、コストパフォーマンスを追求するために集う場所を『井戸的空間』、必ずしもそこにいる必要はないけれども対話をすることで新たな気づきが生まれる場所を『焚き火的空間』と言います。サマーカレッジは後者。一人ひとりがこの場を楽しみ、目が合ったら笑いかける。他愛のない話ができるような場にできたら」(長岡氏)

続けて、初対面の人同士でも同じ時間と空間を共有してチームをつくり、創造的コラボレーションを行うことはできる、そしてこれからの時代で求められるのは「グループ・ジーニアス」の概念だと話します。これは、チームでの議論・対話を通し、一人では考えつかないような想像的なアイデアを生み出せるという考えで、アメリカの心理学・教育学者であるキース・ソーヤー著『凡才の集団は孤高の天才に勝る』からの引用です。 また「フロー理論」も重要だと長岡氏は語ります。フローとは、スポーツで集中力が増してゾーンに入る状態のことで、良いアイデアが生まれるようになります。そのためには、それぞれが主体的に動き、誰からも管理をされない自由なチームであることが必要です。

「一見、矛盾していることを言っているように見えますが、集中して神経を使ってグループワークをしてほしいです。大事なのは先へと進める姿勢。創造性の高いプロジェクトはじっくり考えるよりも決めたことを変えながら修正をかけることがおすすめです。作業をしながら考えて、締切りの1時間前で方向性を変えても良いくらいですね」(長岡氏)

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最後に、この3日間では「会話」ではなく、「対話」をしてほしいと伝えます。「会話」は親しい人同士のおしゃべりに対し、「対話」は知らない人同士が価値観や情報交換を行うためにするもの。意見が違っても臆することなく、自分の考えはこうだと伝えてほしいと話しました。

「自分の意見を伝えて対話をする場面がたくさんあります。少し新しいことをやってみようと思ったら変われるはず。凝り固まっていない自分になるために、過去のやり方にこだわらずチャレンジしましょう」(長岡氏)

講演の後、自分の趣味を「対話」の入り口に感想をシェアし、最終日のプレゼンテーションに向けたグループづくりを行い、お昼休憩をとりました。

講演2-1「社会課題を自分ごととしてとらえるには」-岩元美智彦氏

午後は、社会課題に取り組むお二人を講師に迎え、どのように考えてアプローチを行ってきたかを学びます。

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岩元氏が創業した株式会社JEPLANは「あらゆるものを循環させる」というビジョンのもと、ペットボトルやポリエステル繊維のリサイクル事業を展開し、資源循環にまつわる取り組みを総合的・包括的にサポートする事業を行なっています。岩元氏自身も日経ビジネスの「次代を創る100人」に選出され、世界中から注目を集めています。今回岩元氏からは、「みんな参加」「無限大」「地上資源・地下資源」「正しいを楽しいに」「想いを積み重ねる」「経済・環境・平和」の6つのキーワードをもとに、ご自身の経歴とこれからについてや、「循環型社会を作ることで社会平和を実現する」という夢についてお話いただきました。

「20年前は誰もこんなことができると信じていませんでした」と岩元氏。岩元氏は経済と環境を両立するために、「技術」「みんな参加型のリサイクルインフラ」「正しいを楽しいに」という「循環のトライアングル」を提示し、消費者一人ひとりが主体的になるための取り組みを考えました。

「まず一つ目の『技術』について。循環型社会を作るうえで、世界にはゴミが存在しないと証明する必要があったので、リサイクル技術を確立しました。これまでのリサイクル手法では原料が劣化してしまうため、何度も再利用することが難しいといわれていました。そこで、原料に対して化学的な処理を行い、半永久的に再利用ができる技術を取り入れました。私たちはこのケミカルリサイクルによって再生した資源を地上資源と呼び、地下資源(石油)と同様の品質で何度でも繰り返し循環し続けるための独自の技術を確立しました」(岩元氏)

現在では世界でも革新的なペットボトルと衣類(ポリエステル100%繊維)のケミカルリサイクル工場を稼働させ、衣類については、循環のトライアングル2つ目のキーワード「みんな参加型のリサイクルインフラ」の仕組みを整えました。消費者にリサイクルを促すため、店舗で衣類を回収するためのプラットフォームを構築したのです。消費者へのアンケートにより、商品を購入した店に回収ボックスがあると良いことが判明し、大手企業等にも声をかけてリサイクルボックスを設置、今では200を超える企業が協賛しています。

