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【大丸有】ライブな交流から見えた本当の"おもてなし"

インバウンド地域ナビゲータースクール・丸の内ツアー  2月15、16日開催

写真撮影=石井和広

エコッツェリア協会が地方とのアライアンスを進めるうえで、おそらく重要なファクターになるであろう「ナビゲーター」。その養成スクールのフィールドワークが2月15、16日の2日に分けて開催されました。

インバウンド地域ナビゲーター育成プログラムは、内閣府の「クールジャパン拠点連携実証プロジェクト」に採択された事業のひとつであり、先日オープンした「MARUNOUCHi TRAVEl LAB」との連携プロジェクトでもあります。地方創生、都市と地域のリレーション、インバウンド。3つのキーワードの重なるところで成立する「ナビゲーター」は、訪日外国人を受け入れ、魅力的地方へのリード役を果たし、都市と地域をつなぐ。そんな役割を果たすことが求められることになるでしょう。

先日の座学に続き、「バル・ホッピング」を体験する形でのフィールドワーク。15日は23名、16日には20名の受講生と関係者が参加し、実施されました。

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食べ、飲み歩く楽しみ

食べ、飲み歩く楽しみ

丸の内トラベルラボに集合するツアー参加者、受講生

「バル・ホッピング」は、大丸有のまち歩き+グルメツアーの一種です。このお店で1品、こちらで1杯、というように名物料理・お酒を少しずついただきながら、いろいろなお店の味を楽しみ、仲間を増やしていくというツアー。スペインの「バルセロナ・レストラン」(コースを1品ずつ店を変えて食べ歩く)などがよく知られていますが、インタラクティブな体験になること、初めて来た人でも、ディープで魅力的なスポットを知ることができることなどが最大の特徴と言えるでしょう。

同行取材は16日に行いましたが、この日は日本人受講生12名に加え、8名の外国人ツアー客が参加しています。アメリカ、ドイツ、フィリピンなど国籍もさまざま。彼らは「トライアル・トラベラー」と呼ばれ、ウィラーからのこうしたオファーを受け入れ、検証に協力するアドバイザリー・ボード的な性格を持つ集団でもあります。日本人、外国人が入り交じる形で、「SAKE Bar Hopping」として、福光屋、丸の内バルセン‐鮮-、和麺TURURUを巡りました。

「通好み」、「外国人好み」とは

福光屋での様子

集合は新有楽町ビルのMARUNOUCH TRAVEL LAB。第1回目の座学で講師を務めたジャスティン・ポッツ氏(株式会社umari、蔵人、利酒師)からコースおよび提携中の新潟のお酒についての説明があり、ウェルカムドリンクで乾杯し、コースがスタートしました。

福光屋では、代表的銘柄の「加賀鳶」から純米大吟醸、純米各1杯と、「ホタルイカ素干し」、「とうふ味噌漬け」という非常に渋い、通好みなつまみをいただきます。濃く滋味豊かな味わいは、加賀鳶のキリッとしつつも腰のある飲み口にぴったり。外国人客の多くが「日本酒が好きでツアーに参加した」というだけに、抵抗もなくメニューを楽しんでいる様子。「日本酒は蔵元の名称とブランドの名前が同じではないのが面白い」と解説の口火を切ったポッツ氏が、日本酒の仕込み方、福光屋が扱う商品、酒粕について等々、次々と繰り広げる日本酒談義を聞きながらの体験。ほんのりお酒の回った面々の会話も広がり、日本人参加者から外国人参加者にいろいろ解説する姿も。ちなみにこのツアー、基本的には全編英語で行われております。恐るべし大丸有オフィスワーカー。福光屋のラストで出された「酒粕アイス」は、特に外国人女性のみなさんに大ウケです。

