イベント丸の内プラチナ大学・レポート

【レポート】丸の内プラチナ大学で新時代を

「丸の内プラチナ大学」第6期開講式 2021年9月2日(木)開催

第6期講師陣。会場とオンライン上に勢揃い。

2021年9月2日(木)、丸の内プラチナ大学の開講式がハイブリッド形式で開催され、いよいよ第6期が開講となりました。会場には20名弱、オンラインには100名を超える受講生が参加しており、人気のほどが伺えます。開講式では小宮山宏学長(プラチナ構想ネットワーク 会長/株式会社三菱総合研究所 理事長)の基調講演に続いて、各講師からのオリエンテーションが行われました。

本オリエンテーション後に受講コースを決めたいという声もあり、事務局では急遽申し込み期間を延長し、さらなる受講希望を受け付けています。中には複数のコースを希望する受講生もいるなど、今期も盛り上がりを見せている丸の内プラチナ大学。気になるコースがある方は、ぜひアクセスしてみてください。

>>「丸の内プラチナ大学」第6期のご案内はこちら

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受講生も講師も学ぶ「めだかの学校」

受講生も講師も学ぶ「めだかの学校」

小宮山 宏 氏(丸の内プラチナ大学 学長/プラチナ構想ネットワーク 会長)

丸の内プラチナ大学は、その前身となったイベントを含めると8年前に始まったもので、3年目から第1期として正式に開校したいわゆる「社会人大学」です。

しかし、一般的に言われる「社会人大学」と大きく異なっているのは、

●社会課題にビジネスで取り組むという大きなフレームワーク
●「現場」を重視し、フィールドワークを積極的に行うこと
●多世代が参加している点

ではないでしょうか。特に今期は3点目が顕著で、開講式には大学生の姿が多く見られました。社会人大学に大学生がいるのは不思議な現象かもしれませんが、大学生は大学では学べないことを学ぶことができ、社会人は学生の新鮮な視点や、柔軟なアイデアを学ぶことができるWin-Winの関係になっていると言えるでしょう。

そして、丸の内プラチナ大学最大の特徴とも言えるのが、講師が講師然としておらず、「受講生とともに学ぶ」という姿勢であることです。これを丸の内プラチナ大学副学長・逆参勤交代コース講師の松田智生氏は、福沢諭吉が唱えた「半学半教」であると言い、小宮山学長は「めだかの学校」であると話しています。

「江戸時代のように変化が少ない時代なら、経験を積んだ高齢者が若年層に教えるという垂直型の教育が効果的でした。しかし、現代のように変化が速い時代に適しているとは言い難い。『雀の学校』は"むちを振り振り チイパッパ"だが、『めだかの学校』は"だれがせいと(生徒)か せんせい(先生)か"と謡っている。丸の内プラチナ大学は、まさにそういう学びの場になっていると思います」(小宮山学長)

例えば長崎大学では、工学部の大学生が先生となって、子どもとエンジニア経験のある高齢者に教えるという場が持たれています。そこでは一方的に教える教育ではなく、子どもも学生も高齢者も、お互いに教え合い、学び合う水平型の学びとなっているそうです。

後半のオリエンテーションでは、図らずも多くの講師が「自分も皆さんと一緒に考えたい」と話しており、講師もまた同じマインドを持っていることが伺えました。

常識を覆し、知の結合が起こる現場に

基調講演で小宮山学長が述べたのは

●人類が転換期に差し掛かっていること
●目指すべき社会像のビジョンとしての「プラチナ社会」
●希望はある

という3点でした。

人類の転換期とは、「人新世(じんしんせい、ひとしんせい)」という言葉で端的に示されています。地質学における新用語で、人工物の質量が自然の質量を超えてしまっている現状を指すもの。これは、遠い将来の人類が、20~21世紀の地層を発掘したら、人工物しか出てこないということ、我々はそんな時代に生きているということを意味しています。

「だからこそ、現代は人類が人類の未来を決めることができる時代でもあるということだ」と小宮山学長は話します。「プラチナ社会」は、その目指すべき未来像として定義されたものです。

プラチナ社会は「地球が持続し、豊かで、人の自己実現を可能にする社会」

その実現には「エコロジー」「資源の心配がない」「自由な選択」「雇用がある」「誰でも参加できる」という条件があり、その周辺にビジネスが興り、人類の成長は新しい段階に入るとされています。

