地方都市の立て直しと東京
エコッツェリアって面白い場所ですよね。通常、特に地方の場合などは、人が集まる場所はできるだけ低い階に作らないとなかなか集まらないのに、10階なんて高い場所にある(笑)。先日、3*3Labの土谷さんにお誘いいただいて講演させていただきましたが、大丸有にこういう場所があるのは本当に面白い。僕もとても新鮮な気持ちで話すことができました。これからの時代、地方都市をどう立て直すかが大きな課題。大丸有はもちろん、地方を盛り上げる拠点としても活躍してほしいと思います。この先、東京でも人口が縮小していくと、いずれ今の地方都市と同じような方向に進んでいくでしょう。ですから今、地方都市の動きをキャッチアップしていくことはその備えにもなるかも知れません。
- Q1
- エコッツェリアのすごいところは?
- A1
- きれいな高層ビルに入っているから一見敷居が高い感じがするのに、実際に中に入ってみるとそうでもないというところ(笑)。驚くほどたくさんの人が集まりますね。東京という街にそれだけの"基礎体力"があるということですけど、それにしてもすごい。
- Q2
- 大丸有、1日好きにしてよければ何をしたい?
- A2
- 「子どもだらけの大丸有」なんてやってみたいですね。まちづくりでは10年なんてあっという間。小学生も10年たてば成人しますから、大丸有に小学生を集めてまちづくりのアイディアを真剣に考えてもらう。「子どもたちが作る仲通」、いいじゃないですか。その成果をリアルに見ることができるというのもいい。
- Q3
- まちづくりのお仕事のコツ、ポイントは何でしょうか。
- A3
- 僕はいわゆるワークショップはあまりやらないんです。意見を出し合うことは大切なことですが、ただそれだけではなくて、地元の方々が実際に活動する舞台をつくりだす。「わいわい!!コンテナ」がその良い例。それから「モノ・コト・スキ・カネ」の4つの組み合わせが大切だと思いますね。「モノを作って、コトを起こして、スキな人が集まって、おカネを生む」という流れを意識しています。
- Q4
- 大丸有で好きな場所はどこですか?
- A4
- 休みの日に仲通をぶらぶらすることがあります。最近は人も増えてきましたが、昔の大丸有の日曜日や正月は本当に人がいなくて気持ちよかったですね。それから、好きな場所は東京會舘1階のカフェ。設計は谷口吉郎さんですし、猪熊弦一郎さんの絵画もあるし、見所いっぱいです。来年夏には取り壊されるそうですから、行ったことない方はその前にぜひ一度どうぞ。
- Q5
- お仕事をされるうえで大切にしていることは何ですか?
- A5
- まずは自分自身が楽しむことです。まちづくりの仕事は終わりがありません。難しいことも多いです。だからこそ自分が楽しめるようにがんばらないと続かない。楽しむには"こうなったら楽しいよね?"という「妄想」と、それを一緒に笑える仲間、そしてしがらみやつらいことを「忘れる能力」が大事だと思います。
西村 浩(にしむら・ひろし)
建築家・ワークヴィジョンズ代表
1967年生まれ。東京大学工学部土木工学科卒業、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、設計事務所勤務を経て1999年ワークヴィジョンズ設立。建築・土木・まちづくり等、常に「まち」を視野にいれ、分野を超えてモノづくりに取り組む。 主な計画・作品に、大分都心南北軸構想、佐賀市街なか再生計画、函館市中心市街地トータルデザイン、鳥羽海辺のプロムナード、岩見沢複合駅舎、長崎水辺の森公園橋梁群、「わいわい!!コンテナ」など。主な受賞歴に、日本建築学会賞、土木学会デザイン賞、グッドデザイン賞大賞、BCS賞、ブルネル賞、アルカシア建築賞 他多数。
株式会社ワークヴィジョンズ