シリーズコラム 「Viva Málaga!」
エコッツェリア協会にアスリートインターンとして活動し、その後スペインのマラガを拠点にフットサル選手として活動しながら、フリーランスとして様々な国で事業開発に携わる吉林千景氏がアンダルシア・マラガを紹介していきます。
第1回の今回は吉林氏のサッカー・フットサルの経歴やマラガのまちの情報を、今後は食やスポーツ文化、勢いを増すビジネスの現場などアンダルシア・マラガの知られざる魅力を全5回でお届けします。
幼少期は千葉県我孫子市で育ち、その後小学4年生の時に東京都町田市へ引っ越しました。5歳の時に兄の真似をしてサッカーを始め、中学1年生〜高校2年生の終わりまで、日テレベレーザ(現在:日テレ・東京ヴェルディベレーザ)の下部組織でプレーをし、なでしこJAPANで長く活躍されていた岩渕真奈選手、今年(2024年)のパリオリンピックでも活躍していた田中美南選手、長谷川唯選手などとしのぎを削る青春時代を過ごしました。。その後、大学受験をきっかけにサッカーの世界を離れ、慶應義塾大学総合政策学部、通称SFCへ進学しました。
サッカーの世界からは離れたものの、フットサルというスポーツに出会い、大学1年生の時にその魅力に魅せられて、競技フットサルのキャリアをスタートすることになります。その後、日本代表として世界大会に出場したり、スペインのチームに移籍したりと、フットサルを通じて日本国内外でユニークな経験をしました。
想像できないことが日々連続的に発生する海外の生活からの学びは大変多く、さらに日本という国の魅力を外からの視点で捉えることにもつながりました。また、自分の知らない世界に挑戦することの面白さを実感し、自分で自分の住む世界を広げていくことで、新しい自分にどんどんバージョンアップしていけるということを実感しました。そんな私が今、なぜ起業という道に進もうとしているのか。それは、起業という道が、自分のやりたい仕事で生きたい未来を創っていく手段だと思うからです。
人と違うからこそ、生み出せる価値がある
これまでアスリートとして国際大会などに出場しながらも、日本企業でマーケティング、企画、プロモーションなどに関わる仕事を経験してきました。その中で、アントレプレナーシップ事業に関わることが多く、その中で、自分はどんな仕事でどんな未来を創っていくかを考えていました。
さらに、世界中から様々な人が集まってくるマラガという地で、たくさんの人と出会い、好きを仕事にしたり、それを仕事にするために挑戦している人たちに囲まれたことで、自分自身がどんな仕事で新しい社会に貢献していくのかを真剣に考えるようになりました。パソコン一つで仕事ができる、世界のどこにいても仕事ができるというワークスタイルを目指してキャリアを積んできていたものの、世界の様々な場所を訪れ、自分にしかできない仕事をしたいと思いはじめ、2023年から少しずつ「起業」に興味を抱くようになりました。
スポーツの世界にいた私が、業界や国の垣根を超えて、たくさんの人と繋がったことで、文化や国境を超えて、人と人を繋ぎ、新しい価値を生み出していきたいという想いが芽生えました。日本とヨーロッパ間の事業展開の橋渡しを担い、様々なご縁が重なり、スペイン発のWeb3ゲームプロジェクトのアジアでの事業展開や、ヨーロッパにおける日本の玉露のプロジェクトなどに携わっています。自分にしかできない仕事という想いで、日本とスペイン語圏におけるビジネスシーンをより盛り上げていこうと少しずつ自分なりの挑戦を始めています。また、将来的には自分のアイデアを形にするプロジェクトも挑戦したいと考えていますが、詳細はまだ模索中です(笑)。
さて今回の本題ですが、私は外国人が住みたい都市No.1 (*外国で生活する駐在員や留学生のための世界最大のコミュニティサイト「InterNations」の「外国人が最も暮らしやすい世界の都市ランキング」の2023年版にて発表)に選ばれたスペインの都市「マラガ」に住んでいます。マラガってどこ?と思うみなさんも多いかと思いますが、マラガはスペインのアンダルシア州にある都市で、地中海に面した素敵な場所です。実はこのマラガが今とてもアツいのです。海と山が近く、海の幸と山の幸をふんだんに使った食事が楽しめる。そして、旧市街でヨーロッパならではの歴史ある風情を感じると同時に、新しいエリアではおしゃれなショップでの買い物や食事を楽しめる。さらには、1年中天気が良くて、雨が少ない上に、空港から市内へのアクセスが抜群。最高です。スペインと聞くと、まだまだマドリード、バルセロナのイメージが強い方が多いと思いますが、ぜひ、マラガの良さを日本の皆さんにもっともっと知ってもらいたいです。この連載では、スペインのマラガに魅せられた私が、日本の皆さんにまだ知られざるマラガの魅力やホットな情報を全5回に分けて、お届けします。
なぜ、今こんなにもマラガは人気なのか。なぜ、たくさんの人が移住先として選ぶのか。 ここでは、マラガの基本的な情報と私なりのマラガの魅力をお伝えしていきたいと思います。マラガに住んでいるからこそお伝えできる情報もあると思うので、ぜひチェックしてみてください。
マラガってどんな場所?