3つ目のキーワードは「正しいを楽しいに」。リサイクルへの参加をわくわくドキドキする楽しいことだと思ってもらいたいと考え、積極的に参加したいと思うようなプロジェクトを立ち上げました。その一つが、有名なハリウッド映画に登場する車型のタイムマシン「デロリアン」をゴミ(古着)から作った燃料で動かすというプロジェクトでした。版権元からも快諾を得て、2015年にこのイベントを実現。「地上のゴミを資源に変える循環型社会を構築し、資源を求める争いを無くしたい」というメッセージを多くの人に伝えました。古着を持参した人はデロリアンに乗って写真を撮れるというイベントにも多くの人が集まりました。

このほかにも、古着で作ったバイオ燃料で飛行機を飛ばすプロジェクトなども行い、リサイクルが楽しい体験となるようなイベントを行なってきました。

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「地上資源を使った製品を浸透させて経済を回し、CO2削減など環境にアプローチしつつ、資源の争奪のための争いを無くして平和をつくりたい」と岩元氏は語ります。

「便利な生活の裏では地下資源の奪い合いが続いていますが、お金や武器ではなく、ワクワク、ドキドキがいいんじゃないかと思っています。私の講演を聞いた人は、今日から『地球環境防衛軍』のメンバー。ぜひ皆さんで参加できる循環型社会を目指しましょう」(岩元氏)

大きなスケールで地球のために取り組むプロジェクトに参加者も興味津々の様子でした。

講演2-2「社会課題を自分ごととしてとらえるには」-岩井秀樹氏

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続いて、岩井氏の講演です。船乗りを目指して東京商船大学・商船学部に入学した同氏は、大学在学中に進路を検討して東京海上火災保険株式会社(現・東京海上日動火災保険会社)へ入社。情報・金融の自由化に伴い、IT部門で基幹システムのアプリ開発、経営統合プロジェクト等を担当してきました。経営統合に関する業務を行うなかで組織のワークスタイル改革活動に従事。当初は社内から協力を得ることは難しかったのですが、地道に活動を続け、社長からもビデオメッセージをもらうなどして社内の機運を盛り上げていきました。

「組織の改革は簡単なことではありません。半年から1年間、趣味の場で交流を続け、経営統合だけではまとまらなかった関係性に変化が起きました。経営統合を行った2社とも、もともと『お客様のためにいい商品を作りたい』という想いを持っていました。お客様を見て企画をしたいという想いが一緒だったので、お互いの立場を理解しつつ、仕組みを整えました」(岩井氏)

当時、ワークスタイル改革活動は一般的ではありませんでした。ヨーロッパのフューチャーセンターを視察し、海外での取り組みを会社に持ち帰りました。イノベーションで大切にしていたのは、楽しみながら様々な発想をすることと話す岩井氏。

社内を変えるための取り組みを続けるなか、東日本大震災が発生し転機が訪れます。保険会社の立場で、被災者であるお客様から「車がないと生活できない」などの悲痛な声を耳にする機会がありました。現地で求められていることを聞くうちに、これまで岩井氏が行ってきた「さまざまな視点から話し合うこと」を通して、アイデアや意見を地域に還元し、イノベーションを起こすことができるかもしれないと考えボランティアに行くことを決めました。

ボランティアとして訪れたのは宮城県石巻市渡波黄金浜という小さな港町でした。 津波の被害を受けた地域を今後どうしていくのか、自宅を無くしてしまった人たちにこれから何をするべきか、どうしていきたいのかという話し合いの場を設けました。とはいえ、このような場を設けること自体、勇気が必要なことでした。自分自身がどういう気持ちで震災現場に立つべきか悩んだ、という岩井氏。「人はきっと幸せになりたいに違いない。そうであれば自分ができるのは、被災した人達の前に立って話し合いの場を設けること」と考えて、地域のなかに入り込み、活動を続けてきました。

岩井氏は、また、石巻市東浜でも支援活動をはじめます。牡蠣の養殖が盛んだったこのエリアも津波で甚大な被害を受けていました。

「漁師のみなさんとは、すぐには信頼関係を築くことができませんでした。『余計なことはしなくても良い』と言われたこともありましたが、なんとかしたかった。足しげく通ってお酒を飲んだり、東京から学生を連れてきたり。どうしたら話をしてくれるか、考えてくれるかをあの手この手で考えたらだんだんと話が進むようなりました」(岩井氏)

