イベント3*3 LABO・レポート

【3*3 LABOレポート】社会の未来のために今、私ができること

2013年7月10日(水)開催

3*3ラボ 2013年7月10日開催
社会の未来のために今、私ができること
〜レゴR シリアスRプレイ を活用したワークショップ〜
ゲスト:蓮沼 孝(はすぬま・たかし)
株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ
代表取締役社長LEGO® SERIOUS PLAY公認ファシリテータ
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子どもの頃に遊んでいたレゴブロック。とても馴染みがありますが、実はビジネスの場面でコミュニケーションツールとして活用されていることをご存知でしたか?「レゴ・シリアスプレイ」という技法で、企業の戦略立案や商品開発など、様々な場面で活用されているのです。

今回は株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイ代表取締役社長/「レゴ・シリアスプレイ™」技法の公認ファシリテータ蓮沼孝氏をゲストに迎え、「レゴ・シリアスプレイ™」の魅力や特長をお話頂くとともに、「社会の未来のために今、私ができること」をテーマにしたワークショップ を体感していただきました。
臨場感あふれる様子をレポートします!

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「レゴ・シリアスプレイ™」とは


まずは蓮沼さんが実践している「レゴ・シリアスプレイ」とはどのようなものなのか、レゴの歴史からさかのぼってお話いただきました。

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「「レゴ・シリアスプレイ™」と呼ばれるその手法、当時レゴ社の研究開発局統括責任者だったロバート・ラスムセン氏らにより、ビジネスパーソンが創造的な戦略立案を行うためのツールとして開発されました。ビジネス・組織開発・心理学・教育学習等の理論研究が開発のベースにあり、その根幹には「コンストラクショニズム」=「手を使った思考」というコンセプトがあります。

「レゴ・シリアスプレイ™」の特徴は、参加者同士が、自らレゴブロックを使って創った三次元のモデル(像)を通してのグループ討議、知識の共有、問題解決と意思決定をするという点です。
伝統的な会議を「後継会議(椅子に寄り掛かり、全体の20%の人が場の80%を独占し意見を言う形式)」と定義するのに対し、レゴ・シリアスプレイでの会議は「前傾会議(前のめりになって全員が参加し、平等に場に貢献する)」と蓮沼さんは定義しています。

異なる人種、性別、年代、職務、役職の人たちがレゴという共通のツールを使って対話することで、企業や組織のビジョン構築や、事業・商品・サービス開発、チームビルディング、人材開発など、ビジネスにおける様々な場面で利用されています。」(蓮沼さん)


レゴ・シリアスプレイの進め方


では実際に、レゴ・シリアスプレイはどのように進めていくのでしょうか。
「基本的な構成をお伝えします。
・シリアスプレイの意義を解説
・スキルビルディング(1)レゴブロックに慣れる、手と指を脳に繋ぐ
・スキルビルディング(2)道具を使って「創る」「語る」「観る」「訊く」「応える」演習
・アイデンティティ(1)個人の内観を作品により深堀する
・アイデンティティ(2)個々人の作品を繋ぎ、「鈍化」してチームの作品として統合・新たな内観を創る
プログラムの構成や内容はクライアントによって一部変更・アレンジしますが、基本的にはこのような構成で、約半日、1日、2日間くらいで実施します。
今回は僅か2時間ですが、全てのプログラムを通しで実践しつつ、今日のテーマでもある「社会の未来のために今、私ができること」について考えていきましょう。」(蓮沼さん)

レゴを自らのメタファーとして表現し、ストーリーを語る


既に参加者の方はランダムに4つのグループに分けられています。そして各テーブルには大量のレゴブロックが置かれています。
まずはスキルビルディングからスタートしていきます。
蓮沼さんから出されたお題は

「好きなレゴブロックを組み合わせて、「進化した生物」を作ってください」

 
また、この問いに対し、各自直感的に選んだブロックを手に取り、誰も見たことのない生物を作り上げていきます。
DSC_2339.jpg DSC_2354.jpg
途中、悩んで手が止まっている人に対して蓮沼さんは「悩む前に手を動かす!」とアドバイスを投げかけます。
そうして出来上がった作品がこちら。
DSC_2369.jpg DSC_2379.jpg 写真の他にも「進化したカメ」「進化した恐竜 クリスタルな足」「ムカデ」など様々な生物が生まれていました。

そして次の問いが蓮沼さんから投げかけられます。
 「もしその生物があなたの10年後の姿であるとしたら、あなたはどんなことをしているでしょうか?」

ここで、参加者は、進化した作品をメタファーとして、自己紹介!
突然のフリですが、参加者の皆さん、作品の特徴、色や形、付けた名前をうまく使ってご自身の紹介に挑戦されました。

こうして参加者の皆さんはレゴブロックに慣れ、「頭で考えるモード」から「体、直感で動くモード」に切り替わっていったところで、本題のアクティビティに入っていきます。


社会の未来のために今、私ができることとは?