●都市:スペイン、アンダルシア州に属する都市
●人口: およそ58万人
●地理: 地中海に面し、アンダルシア州の中心部に位置
●気候: 地中海性気候で、冬は温暖で夏は暑く乾燥
●空港: コスタデルソル空港(マラガ市内から車で15分ほど、電車では20分ほど)
●アクセス: 日本からマラガへの直行便はなく、ヨーロッパでの乗り換え、またはドバイやアブダビなどで乗り換えが必要。マドリードからはAVE(高速鉄道)で2時間ほど。
歴史や文化があふれる街並みと美術館
マラガの象徴的なメインストリート「Calle Larios」は、ショップや飲食店が軒並み連なる大通りで、イベント時は、デコレーションやライトアップがされる賑やかな通りです。映画祭の時期になるとレッドカーペットが敷かれたり、スポーツイベントでは大きな広告が掲示されたりと、マラガの街をいろいろな形で彩っている通りです。
また、ピカソの出身地としても有名で広く知られているマラガは、まちの中にいくつもの美術館があります。歩いて回れる範囲に幾つもの美術館があるので、1日かけて市内のアート巡りをするのもおすすめです。
ビーチと海鮮!マラガの名物、Espeto(エスペト)
中心地から歩いて5〜10分ほどで行ける距離にあるのが、このMalagueta(マラゲータ)と呼ばれるビーチで、海水浴だけでなく、散歩にも最高の立地。朝と夕方はランニングやサイクリングを楽しむ人も多くみられ、季節を問わず一年中多くの人に愛され、賑わっているビーチの一つでもあります。
また、マラガの海沿いを歩くと、このように海の家で魚が焼かれているのが目に入ります。この海の家レストランは、スペイン語で「Chiringuito」(チリンギート)と呼ばれ、新鮮な海鮮を提供していることで有名です。
気軽にビーチに足を運び、食事ができるのも海が近くにあるからこそ。マラガに訪れる方にはぜひ一度は新鮮な海鮮料理を味わっていただきたいです。キンキンに冷えたビールとの相性も抜群で、昼からお酒と美味しい食事を楽しむ人々の姿がよく見られます。もちろんワインも最高に美味しいです。
ちなみに、マラガに訪れたら、ぜひ一度試して欲しいのが、地ビール「Victoria」です。レストランだけでなく、街中のスーパーなどでも簡単に手に入ります。市内近くに工場もあり、見学や試飲も楽しめるので、そちらもおすすめです。
マラガと言えば、真夏のフェリア
マラガを象徴するイベントのひとつにFeria(フェリア)というお祭りがあります。これはいわゆる日本の夏祭りで、およそ1週間もの間お祭りが開催され、スペイン国内外からたくさんの人が訪れるイベントです。お祭りには、「Centro (セントロ)」と「 El Real del Cortijo de Torres(通称:レアル)」とふたつの会場があり、日中は、「Centro (セントロ)」と呼ばれる市内で音楽やダンスが披露され、スペインの伝統衣装を着て音楽や踊りを楽しみます。
また、夜は、「el Real del Cortijo de Torres(通称:レアル)」という会場で美しく飾られたCaseta(仮設の出店)で食事やクラブミュージック、フラメンコを楽しみます。2024年は120ものテントが出店し、Feriaを盛り上げているようです。
さらに、レアルには遊園地のようにアトラクションが楽しめるエリアもあり、子どもから大人まで楽しめます。また、真夏の暑い時期のFeriaでは、キンキンに冷やしたお酒「CARTOJAL (カルトハル)」が人気です。アルコール度数は高めなので、冷たくて美味しいからと言って一気に飲んでしまうと危険、というのがFeriaでの決まり文句です。