バルセン

続く2軒目「バルセン」では、加賀鳶が比較的飲みやすい銘柄であったのに対し、さらに通好みな味わいの「花垣 純米 超辛口」(福井・南部酒造場)、「はなの舞 辛口純米 にごり原酒」(静岡・花の舞酒造)と、それに合わせた魚メニューの提供です。

お料理は、まずは刺し身三点盛り。季節のもので、この日は館山産のブリ、サワラ、タコ。切付の立った分厚い刺し身は見ているだけでもよだれが出る代物。これには花垣の醇な味わいがよく合います。もう1品は、フグの唐揚げ、サバの燻製、塩辛を盛り合わせたワンプレート。フグ唐揚げはシロサバフグの身をまるっと揚げたもので、ほろっとした食味。サバ燻製は燻蒸香の香ばしさと凝縮されたサバの旨味がなんとも言えない逸品。これにははなの舞のにごり酒のなんとも言えないまろさ、甘さがよく合う。非常によく考えられたメニューとお酒の組み合わせで、国境を超えて、食の楽しみを堪能できると言えるでしょう。

バルセン店長の今村瞬氏にお聞きすると、「こうした取り組みは、2020年に向けて、店にとっても意味のあること」と積極的な姿勢。「外国人客が増えることを考えると、こうした交流の場を持つことは社会的にも重要だし、飲食店がそうした役割を担うことができればうれしい」。店としても、ツアー向けにメニューを固定して提供したほうが、ストレスが少ないなど、オペレーション上、経営上でも店側のメリットがあることも語ってくれました。

異文化交流の肝はどこか

TURURUでの記念撮影

3軒目のTURURUへ至るころには、参加者同士すっかり打ち解けて、へぎそばとここでしか飲めない新潟の銘酒、越後酒造の辛口純米生原酒を1杯ずつ楽しみました。まさに日本の居酒屋文化の"シメ"を楽しむお店です。ちなみに日本人参加者の何人かが、一息つきたいとばかりにビールを頼むと、外国人参加者から笑顔で「ビール飲むの?」とツッコミが入る、なんだか逆転な光景が見られました。

ここでも先程同様、日本文化、欧米文化の違いや食文化談義などが花咲いています。面白かったのは、先ごろ話題になった「ヌードル・ハラスメント」、お箸の使い方などの話題でした。ある外国人参加者が「日本人の多くが、外国人はみんなお箸が使えないと思っている。外国人はそんな野蛮人じゃない(笑)」と言っていたのが印象的でした。

その後、外国人参加者も遠慮なく音を立ててそばをたぐった後は、全員で記念撮影をしての終了となりました。

参加した外国人の方に今回の感想を聞くと、「日本酒が好きなのに、普段、なかなか良いお酒を頼むことができないので、ツアーでいろいろ試せたのがとても良かった」という感想。また、「参加しているみなさんがとても楽しくて、人と食がこのツアーの魅力だったと思う」と話してくれました。別の外国人の方も「フレンドリーでインターナショナルな日本人との交流が楽しかった」と話しており、やはり人と人の交流が肝になるようです。

日本人受講生にも話を聞くと、やはり外国人の方々と一緒に巡ったことが大きなヒントになったようです。「文化の違いがどんなところに現れるのか学ぶことができた」「どんなところを観光したいのか、思わぬところにニーズがあることが分かった」と、ツアープラン発案に向けて手応えを得ることができた様子。「いろいろなメニューを揃えることは必須」「大げさに"JAPAN"を作ることがいい」「交流の場を作ること」といった、さまざまな議論がされていましたが、ある受講生の発言が示唆的でした。

「一番大切なのは自分たちもenjoyすることじゃないですか」――

"グローバル化"しようとする日本に一番欠けているのもそこかもしれません。制度によるのではない、本当の"おもてなし"の姿、可能性が垣間見えた気がしました。

2月25、26日には新潟ツアーを体験し、受講生たちは3月1日の発表会に臨むことになります。はてさて、どんなツアーが出て来るでしょうか。大いに期待が高まります。


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