当日の資料より抜粋

ただ、その実現のためには「常識を疑う」ことが必要だと小宮山学長は指摘しています。人工物が飽和しつつある今、鉄鉱石や石炭・石油といった地下資源の採掘は必須ではなく、都市鉱山からのリユースや再生可能エネルギーなどに代替されていくことになるでしょう。その時「資源のない国・日本」という常識は覆されることになりますが、それをリアルに想像できる人がどれくらいいるでしょうか。

「グローバリゼーションは正しく、保護主義は悪いのだろうか。資本主義は正しく、共産主義が悪いのか。石油や鉄鉱石は資源なのか? 年長者が年少者に教える教育は正しいのか。常識を疑い、新しい視点から考え、行動することが求められるようになる」(小宮山学長)

当日の資料より抜粋

しかし、現代の「知」は「ハリセンボンの棘のように」先鋭化し隔絶してしまっています。どんなに優れた研究者であっても、異分野でどんな研究が行われているのか、十分に知るのは難しい世の中。イノベーションは知の結合によって起きるものですが、それもままなりません。

丸の内プラチナ大学は、その状況を打破していく可能性があるものです。多世代、多領域の受講生が水平につながり、講師とともに教え合い、学び合う場は、自己研鑽の場としても、イノベーションの実践の場としても申し分のないものと言えるでしょう。

そして、この日のオリエンテーションでは全10コースの講師が登壇。コースの概要を解説し、参加を呼びかけました。いずれもコースの実施はオンラインがベースとなっていますが、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、できるだけリアルでの実施も盛り込んでいく予定となっています。

(1)逆参勤交代コース>
講師:松田智生(丸の内プラチナ大学副学長、三菱総合研究所 主席研究員、高知大学 客員教授)
内容:長野県小諸市(城下町版)、京都府京丹後市(海の京都版)、静岡県浜松市(政令市版)を対象地域として、フィールドワークでは首長へのプレゼンテーションを実施予定。

(2)アグリ・フードビジネスコース>
講師:中村正明(6次産業化プロデューサー、関東学園大学 教授、東京農業大学 客員研究員等)
内容:小豆島を舞台・題材に6次産業化とフードビジネスの可能性を実地で学び、研究する。東京農業大学と提携した研究も行う。

(3)繋がる観光創造コース>
講師:吉田淳一(NTTデータ コーポレート統括本部)
内容:宮城県大郷町、静岡県函南町を題材に、「農泊」を中心にした地域観光、関係人口の創出などのあり方を研究する。地域の主要プレイヤーがゲスト講師として登壇。

(4)アートフルライフコース>
講師:臼井清(合同会社志事創業社 代表、事業開発アーティスト)
内容:アートを通して普段の自分とは違った視点を体感するコース。「プログラミング×アート」など多角的に考察・体験。

(5)パラレルキャリアコース>
講師:塚本恭之(ナレッジワーカーインスティテュート代表取締役、越境プロデューサー)
内容:人生100年時代で注目を集める「パラレルキャリア」を実践するうえで重要な、「ファシリテーション」「プロボノ」「複業」をゲストの実体験をもとに学び、考察する。

(6)SDGs経営実践コース>
講師:笹谷秀光(千葉商科大学 教授、日本経営倫理学会 理事、サステナビリティ日本フォーラム 理事)
内容:「SDGs」をサステナブル経営の共通言語として、経営やビジネスの現場で使えるよう、実践の領域にまで落とし込み、解題する。

(7)Social SHIFTテーブルコース>
講師:石井綾(ソーシャルビジネス・ネットワーク)
内容:ソーシャルビジネスや複業で社会変革に取り組む多彩なゲストと対話型ディスカッションをし、活動の指針を見出す。今期は「ソーシャル・プロデュース」がテーマ。

(8)ローカルtoグローバル展開実践コース>
講師:桝本博之(B-Bridge International, Inc. Founder/CEO、Silicon Valley Japan College 発起人及び学長)
内容:シリコンバレーに拠点を持つ講師が、日本のソーシャルプロデューサーや受講生とともに、ローカルからグローバルへのアクセスを検証し、具現化する。

(9)洋上風力で地方創生コース>
講師:松尾博志(長崎海洋アカデミー講師、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会 エグゼクティブコーディネーター)
内容:全国で普及が進み、注目度が高まっている洋上風力の現場を学ぶとともに、各地域での実践に向けたステップアップを考察。