伝統的な行事、Semana Santa(セマーナ・サンタ)
Semana Santa(セマーナ・サンタ)は、スペインを含む多くのキリスト教国で祝われる「聖週間」のことで、4月の復活祭(イースター)の直前の週に行われます。スペインではそれぞれの地域で少しずつ行事の様子も異なり、なかでもアンダルシア地方、特にセビリアとマラガのセマーナ・サンタが有名で、世界からこの行事を見ようとたくさんの人が訪れます。
また、個人的にSemana Santaで印象的なのは、行進の際に使用されているお香の香りです。音楽や見た目だけでなく、香りも独特のもので、この香りを嗅ぐと「今年もやってきたなぁ〜」と感じます。特に、多くの場所で使用されているのは「Cofrade」という種類のお香で、シナモンがメインの甘い匂いです。「この行進が何時にあそこから出る!」「ここは通行止めになるから、こっちから行かないと!」という様子で旧市街を走り回る人の姿もこの時期ならではの光景です。市内のアパートメントやホテルなどは一年前から予約をしている人がいるほどなので、もし旅行する場合は、事前に予約されることをおすすめします。
最後に
いかがでしたか。まだまだ魅力あふれるマラガではありますが、今回はいくつかのおすすめポイントを私なりに厳選しました。「外国人が住みたい都市No.1」に選ばれた大きな理由の一つは、まちの利便性だけでなく、マラガが持っている人やまちの「あたたかさ」にあるのではないかと思います。まちの中ですれ違う地元の方々との触れ合いやレストランやバル、カフェの店員さんのフレンドリーさは、異国の地であってもどこか我が家に帰ってきたかのような「あたたかさ」を感じられます。今回の記事を読んでくださったみなさんが、スペインのマラガに興味を持って、旅行先の候補に入れてくださると、大変嬉しいです。
次回は少し角度を変えて、「日本がまだ知らないマラガ・マルベージャの魅力的なまちづくり」についてお伝えします。マラガの中にあるマルベージャという地域は、今世界のセレブや富裕層たちが多く集まるエリアで、有名なプロサッカー選手もバカンスでよく訪れることで有名です。そんなエリアの魅力とまちづくりについて、現地の情報を交えてお伝えしていきたいと思います。ぜひ、お楽しみに!
東京都出身。スペイン・マラガ在住。2016年慶應義塾大学総合政策学部卒。2011年よりフットサル女子日本代表選手として活躍し、2023-2024シーズンは、スペイン女子フットサル1部リーグ「Nueces de Ronda Atlético Torcal」でプロ選手として活躍するなど、世界を舞台に戦う。
帰国時にエコッツェリア協会でのアスリートインターンやWebライターとしての活動経験がある。引き続き世界の舞台で戦うために第一線で競技に励みながら、デュアルキャリアの実践として日本とヨーロッパの架け橋となる事業開発に取り組むなど、競技以外の活動にも力を入れている。
長倉有輝さん(宮崎県職員)×田口真司(3×3Lab Futureプロデューサー)
中島幸志氏(サスティナブル・ストーリー株式会社代表取締役/ウェルビーイング起業家)×田口真司(3×3Lab Futureプロデューサー)
作品大募集! 応募は11月15日(金)まで
2024年10月2日 (水) 7:30 - 8:30