被災地での活動を続けるなか、保険会社を退職して起業。2013年には「一般社団法人こはく」を立ち上げ、石巻を中心とした地域復興支援事業を本格化させました。イノベーションを起こすためのスペースを設け震災復興への活動を始めます。木のブロックを組み合わせて集会所を建てる、石巻南浜津波復興祈念公園に関するファシリテーションやコーディネートを行う、石巻への誇りや愛着を表現したお土産品を作るなど、地域に根付いた活動をしています。

「こんなことをしているうちに、コミュニティスペースや広場にどのように人が集まり行動するのか気になりました。ランドスケーブ(都市や公園、広場における空間デザイン)について学びたいと、大学院まで進みました」(岩井氏)

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これまでの経験をきっかけに東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科の非常勤講師として勤務をスタート。前職での人事経験や、東北での地域活動、人の縁から福島大学からも教授の誘いを受けました。

現在は、地域未来デザインセンターで福島の課題に向き合っています。現在の福島は過疎化が進み、人口減少、県立高校の統合、農業人口の減少・高齢化など抱える問題は山積みです。岩井氏はこれらに対し、福島の地域資材を使い、循環型ビジネスを創出したいと考えています。

「環境にも優しく、低労力・低コスト・高付加価値で高齢者や少人数でもできるような不耕起栽培を行い、土壌や森林、廃校を地域資源として活用したいですね。環境再生型農業として、ソーラーパネルの活用も検討しています」と話します。人口減少を迎えるからこそビジネスを創りたいという想いで、最近は近所の学生と話しながら中高生も集まりやすいスポットを設けるなど活動を続けています。

「ベースにあるのは『自由でありたい』『人や社会にとって意味のあることをしたい』という想い。会社に在籍していたときも大変ながらやりがいのある日々を過ごしていましたが、仕事を辞めても周りの人が心配してくれて仕事のお誘いを受けています。人と社会をキーワードにしながら、ここまできているというところです」(岩井氏)

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岩元氏、岩井氏ともに取り組んできたことは異なりますが、人と社会に対して何ができるかを考えてきたという点は共通しています。講演後に「どのように仲間をつくっていくか」という質問では、岩元氏は「周りに楽しく参加してもらうためには、相手の行動や意識を変える必要がありました。そうなると、音楽や映画などの力が大きかった。その力を借りつつ、技術や仕組みを構築することで周りが自然と変わっていきましたね」と答えました。岩井氏は、石巻での活動を振り返り「場の共有やビジョンの共有がとても大事。同じ目標に向かっているようでも、詳細がずれていることがあります。対話をしないと自分の都合の良いことばかりを捉えてしまいがち。多くても少なくても、一人ひとりに向き合って対話をする必要があります」と伝えました。

最後に、お二人から「自分だったらどんな社会を創りたいかを考えて、そのなかに『楽しい』を入れてみることが大事。いろんな発想を繰り広げてみてください」(岩元氏)、「迷うこともあると思いますが、まずは動くこと。そこで人との出会いがあったり、新しいものが見えたりします。20代の自分と、その先の自分は違うので何かを選んで進んでみてください」(岩井氏)とエールが送られました。

フィールドワーク「大丸有街歩きツアー」

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講演の後は、「大丸有街歩きツアー」が行われました。初めに大丸有エリアのまちづくりの変遷を確認し、その後、グループに分かれて街を歩くフィールドワークへ向かいます。

大丸有の歴史を学ぶチームは、無料巡回バス「丸の内シャトル」に乗り東京駅の方へ。丸ビルや丸の内オアゾなどを巡り、街に根付く歴史が建物に反映されていることを学びました。大丸有エリアに集う人たちがより過ごしやすいまちへと、丸の内エリアのビルの高さを揃えているなど、普段歩くだけでは分からない建物にまつわるエピソードを学ぶことで、街に対する興味がかき立てられたようです。

「大学入学をきっかけに上京し、大丸有エリアを歩くのは初めて。オフィス街は無機質だと思っていましたが、さまざまな工夫がされていることがわかりました」 「とても刺激の多い1日でした。正しくより楽しく、という言葉が印象的。明日以降も楽しみです」と、学生たちも楽しんでいました。

学生たちの暑い夏は始まったばかり。
2日目は講義とグループワークに取り組みます。

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