(10)ウェルビーイングライフデザインコース>
講師:前野マドカ(EVOL代表取締役CEO、慶應義塾大学大学院SDM研究所 研究員)
内容:「幸福」についてさまざまな研究が進み、実践が可能になった今、改めて自分らしく幸せに働き、生きる人生をデザインする方法を学ぶ。

新時代を丸の内プラチナ大学で切り拓こう

ある大学生の受講生は、「ウェルビーイングライフデザインコース」を受けるつもりだと話しています。

「大学に入れば、学ぶだけでなく『実践』に近づくことができると思っていましたが、現実には閉じた空間で、それに留まる学生も多い。そこを変えたいと思って今回参加しました。悩んだり反省したりすることが多いので、自分に必要なマインドを学べるのではないかと思います。若い人から年配の方まで多世代で、いろいろな業種業界の方がいるので楽しみです」(大学生受講生)

この学生は、3×3Lab Futureで開催された今夏の「丸の内サマーカレッジ2021」に参加し、この丸の内プラチナ大学を知り受講に興味を持ったとのこと。他学生も多くはこのルートで入ってきており、学生向けのプログラムから派生してコミュニティが広がっているようです。

3×3Lab Futureでは「コミュニティ」を形成し、そこから「プロジェクト」化し、発展的に「ビジネス」化していく三段階の社会実装を構想しています。一方で、コミュニティ形成においては、メンバーの固定化や流動性の欠如からくる活動の停滞などの課題が生じることがよくあります。丸の内プラチナ大学も、コミュニティ形成の一部に位置づけられているものですが、丸の内サマーカレッジなどの他プログラムとつながりを持てる設計と構想は強みと言えるでしょう。

副学長として本大学の全体を構想し、運営でも中心的役割を果たしているエコッツェリア協会の田口真司は、丸の内プラチナ大学を新しい段階へと進めたいと話しています。

田口真司(エコッツェリア協会 プロデューサー)

「昨年は新型コロナウイルス感染症でコース運営にも制限があったものの、今年の開催に向けてコミュニティが広がり、プラットフォームになりつつある手応えも感じています。このコミュニティからプロジェクト化するレイヤーをどう実現するかが、今年からの課題になると考えています」(田口)

地方と都市、生産者と消費者といった関係を、単なる対立軸にするのではなく、地方創生、食、キャリアなど5つほどのテーマを立てて、新しい段階に進めていくことを考えているそうです。

同じく副学長・逆参勤交代コース講師の松田氏も、丸の内プラチナ大学が新しい段階に進みつつあることを感じていると述べています。

松田 智生氏(三菱総合研究所 主席研究員)

「さまざまな地域から、丸の内プラチナ大学を私の地域でも開講してくれないか、総合的な出前講座といった形でできないか、という相談を受けるようになりました。『分校』という構想はもともとあったが、丸の内プラチナ大学の全体像を、地域の方々に体験的に見てもらうということが、これから求められることかもしれません」(松田氏)

また、今後の丸の内プラチナ大学でいっそう重要になるのが「実践」だろうとも話しています。「100人の有識者よりも1人の実践者」という小宮山学長の言葉がありますが、実は丸の内プラチナ大学の"卒業生"が、地方や現場で新しい活躍をしている好事例(※)も見られるようになりました。

※第4期受講生の大野 雅人氏(アクサ生命保険)は、北海道上士幌町でのフィールドワークをきっかけに、同町の「SDGs推進アドバイザー」に就任。
>>【INTERVIEW】『逆参勤交代は、「玉手箱」のような存在。』

そして、「本当に重要なのは、consistency(コンシステンシー)なのかもしれない」と松田氏は話しています。「一貫性」「密度」と訳されることのある言葉ですが、要は「しつこさ」だと松田氏。倦まず弛まず、信念をもって「しつこく」やり続けること。松田氏をはじめ、田口ら運営者もまた、コロナ禍などのどんな障害があってもやり続けているからこそ今があります。逆に言えば、そのようにしつこく取り組みたい人には、格好の舞台が丸の内プラチナ大学なのかもしれません。

何か現代の社会にもどかしさを感じつつも、何をどうしていいか分からない方、糸口を見つけたい方は、ぜひ一歩踏み出して参加してみてください。

>>「丸の内プラチナ大学」第6期について

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