「今日レゴ・シリアスプレイを通して皆さんと考えたいテーマは「社会の未来のために今、私ができることは?」です。が、テーマとして大きいので、具体的なお題を提示しますので、それをもとに作品を作っていきましょう。」(蓮沼さん)
お題:
「私が生む価値とは」

ユネスコから選抜された世界の中学生がここにやってくることになりました。彼らは自分たちがどんなキャリアを歩むのかその参考にしたいと思っています。
あなたは仕事や社会活動を通して、どのような人に対してどのような価値を提供しているのでしょうか。そのためにどのような姿勢で臨んでいるのか、それは中学生の社会にどのような影響を与えうるのでしょうか。
皆さんレゴブロックを手に取り、考えながらもどんどん作品を作っていきます。ここでも蓮沼さんが「悩んだらまず手を動かし、右脳に頼っていきましょう!」というアドバイスが。皆さん作品を作り出すスピードがどんどん速くなっていきます。
DSC_2391.jpg DSC_2434.jpg ある程度形になったところで、次のお題が。
「今皆さんが作った作品の中身を表す3つのキーワードを書いてください。」
個人ワークが終わったところで、グループ内で作品について説明していきます。そしてここで蓮沼さんからこんな指示が。
「自分の左隣の人が急遽異動になってしまい、その人の作品について代わりに説明しなければならない状況になってしまいました。作品と3つのキーワードから想像して、作品についてグループ内で説明してみてください。その後途中から前任者(作品を作った本人)が帰ってきて補足説明いただきます。」
他人が作った作品について、その形とキーワードから想像して、その人がどんな思いを作品に込めたのか読み解いていきます。前任者が意図したものと全く違う説明がなされたり、意図していたものとすごく近い説明をしてくれたりと、文字情報ではない部分から意図を読み解くということに皆さんとても苦労しつつも、その作品から聞こえてくる声に耳を澄ませている様子がとても印象的でした。

チームの作品として各自の思いを統合する


そして最後のアクティビティです。個人の作品の中で残したい場所にピンを1つ立て、それを各チームで統合し、1つの作品に仕上げていきます。それぞれの思いが詰まった「未来の社会」をチームで描きます。
DSC_2448.jpg DSC_2464.jpg
そして、各チームで描いた「未来の社会」を実現するために、各自が貢献できることは何か?作品を通して考えていきます。
そして最後にチーム毎に作品を発表。各チームの描く未来の社会について参加者全員が賛同し、さらに議論を深めていきました。
DSC_2524.jpg DSC_2531.jpg レゴ・シリアスプレイの実践が終了し、参加者の皆さんのテンションは非常に高く、クリエイティブな空気で満ちていました。感想を紹介します。

参加者の感想


・普段はゴールが見えた状態で仕事をするが、今回は他の人の発想をみながら作品を創り上げていく事が面白かった
・思考を視覚で見られるようにするのはとても良い
・作りながら自分の気持ちが無意識に分かったり、創りながら変化したりすることが楽しかった
・頭で理解するのではなく、作りながら考えていく、このプロセスを行ったり来たりしながら思考を深めていくプロセスが面白かった。
・自分が思っていること表現するときに、目に見えるモノがあることの重要性に気付けた。絵を描くのは苦手だけれど、レゴなら簡単に組み立てられる。
・どうしても論理からはいってしまうので、抽象的なものから形にすることが新鮮だった。
・作品のタイトル付けをするときに自分が思いもしていなかった発想を知ることができた。
・作る過程で、普段からなんとなく頭にあったことを明確化していくことができた。
最後に蓮沼さんより、今日のセッションの感想とレゴ・シリアスプレイの可能性についてお話いただきました。


「通常の議論だとまとまらないようなコンセプトワークや戦略策定等をするとき、レゴ・シリアスプレイはとても有効なツールです。
レゴを通じて深層に眠っていた自分の考えを形にし、可視化していく。そして他人が作った作品を通じて、他者の考えていることを知れる。そしてその作品を繋ぎ合わせていける面白さもレゴならでは。そもそも何故「シリアスプレイ」と言うのか、プレイフルな環境でシリアスなテーマを考える、というところから来ています。今回は「社会の未来のために今、私ができること」という共通の問題意識から、今日、このメンバーでしか創り得ない作品が出来上がりました。
右脳を頼りに考えを作っていくというこの手法は是非日常でも活かしていただければと思います。」(蓮沼さん)
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イベント終了後も高揚感に包まれた空間、最後はセッションで、各チームの作品を統合し、全員で1つの作品を創り上げることに。一人一人の思いが全て詰まった「未来の社会」像が出来上がりました。
参加者の皆さんはレゴ・シリアスプレイを実践するのが初めての方ばかりでしたが、セッション前と後では見違えるように表情が晴れやかになり、参加者同士も一つの「チーム」としての一体感が生まれていました。
これもレゴを通して思いを可視化し、自己を知り表現したことでコミュニケーションの助けになったのでしょう。
レポートではレゴ・シリアスプレイの魅力を表現するにはとても難しいので、是非一度皆さんもこのすごさを体感してみてください!
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3*3ラボ(さんさんらぼ)

環境プロダクト「ものづくりからことづくり」研究会

3R(Reduce:減らす、Reuse:再活用、Recycle:リサイクル)と3rdプレイス(家と職場以外の場所)づくりを目指し、毎月ゲストをお招きしたセミナーを実施します。

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